1st
ここは教会のような場所。
たたずむのは一人の少年。
肩より少し長いくらいに伸ばした水色の柔らかそうな髪の毛に、少女とも見まごう顔立ち…いや、少女のそれよりもあどけなさが残っている。
服は女性の物で、白いジャケットとスカートに黒いシャツ、ピンクのリボンが付いている。
頭にはピンクのリボンが付いた白い小さなハットを斜めにかぶっている。
その彼は両手に銃、腰には二本の刀を持っていて、彼とこの教会にはあまりに不釣り合いだ。
だが、それだけではない。
周りにはたくさんの死体が転がっていて、あたりは一面血の海。
彼はピンクのリボンを施した白いブーツが汚れるのも構わずに歩く。
その足が止まったのは、死体の中にICチップが見えた時。
「奴らの仕業か…」
そう呟く声も少女のようである。
彼はそのまま死体を踏みつぶした。
死体の山を見つめる碧い瞳はには光が宿っていない。
そのまま後ろを向き、重い木の扉を開けると、目の前に男が立っていた。
190cm程の長身にもかかわらず線が細く、白いジャケットがよく似合っている。
中にはVネックの茶色いシャツを着ていて、首には紫の長いストールを巻いている。
だが、何よりも目を引くのはその端正な顔立ちと真紅の瞳。
瞳と同じ色をした髪の毛も目立つ。
その青年は少年に声をかけた。
「大丈夫か?…光月」
少年…もとい光月は包帯の巻かれた右手で青年の服を掴んだ。
「んー…レイちゃん?眠い…」
そういうと光月は青年に身を委ねた。
『レイ』と呼ばれた青年は眠ってしまった光月を担ぐと外へ出る。
「どうすれば…直るんだよ、これ…」
一人、青年は呟いた。