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EP1-7. お出掛け ~繁華街デート!?~

 オーギン一行はニュークーロンシティの港にジラフ号を停めた後、停めていた車で市中の事務所兼住居となっているジラフ・サベージ・サービスの本拠地へと戻ってきた。彼らはこの場所をジラフハウスもしくはハウスと呼んでいる。


 「ようやく、ジラフハウスに着いたな。まさか、こんな拾い物をしたとは。」

 オーギンさんはジラフハウスに帰れたことにホッとしている。


 「本当ですね、未知かもしれない宇宙人に出会えるなんて。」

 シルエと出会ったことが今回の収穫になっていた。


 「オレも60年程生きてきて、新種の宇宙人かもしれない相手と会ったのは初めてだ。」

 オーギンさんの種族ゲマン人の60年程は肉体的に地球人の30才程度で中年くらいになる。彼の年齢でも初めてということは今回のことは非常にまれなことかもしれない。


 「そうなんですね。ところで、オーギンさんはこれからどうしますか。僕はシルエを繁華街へ連れて行こうと思います。」


 「とりあえず、港湾局と宇宙生命体管理局にシルエのことを伝えるつもりだ。後は港湾局で補給してもらうように連絡だな。」

 オーギンさんは連絡のため、ジラフハウスに留守番ということか。後のことは彼に任せるのが安心だ。


 「わかりました。また何かあればスマホまで連絡下さい。」

 とりあえず、スマホがあれば何かあっても連絡できて大丈夫だろう。


 「おう、わかった。たぶん、そんなことにもならないだろうさ。それより、そっちの方が気を付けた方が良いぞ。もし、シルエが街中で未知の宇宙人だと知れたら、犯罪者が横取りしてくるかもしれねぇからな。」

 

 そうなれば、シルエが危なくなる。確かにオーギンさんの言う通りだ。こちらには未知の宇宙人がいる。警戒しすぎるに越したことはないだろう。


 「そうですね。充分気を付けるようにします。」

 「そうしてくれ。チロル、タダヒロたちについてやってくれ。何かあったら、すぐ連絡するんだぞ。」

 

 チロルのドローンを僕たちにつけてくれるそうだ。それなら、安心だ。

 チロルの母艦とドローンは亜空間通信でつながっているから、チロルはたとえ母艦からどれだけ離れていてもドローンを操ることができる。これで街中でもチロルはドローンで活動をすることができる。


 「任されましたー。タダヒロたちはこのチロルがお守りしますぜ。」

 「ありがとう、チロル。頼りにしてるよ。」


 後のことは彼に任せるのが安心だ。チロルも快く受けてくれる。どうやら、チロルもシルエを気に入っているようだ。目新しいのだろうか。


 「そういえば、シルエと出かける前に彼女の服を買いに行こうと思います。」

 

 シルエは乗っていた未知の宇宙船(あるいは宇宙生物)から発見したとき、服はレオタードのような服を着ているだけだった。

 さすがにこの恰好では出掛け先で目立ってしまう。未知の宇宙人かもしれないから、なるべく目立たない恰好をさせたい。


 「そうだな。その恰好では外に出歩きにくいしな。」


 オーギンさんの同意も得られたので、近場の服屋で一人でさっと買いに行く。




 「シルエ、君の服を買ってきたよ。」

 近場の服屋で彼女の服を買いに行ってきたのだった。


 「ワタシニ ナニカ クレルノ?」

 シルエは何かもらえるかウキウキしている。


 「ああ、君にワンピースと麦わら帽子を買ってきたよ。」

 女性の服は何を買えば良いかわからず、シンプルな服を買ってきてしまった。


 「アリガトウ!タダヒロカラ モラッタ プレゼント ダイジニ スル。」

 シルエは受け取った服を胸に引き寄せて大事そうに抱えている。


 「喜んでもらえて良かった。」

 思ったよりも喜んでくれたようだ。シルエはその場で着替えようとしたが、さすがに止めた。裏で着替えて戻ってきた。


 「タダヒロ、ドウ?着テミタヨ。」

 彼女は嬉しそうにくるっと回って、白いワンピースと青空色の麦わら帽子の着心地を楽しんでいるようだ。


 「ドウシタノ?ボッート シテルヨ。」

 僕はシルエのワンピースがくるっと回るそのしぐさに見とれてしまい、何も返事ができなかった。


 「ごめん…とても似合っているよ……。」

 シルエに言われて意識を取り戻す。買ってきた服を着た彼女はとても綺麗だった。自分で選んだにもかかわらず、その白いワンピースがひらひらと舞う蚕の雪姫のような姿は、僕の目にはとてもまぶしかったのだ。


 「アリガトウ。コノ服ハ オ気ニ入リ。」

 シルエは相変わらず、プレゼントしてもらった服にはしゃいでいる。




 タダヒロとシルエはジラフハウスを出て、タダヒロのバイクの前に二人は立っている。


 「シルエ、これから繁華街へ行くから、このバイクの後ろに座ってくれるかい?」

 バイクで繁華街へ行くつもりだ。シルエと二人乗りになる。


 「ココニ 座レバ イイノ?」

 シルエはバイクを初めて見るようだ。不思議そうにバイクを見る。


 「そうそう。僕が前に座るから腕で僕の体をつかんでね。」

 僕が先にバイクの前に座り、シルエに後ろへ乗るように促す。


 「ワカッタ。コレデ ダイジョウブ?」

 シルエはバイクの後ろに乗り、その4本の主腕と甲殻の副腕で僕をつかんでよりかかる。僕にかかる腕と体重に、僕は緊張してしまう。甲殻のその副腕の2本の腕は冷たくて心地よい感覚だ。


 「OKだよ。出発するから、振り落とされないようにしっかり掴んでてね。」

 僕はドキドキしながら繁華街へ向けてバイクを発進させる。前に集中しないと……後ろにばかり気が散ってしまいそうだ。




 タダヒロとシルエはバイクで繁華街へ向かっている。シルエはバイクの後ろに最初は慣れていないのか、体が固かったように思うが、着く前頃にはだいぶ緊張がとれたのか、周りを見れるようになってきた。


 「もうすぐ着くよ、シルエ。チロルもちゃんとドローンで後ろからついてきてるみたいだな。」


 「見逃さないように後ろからついていますから、大丈夫ですぜ。」

 バイクで走ってきても、浮遊しているドローンであれば、苦もなく追うことができる。チロルがついてきてくれるなら、周りの警戒もしてくれるだろう。


 「家ガ イッパイデ スゴイ。ソレニ クルマ?トイウノモ イッパイ走ッテル。」

 シルエは走るバイクから流れる景色に夢中だ。見慣れないものがたくさんなのだろう。右に左に頭を振ってキョロキョロしている。


 「面白いかい。これから行くところはたくさんの人が歩いているよ。」

 これから行く繁華街には人がぎゅうぎゅうになるほどいるから、こちらも驚くだろう。


 「ハヤク行ッテ ミタイケド…… オナカスイタ。」


 ジラフ号で食べてから軽食しか食べていないもんな。シルエからしたら、さぞお腹が減っていることだろう。

 「もうすぐお腹いっぱい食べれるよ。」


 「オナカ イッパイ!ウレシイ、タダヒロノ 料理ガ タクサン 食ベレル?」

 どうやら、僕の手料理を食べれると思っているらしい。


 「あはは、僕の料理じゃないよ。でも、おいしい料理を作れる人がいっぱいいるんだ。」

 「ソウナノ!タノシミ。」

 いっぱいという言葉にシルエは反応しているようだ。いったいどこまで食べるのか。


 「着いたよ、ここがニュークーロンシティの繁華街だよ。」

 「ホントダ。ヒトガ タクサン!カゾエキレナイ!」


 繁華街へ着いた。人と人とが押し合うほどの盛況ぶりをしている。

 シルエは繁華街に興味津々だ。




 「やっぱりきみはたくさん食べるなぁ。」

 ジラフ号で食べていた通り、ここでもシルエは皿を次々に空にしていく。

 

 繁華街へ入った後、僕とシルエはどの店に入るか迷った挙句、無難な行列が少ない中華店に入った。

 行列が長いとシルエのお腹が我慢できなそうだからだ。

 

 中華店に入るなり、シルエがメニューからどれが食べれるかわからないため、この店おすすめの水餃子とマーボ豆腐を頼んだところ、水餃子は好きで、辛い物や固い物はあまり好きではなさそうだ。というのも揚げ物が固いようであまり好きそうで無かったからだ。


 試しに柔らかい天津飯を頼んだところ、ぺろりと食べてしまった。水餃子や天津飯がお気に入りのようだ。スープが大好物のようで、卵とじの中華スープはちゅるちゅると吸う勢いで飲んでしまった。


 いずれの好物も何回もおかわりをして、皿を重ねているシルエだ。おいしく食べるシルエを見ていると、僕も幸せのように思えてくる。


 「オイシイモノ イッパイデ ウレシイ。 タダヒロモ タベヨウ!」

 

 僕はすでにシルエが食べれなかった料理を食べていたのでお腹いっぱいだ。シルエは食べるものがいっぱいで満足してもらえたようだ。この後、デザートも残っているが……。


 「僕はもう食べたよ。財布の中身もすごい勢いで減りそうだよ。」

 財布が足りているか気になるところだ。


 「タクサン タベル シルエ、ダメ?」

 シルエがたくさん食べる姿を見れるのは問題ない。問題は財布が足りているかなんだ…まぁ、なんとかなるでしょ。


 「そんなことないよ。たくさん食べるシルエは良いと思うよ。」

 シルエはホッとしたような顔でまだ食べ続ける。本当においしそうに食べる。


 「ホント?タダヒロ、スキ!」


 ドキッとする。おそらく、その好きは子供がよく言うような好きなのだろう。


 「あ、ありがとう。たくさん料理はあるから食べてね。」


 少し動揺して返事をする。

 「ウン!」

 シルエは嬉しそうな顔をして目の前のごちそうをほおばっていく。僕はただその姿をじっと見つめ続けた。




 シルエは店の物を食べ終えて、僕と共に店を出た。店から出ても、繁華街の路地はにぎやかだ。屋台も騒がしく人々を挟んで商っている。


 「ここには屋台もあるんだよ。いろいろな物を食べることができるんだ。」

 シルエに並んでいる屋台を見せていく。


 「ヤタイ、タクサン並ンデイル。」

 シルエは屋台を興味深く次々に見ていく。


 「何か好きなものもがあれば、言ってみてね。」

 店で食事を終えても、財布の中は多少余裕がある。今回はまぁ中身が空になっても良いだろう。


 「ワカッタ。」

 シルエはワクワクしてお目当てになりそうな屋台を探す。


 「アノ飲ミ物 ホシイ。」

 どうやら食べたい物が見つかったようだ。

 「果汁ジュースかい?買ってみよっか。」


 どうやら、食べ物ではなく、ドリンクが欲しいようだ。確かに中華店ではスープが好みだったから、おいしいドリンク類にも目がないのかもしれない。屋台から果汁ジュースを買い、シルエに渡す。シルエは匂いをかぐと、気に入ったのかストローに口をつける。


 「オイシイ!カジュウジュース、オイシイネ。」

 どうやら、気に入ってくれたようだ。


 「そう、良かったね。」

 あっという間に1杯の果汁ジュースをストローでちゅうちゅうと飲み干してしまった。シルエはなくなった空のドリンクを見つめながら、残念な顔をしている。


 「オカワリ シテモ イイ?」

 やはり足りなかったようだ。財布に余裕があるし、好きなだけ買ってやろう。


 「かまわないよ。」

 そう言って、果汁ジュースを屋台から4杯買って、シルエに渡す。


 「ワァ タクサン アル。 ウレシイ。 アリガトウ、タダヒロ!」

 シルエは羽毛の主腕2本と甲殻の副腕2本の計4本の腕で4杯の果汁ジュースのドリンクボトルを持って、楽しそうに順番にストローでちゅるちゅると飲んでいる。

 おいしそうなその顔は切れ長の目をさらに細めた笑顔のシルエを僕は見つめていた。




 「もう満足かな?」

 シルエは満足げな顔をしている。


 「ウン。アリガトウ、タダヒロ。オイシイモノ、タクサン、タクサン、タベレタ!」

 これだけ喜んでくれたなら、財布が随分と軽くなったことにも意味があるだろう。


 「良かった。良かった。シルエの食べっぷりを見てるとこちらも嬉しくなるよ。」

 僕の心も満足な気持ちだ。


 「タベップリ ナニ?」

 シルエが隣でニコニコしながら聞いてくる。


 「シルエがおいしくご飯を食べることだよ。」

 正直に答えてあげる。


 「ソウナノ。タクサン タベテルト、タダヒロモ ニコニコ シテル。ワタシモ ウレシイ。」

 そう言われてしまうと照れてしまう。シルエのことを見守っているつもりだったが、シルエも僕のことを見ていたんだな。


 「そっか、ありがとう。」

 暖かい気分になる。


 「マタ イコウ!タダヒロ。」

 シルエは満面の笑みで次も行こうと誘ってくる。


 「え、ああ、また行けたら行こうね。」


 返事がつまってしまう。シルエはこの後、宇宙生命体管理局へ引き渡す。

 笑顔の彼女に僕は気の良い言葉が思いつかなかった。

 

 軽やかに前を歩いてこちらを振り向く白いワンピースと青空色の麦わら帽子をかぶるシルエに苦い顔をしないようにして見つめるしかなかった。

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次話もよろしくお願いいたします!!!

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― 新着の感想 ―
タダヒロとシエルの関係が 今後どうなっていくか知りたい。知りたい。 シエルちゃん最後、タダヒロさんたちの前から いなくなっちゃいそうでやだ
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