釣り場荒らし
世の中には——
ギリギリ犯罪ではないが
限りなく迷惑な行為を
楽しむ者たちが存在する。
これは——
そんな「タチの悪いイタズラを楽しむ」者たちを
白日の下にさらす番組。
『タチいたの館』
重たい音楽。
ドン……
ドン……
ドン……
照明が点く。
中央に立つのは——
川口。
「どうも」
一拍。
「タチいたの館、館主!ピン芸人のソレナンデス川口です。」
軽く会釈。
「この番組では」
「タチの悪いイタズラが好きな」
「準軽犯罪になりかねないヤツら」
「紹介していきます。」
一拍。
その時——
スタッフが
そっと机に何か置く。
お菓子。
川口、
チラッと見る。
「……」
一拍。
「いや」
「置かれても食えねえしw」
手に取る。
「なにこのエリーゼw」
スタジオ、
ざわつく。
「番組違うんだよ」
「ここは優しい場所じゃねえんだよ」
「ソレナンデス!」
カメラを見る。
「それでは」
「本日の——」
一拍。
「アンダーグラウンドな人間」
「呼びましょう。」
手を振る。
「どうぞ!」
——
男が現れる。
帽子。
長靴。
釣りベスト。
「荒浜 魚男
42歳。」
川口、
すでに顔が険しい。
「んで?」
「あなたのー?」
「タチの悪いイタズラ、ワッツ?」
男、
ニコニコしている。
「はい」
一拍。
「釣り場荒らしです。」
沈黙。
……
……
川口、
ゆっくりカメラを見る。
「……」
「もう一回言って?」
男、
誇らしげ。
「釣り場荒らしです。」
スタジオ、
ざわつく。
川口、
眉をひそめる。
「具体的に?」
男、
指を折って数える。
「まずめどき」
一拍。
「一番釣れる時間に行きます。」
川口、
嫌な予感。
「そして?」
男、
楽しそうに言う。
「石を投げ込みます。」
「魚が逃げます。」
川口、
固まる。
「さらに?」
男、
続ける。
「投げ込まれた網を切ります。」
沈黙。
……
……
川口、
ゆっくり言う。
「……」
「犯罪じゃないですか!?」
スタジオ、
どよめく。
男、
首をかしげる。
「でも」
一拍。
「楽しいですよ。」
悪びれない。
満面の笑み。
川口、
完全に呆れる。
「なんで?」
「どうしてそんなことするの?」
男、
即答。
「反応が面白いからです。」
スタジオ、
静まり返る。
川口、
深呼吸。
「……」
一歩前に出る。
「この」
「クソ迷惑野郎が。」
スタジオ、
ざわつく。
男、
ニコニコしている。
「楽しいですよ?」
川口、
もう止まらない。
「楽しくねえんだよ!」
「釣り人の朝返せ!」
「魚にも謝れ!」
その時——
またスタッフが
机に何か置く。
別のお菓子。
川口、
チラッと見る。「ソレナンデス??」
「……」
手に取る。
「今度はチョコパイかよw」
「いや置かれても食えねえし!」(カンペ「食べろ」)
机に戻す。
そして——
ゆっくり
男の方を見る。
「……」
一拍。
指を
耳に当てる。
電話のジェスチャー。
「これもー通報通報!!」
もう一回。
「通報通報!!」
スタジオ、
ざわつく。
男、
少し焦る。
「え?」
「ちょっと待って」
しかし——
川口、
止まらない。
「警察呼べ!!」
「今すぐ来て!!」
照明が落ちる。
重たい音。
ドン……
ドン……
ドン……
画面に文字。
——
次回
夜中にこっそり草原にミステリーサークルを作成する男
——
その瞬間——
またスタッフが
机に何か置く。
うまい棒。
川口、
それを見て「ソレナンデスぅ?」※川口の持ちネタ
「……」
一拍。
「いやだから食えねえって!!!」
「パクッ」




