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氷狼の群れの討伐において、季節外れの雪が降り始めたことで、かなり手強い相手だと予想した。

大型の氷狼に関しては氷狼王という討伐名をつけた。

氷狼王が強化されることを恐れたが、長期戦になる方が被害が大きいと判断。

一時的な被害が出るがその後の立て直しの速さを考えると、一番強い俺が出る方がいいということで討伐隊を結成し、奴らが住み着いてる谷に向かう。



「あれか……確かに手強そうだ」



氷狼が十体以上、その奥に通常の三倍ほどの大きさの氷狼王がいた。

俺が氷狼王を相手する間に、他の兵は氷狼を倒す。

長引きそうなら撤退。

そう決めているものの、近くにいるだけで谷には風に乗った雪が強く肌に当たる。

剣を握り、合図を出すと谷に飛び込む。

氷柱のようなものを生み出し上から落とす。

数匹の氷狼を倒したが、氷狼王は大きく飛んだ。

奴の牙と俺の剣がぶつかり、ガキンッと音が鳴る。

こいつを群れから遠ざけないと、兵たちを凍らせてしまう。

追いやるように剣を振り、後退させる。



「ぐおおおお!!!」


「ちっ……おらぁ!」



氷狼王が氷のつぶてを吐き出すのを剣で撃ち返す。

こちらも氷の槍を飛ばすが致命傷とまではいかない。



「チッ…」



思わず舌打ちが出る。

簡単には倒されてくれないらしい。

背後では氷狼と戦う騎士たちがいる。

これ以上近づけさせたら死者がでる。

だが魔法を使うとこいつはさらに強くなる。

それならば剣だけでやるしかない。

踏み込んで氷狼王の足元に入り込み、下から剣を振り上げる。

ぶしゃっと氷狼王の首元が斬れたが深くはない。

横から大きな手が振り払われ、剣で受け止めるが力強く吹っ飛ばされる。

谷の岩肌に背中をぶつけて少しだけ呼吸が乱れる。



「まずい……待て!」



俺が飛ばされたことで氷狼王が騎士たちに飛びかかろうとしていた。

思い切り剣を投げると、奴の横腹に刺さった。

その間に撤退してくれと駆けるが、痛みで暴れる氷狼王の爪が逃げ遅れた兵士に襲い掛かろうとしていた。



「ぐぅっ……」


「ルシウス様!!」



部下を庇うように覆い被さると鋭い爪が背中を切り裂き、赤い血が噴き出す。

耐えろ。耐えろ。ここで俺が倒れたら……!

制御していた魔力がどんどん溢れてくる。

その隙を逃したくないのか、俺の魔法が自分を強くするとわかってるのか再び氷狼王が足を振り上げる。



「させるか……!」



残った力をぶつけるように奴を掴み、魔力を全力で流し込むと氷狼王は氷像のように凍りついた。



「お前たち……逃げ……ろ……」



狼狽える部下たちに命令する。

栓をしていた魔力を、氷狼王を倒すために解放してしまった。

このままではあいつらも凍らせてしまう。

いつのまに倒れたのだろう。

硬い地面は俺の血で赤く染まっていた。

何やら周りが騒がしいが、もう目も見えない。

このまま死ねたのなら、この地も凍りつくことなく穏やかになるだろう。

最期に役に立てたのならば、本望だ。

だが、妻には―セラフィナ嬢には申し訳ないと……一言……



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