表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

EP1-5. シルエ ~食いしん坊で寂しがり屋~


 シルエがお腹を空かしているようなので、格納庫にある未知の宇宙船のコクピットからジラフ号船内のキッチンへと連れてきた。キッチンで僕が料理を作って、シルエに食べさせている。

 

 しかし……。

 「はぁ~。こんなに食べるなんて……。」


 なんと、シルエは料理を出したそばから食べてしまうのだ。特にスープ類が好きらしく、本当においしそうに食べる。だから、僕も皿が空になると、その度おかわりを出しているのだが、とうとう手元の大鍋から料理が空になってしまった。


 「タダヒロノ ゴハン オイシイ。 アリガトウ。」

 食べた本人は、まだ食べたそうな顔をしている。


 「オーギンさん、今日分の食料がほとんどなくなりました。」

 今日の僕たちのご飯分に絶望しつつ、オーギンさんへ振り返った。


 「まじかよ。こないだ補充したばかりなのによ。」

 様子を見に来たオーギンさんも唖然としている。


 「オカワリ アル?」

 シルエはどこからか料理が新たに出てくることに期待しているのだろうか。今日のご飯分が……。

 「もうないよ、シルエさん。明日の分がなくなってしまうよ。きみ、どれだけ食べたか分かるかい。」


 「シルエ ト ヨンデ。サン ハ イラナイ。」

 シルエはどうやら食べた量よりも呼び方が気になるようだ。僕にとってはご飯の方が気になるのに……。

 「じゃあ、シルエ、君は僕らの分も食べちゃったんだよ。今日の分を。」

 僕は怒っているかのような顔で言う。


 「ソウナノ。ダッタラ、ゴメンナサイ……。」

 シルエはしょんぼりしたように言う。きつく言いすぎてしまったか。


 「そういえば、ここには落ち着いたかい?」

 話の話題を変えてみた。


 「ウン、ソウミタイ。」

 落ち着いてよかった。このままおとなしくしておいてくれるといいんだが。そろそろ僕たちのことを知ってもらおうかな。


 「それじゃ、僕たちのことを紹介させてもらうよ。僕はタダヒロ。このジラフ号のパイロットをやっている。そして、地球人だ。」

 自分を指差しながら自己紹介を始める。次は。


 「あそこで腕を組んでいる人がこのジラフ号の船長、オーギンさんだよ。彼はゲマン人という宇宙人でみればわかるけど、肌が少し緑がかっているんだ。」

 オーギンさんの方を見て話す。

 「よろしく、シルエ。」

 オーギンは短めに挨拶をするが、表情は少し固い。警戒しているのだろうか。仕方ない、顔はひげ面で強面だから。

 「よろしく、オーギン。」

 シルエは少し苦手そうにオーギンさんへ挨拶を返した。次はチロルだな。


 「そして、さっきからそわそわして浮いているドローンがこの母艦AIのチロルだ。ドローンは母艦の小さい分身のようなものだ。」

 チロルに顔を向けて僕は言う。


 「シルエ、よろしくぴ!」

 チロルがふざけて言う。


 「チロル、ヨロシクピ?」

 シルエ、まねしなくて良いんだよと心の中で思う。


 「チロル、ふざけないでくれよ。」

 僕は苦笑する。シルエの方へ向きなおる。


 「ここにいる僕たちがこのジラフ号のメンバ全員だよ、改めてよろしく、シルエ。」

 シルエは僕らを一瞥しながら、また挨拶をしてくれる。


 「さて、俺たちの紹介が終わったが、あんたの自己紹介を聞かせてもらおうか。」

 オーギンさんが改めてシルエの方へ問いかける。


 「そうですね。シルエ、君の名前は聞いたけど、君はどういう宇宙人なんだい。」

 僕も彼女のことが知りたい。シルエは困惑したように答える。

 「ワカラナイ。」


 「え!」

 僕はびっくりして聞き返す。


 「思イ出セナイ。記憶ガナイノカナ。名前ダケハ憶エテイル。」

 シルエは初めて不安げな顔をする。


 「名前だけはって。記憶喪失ということなのかい。」

 つまり、彼女は名前以外を憶えていないということなのか。


 「タブン、ソウカモシレナイ。」

 シルエは同意しているように答える。


 「そうだとしたら、なぜ記憶を失っているんだ?」

 オーギンさんはシルエに質問をぶつけていく。


 「ソレモ ワカラナイ。ケド、アノ子ノ中デ ズット眠ッテイタカラカモ。」

  あの子……。この子以外にもう一人いたのだろうか。それか、もしかすると。

 

 「あの子って誰だい。もしかして、あの宇宙船のことかい?」

 「ソウダヨ、アノ子。」

 彼女は柔らかい表情で答える。あの宇宙船のことが大事だということか。

 

 「ますます分からねぇな。なんで船をあの子なんて呼ぶんだ?」

 オーギンさんは分からない顔をしてさらに問いかける。

 

 「アノ子ハ アノ子ダヨ。」

 シルエは当たり前のことだと言うように答える。

 

 「あの子か……これではあまりわからずじまいですね。」

 今、確認したいことはこれ以上聞いても情報は出てこないだろう。

 

 「まぁ、とにかく未知の宇宙人であることは可能性が高いことだ。そうだろ、チロル?」

 オーギンさんはチロルの方を見やる。

 

 「ええ、その可能性は宇宙人データベースに未登録のことから非常に高いと思われます。」

 チロルはしゃべりたがっていたのか、ドローンの体をゆらゆらと揺らしながら答える。

 「だったら、話は早い。宇宙生命体管理局に引き渡せば、その子も自分の正体を探れるかもしれねぇ。」

 

 オーギンさんには次の行動を決めているようだった。

 

 「そうですね。」

 僕はなぜだが、がっかりした。彼女を引き渡してしまうことが嫌なのだろうか。

 

 「大事なお客様だ。空いている寝室に案内してやれ。タダヒロ。」

 オーギンさんは僕に一瞥して指示する。

 

 「分かりました。行こう、シルエ。寝室まで案内するよ。」

 僕はまだお腹を空かせているであろうシルエを連れてキッチンを出ていった。


 シルエを連れてキッチンから寝室へ歩いていく。

 

 「もうすぐ寝室の方につくよ。」

 僕は後からついてくるシルエに振り返って言う。

 

 「アリガトウ。」

 シルエは問題ないとでも言うように後につく。

 

 「それにしても、シルエ、君は背が高いね。」

 つい、気になっていたことを聞く。先ほどから歩いて後ろを振り向く度、顔を少し見上げていたのだ。

 

 「ソウ?」

 シルエが不思議そうに言う。

 「そうですよ。背が頭一個分、僕より大きいですかね。190cmはあるかなぁ。」

 

 僕は少し見上げて言う。

 「背ガ高イト イヤ?」

 シルエが不安げな顔になり、その真っ黒な目で僕を見つめる。

 

 「嫌じゃないよ。そんなわけないじゃないか。おっと、寝室の場所についたよ。」

 僕は慌てて弁解して、部屋に着いたことを告げる。もしかして、傷つけるようなことを言ってしまったのだろうか。続けて、寝室に入り、シルエを案内する。

 

 「ココガ シンシツ?」

 シルエは部屋の中を見渡している。

 

 「それじゃあ、僕は行くよ。何かあれば、そこのボタンを押して話しかけてくれ。」

 僕はそういって、部屋を出ていこうとする。

 

 「ワカッタ。タダヒロハ アトデ モドッテクル?」

 シルエが意外なことを言うので驚いた。

 

 「ここは君の部屋だから戻ってこないよ。」

 僕にはパイロットの仕事もあるし、自分専用の寝室もある。

 

 「ソウナノ……。ヒトリハ イヤ……。」

 さらに驚いた。一人は嫌だとシルエは言う。さびしいのだろうか。ご飯も食べたし、一人でゆっくりしたいのかと思った。

 

 「一人じゃ嫌って、じゃどうすれば。」

 僕は困惑してしまう。

 

 「タダヒロト 一緒ノ部屋ガ イイ。」

 シルエが僕の部屋に……。

 「僕の部屋かい?うーん、困ったなぁ。」

 どうすれば、良いだろうか。

 

 「オネガイ。ヒトリハ イヤ。」

 シルエが不安そうな目で屈んで目線が合う。

 「わかった、わかったから、そんなに近くまで寄らないでくれ。」

 つい同じ部屋になることを許してしまった。女の子と同じ部屋だけでも、緊張してしまうのに……。

 

 「タダヒロ、アリガトウ。」

 シルエは安心した顔になる。僕は嬉しそうな顔を見て、気に病むことなど、どうでもよくなってしまった。

 「いいよ。とりあえず、僕の部屋に案内するよ。」

 

 道を振り返って、僕の部屋へと案内する。しばらく歩くと、僕の寝室の前へとたどりつく。

 「ここが僕の部屋だよ。」

 

 シルエに向かって言う。少し気恥ずかしい気持ちになる。

 「アリガトウ、後デ戻ッテクル?」

 

 彼女はまだ不安そうな顔をして屈んで僕の顔をじっと見る。どうしても一人きりになるのは嫌らしい。

 「戻ってくるよ。そうだ、映画でも見てて待ってて。」

 

 大丈夫だと安心させたいが、すぐには戻ってこれない。パイロットとして一旦戻って仕事をしないといけない。一人で何もしないと不安だろうから映画でも見ててもらおう。

 「エイガ?エイガハ シッテル。スキダト オモウ。」

 シルエは目を輝かせる。

 

 「映画を知っているのかい?まぁいいか。流しておくからね。」

 シルエは映画を知っているのだと言う。新種の宇宙人かも知れないのに。

 今はそれについて触れておかないようにしよう。

 

 「ワカッタ、エイガ 見ル。」

 映画を流すと、部屋のベッドに座り、映画を見始めた。

 

 「僕は行くよ。後で戻ってくるから。」

 僕は安心して戻ろうとする。

 

 「戻ッテキテネ。」

 シルエが映画から目を離して、じっと僕を見る。

 

 「大丈夫だよ、もどってくるから。」

 僕は優しく彼女にそう言って、ブリッジへ戻っていった。

読んでいただき、ありがとうございます!

もしよろしかったら、評価☆やブックマークいただけると嬉しいです!

次話もよろしくお願いいたします!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
シルエちゃんが可愛くて大変良きかな。 ぜひ私も観測者になりたいです 毎日シルエちゃんのためにご飯つくります 任せてください
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ