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絶対に今じゃないって

登場人物紹介


深森由亜…… 魔王として異世界に召喚される。

尾頭魔王…… 前魔王。勇者に討ち取られる。

シャーマン爺さん……深森由亜を召喚する。

 俺の名前は深森 由亜(みもり ゆうあ)。俺は今、通学中の電車で急な腹痛に襲われ、途中下車して内股ダッシュで駅のトイレに駆け込んだところだ。


「ふ〜、なんとか間に合った。今のはかんなりヤバかったわ〜」


 抑圧からの開放感にしばし酔いしれ、時間を見て現実に引き戻される。そりゃあ途中下車したしね。遅刻確定だけれども。でもまあ緊急避難的な?だからしゃーなし!


 自己弁護で開き直って、ウォシュレットでいつもより念入りに丁寧に洗う。


「いやー、でも洋式空いてて良かった〜。隣の和式とか意味わからんし。ウォシュレット無いと俺、絶対にトイレ無理だわ。 んん?なんだ?」


 そのとき、便器の周りが淡く光り出した。


「この薄っすら浮かび上がってるのって、もしかして魔法陣? って、おい、嘘だろ?」


 光はだんだん強くなっていき、視界が真っ白に染まる。


「えっ、まさかのこのタイミングで?ちょっ、待てよっ! 今じゃないっ、絶対に今じゃないってぇぇぇぇ!!!」


 こうして俺は便器とともに異世界に旅立ったのであった。



 目が慣れて視界がはっきりしてくると俺は薄暗い部屋にいた。トイレに座って。とりあえず何事もなかったように下ろしてたパンツを上げる。


「魔王様だ。新しい魔王様の降臨だ」

「なんと神々しいお姿か。玉座に座っておられるぞ」


「えっ、俺、魔王なの? 勇者じゃなくて?」


 あと、玉座じゃなくてこれ、便座な。


「はい。前の魔王様が勇者めに討ち取られてしまいましたので我らで魔王召喚の儀式を執り行いましてございます」


 魔族のシャーマンらしき格好をした爺さんが答えた。


「なるほどねー。そっち側かあ。そっちは考えたことなかったわー。てか、魔王って召喚制だったんかいっ!」


「左様でございます。前の魔王様も異世界から召喚した方でした。確か、尾頭組三代目とかなんとか」


 前の魔王、本職かいっ! 


「俺、普通の高校生なんだけど、魔王って因みにどんな基準で選ばれてるん?」


「基準ですか? さあ、存じません。我らはただ新しい魔王様の召喚儀式を執り行うだけでございますれば」


「まあ、いいや。とりま、まずはこの世界のことを教えてちょ」


「承知いたしました」



「は〜、なるほどねー」


 どうやら前の魔王は戦争ばかりしていたらしい。


「極道は舐められたら終わりじゃけえの」が、口癖だったそうだ。


「そのせいで国民はいま貧困に喘いでいると……」


「はい。そうでなくとも魔王国は国土の殆どが作物の育たぬ痩せた土地で、産業といえば前魔王が残した危ない薬の畑とチャカとかいうものの工場のみですじゃ」


「あ、その畑今すぐ燃やしてなんか食べられる物を植えようか。あと工場も生産一旦ストップで。在庫は全部廃棄して、今日から別のものを作らせるようにしよ」


 何してくれてんだよ、尾頭魔王っ!あんたどっかの国の将軍様かいっ!


「仰せのままに。畑はすぐに焼き払うように指示いたします。して、工場で作る別のものとはどのようなものにいたしましょうか?」


「うーん、そうだな。アレを作ってたっていうんなら、鉄と火薬があるってことだよな。そんなら金物とか花火でも作れば?」


「金物?に、花火??ですか???」


「俺も詳しい作り方は知らんけど、ここは魔法が存在するファンタジー世界なんだろ? たぶん、なんとかなるって」


 転移魔法陣で工場を訪れて職人たちに花火のイメージを伝えると俺のあやふや曖昧な知識を魔法で補って、早速試作品を作ってくれた。やっぱ魔法ってスゲー。


「あと金物は生活に役立つやつがいいな。まずはヤカンとかフライパンとか」


「なるほど、そういう形状の物か。構造は単純だな。これならすぐに作れると思うぜ」


「ヤカンは水を入れて火にかけておけば加湿器の代わりにもなるんだぜ」


「加湿器ぃ〜?なんだい、そりゃあ」


「まあ、副次的な効果だけどな。それよりせっかくだから花火を試してみようぜ」


 今回出来上がった試作品はいわゆる八尺玉のような本格的な打ち上げ花火じゃなくて、家で楽しむ程度の物だったけど初めて花火を目にする人たちからは概ね好評を博した。


「うん、なかなか良い感じだな。あとは色とか形とかにバリエーションを加えて色んなのを研究開発してみてくれ。上手くいけば新しい産業になるかもしんねえぞ」



 確かな手応えを覚え工場から王城に帰ってみると、留守番をしていた魔族たちがわらわらと集まってきた。


「さっ、さっ、魔王様。魔王様。謁見の間へお越しくださいませ」


「うん? 何だ? 何だ?」


 押されるようにして謁見の間に入ってみると、そこには目を疑うような光景が広がっていた。


 なんということでしょう!匠の技で中央の壇上には玉座の代わりに便器が設置されました。


「違ーーーーーーーーーーっう!!!!!」


 






予定は未定ですが、ぼちぼち更新していきます。

お暇でしたらお付き合いください。

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