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EP[3]-2. クッキング・フォー・ユー

 シルエは目的の緑の星に向かう宇宙船の中で、自室で映画を見ていた。タダヒロ特製のお菓子を食べながら、好きな映画を見る。宇宙船で過ごすシルエのお気に入りだ。

 

 コンコンとドアをノックする音がした。シルエは映画を一時停止し、抱えこんでいたお菓子をおく。ドアを開けるとチロルのドローンがいた。

 「どうしたの、チロル。私の部屋まで来て」

 「やぁ、シルエ。突然来て悪いな。実はタダヒロを探してて。さっきから船内スピーカーで呼んでるんだが、返事がないんだよ」


 チロルは残念そうにドローンの目を明滅する。

 「タダヒロの部屋に行って、様子を見てきてほしいんだ。僕では勝手に部屋の中へ入れないから」

 「そうなんだ。タダヒロ、いないのかな。わかった、タダヒロの部屋に行ってみよう」

 「ありがとう、シルエ。助かるぜ」


 シルエは部屋を出て、隣の部屋ですぐ止まった。タダヒロの部屋は隣だ。ドアをノックするが、返事はない。シルエはタダヒロの部屋に勝手に入っていく。シルエは日頃から寂しくなると本人がいるかいないかに問わずタダヒロの部屋にお構いなく入りくつろいでいる。


 「タダヒロ―?」

 シルエは部屋を見渡すが、タダヒロの姿は見当たらなかった。

 「タダヒロ、いないね……」

 タダヒロのベッドに座るシルエ。チロルが飛び回り部屋を見渡す。


 「そうみたいだぜ。困ったな。ここにいないとすると、他のところか。別の場所にも行ってみるよ。部屋まで来てくれてありがとう、シルエ」

 チロルはシルエにお礼を言うと、背を向けてドアを出ていこうとする。シルエがチロルの体にそっと触れる。


 「待って。私も一緒に行く。タダヒロ探すの、手伝うよ」

 チロルは振り返ってシルエを見る。シルエはそわそわしていた。どうやら、シルエもタダヒロの居場所が気になっているみたいだ。

 「助かるぜ、シルエ。それじゃあ、一緒に行こう!」

 シルエとチロルは廊下に出て、とりあえず食堂へと向かう。彼はたいてい食堂のキッチンでご飯を作っていることが多い。食堂にたどり着くと、シルエは大きな声でタダヒロを呼ぶ。

 「タダヒロ―!いるー?チロルが呼んでるよー!」

 返事はなにもなく、静けさに声がこだまするだけだった。奥のキッチンの方も見てみるがやはり誰もいない。


 「ここにもいないね。どうしよっか」

 「困ったぜ。他に行き当たるところはないかなー。トイレはもう見たし」

 体を揺らして困ったようなそぶりをするチロル。


 「じゃあ、アンナに聞いてみようよ。何か知ってるかも!」

 「アンナか、そうだね。今はとりあえず、誰かに聞いてみるとしよう。アンナはこの時間だと武器庫にいるはずだ。たぶん、日課の武器の手入れをしてるだろうぜ」

 「じゃあ、武器庫にレッツゴー!」

 シルエは4本の腕を上げ、元気よく歩き出した。

 

 「アンナ、入るよー」

 武器庫のドアをノックして中を覗き込むと、アンナが日課の武器の手入れをしていた。

 彼女お気に入りの12mmビームガトリング砲だ。アンナはその部品を解体して、綺麗に掃除している。


 「あら、どうしたの、シルエちゃん。それにチロルも」

 アンナは手に持っていた部品をメンテナンステーブルの上に置く。


 「タダヒロ、見なかった?部屋にも食堂にも居なかったの。どこに行ったのか、わからなくて」

 シルエは4本の腕を少し持ち上げ、首を横に振る。


 「タダヒロなら、ここへ来る途中ですれ違いましたわよ。どこへ行くのかと尋ねたら、、食料の備蓄を確認しに倉庫へ行くと言っていましたわ」

 「ああ、なるほど!」

 上の2本の手でポンっと手を叩く。タダヒロは食料の在庫チェックのためにときたま倉庫にこもることがある。きっと、今もそこにいるかもしれない。


 「そっか!ありがとう、アンナ。倉庫に行ってみるね!」

 「どういたしましてですわ。ふふ、気を付けていってらっしゃい」

 「チロル、倉庫へ行くよ!」

 シルエは振った手を残すようにアンナに別れを言うと、タダヒロの待つ倉庫を目指して、武器庫を飛び出していった。

 

 

 

  倉庫へとたどり着いたシルエとチロル。

 「今度こそ、いるといいね」

 「そう願うぜ」


 倉庫の自動ドアが開いて、シルエとチロルはびっくりする光景が前に広がっていた。

 「えっ、なにこれ」

 ドアが開いた瞬間、視界に入ったのは倉庫にある荷物が床に散乱している有様だった。

 「どうしてこうなっているの?タダヒロは!?」

 シルエは急いで部屋に入って見渡すが、タダヒロの姿は見えない。


 「生体反応がないか、部屋をスキャンしてみるよ」

 チロルは飛び回って部屋をくまなくスキャンし始める。部屋の奥でチロルの動きが止まった。

 「荷物の下に生体反応を確認したぜ。何かが荷物の下敷きになっているようだ。シルエ、荷物をどかしてみてくれ。タダヒロだと思う」


 シルエは散乱した荷物を避けながら、チロルがいる部屋の奥へ向かう。そこには荷物が盛り上がった場所があった。急いで荷物を上からどかす。 

 「タダヒロ!!」

 

 いた。探していたタダヒロだ。倒れているタダヒロに思わず叫ぶ。どうやら、気を失っているようだ。そっとタダヒロの頬に手で触れると、タダヒロが呻きだした。


 「うぅ……」

 タダヒロの目が開く。

 「目を覚ました!!大丈夫?」

 「あれ、シルエ……。ここは……。そうだった。じゃがいもの箱を取ろうと奥へ行ったら、段になった荷物が崩れてきて。それで」


 タダヒロは頭を押さえながら、立ち上がろうとする。しかし、倒れそうになるところをシルエがさっと肩を貸した。

 「ありがとう。そういえば、どうして、シルエとチロルがここに?」

 「チロルがタダヒロのことを探していたの。それで一緒に探しに行って、ここにたどりついたの」


 「そうだったのか。おかげで助かったよ」

 頭を振りながら、意識をしっかりさせる。自分の身体を動かしてみてケガしてるところがないか確認する。どうやら痣だけで骨折や捻挫をしている部分はないようだ。次からは気を付けないと。

 「ところでなんで俺を探していたんだい?」


 チロルがタダヒロの前までふわりと飛んでくる。

 「もうすぐ途中の小惑星群に近づくんだが、近道でそこを通り抜けたいんだ。タダヒロの操縦スキルの出番だぜ」

 「なるほど、それは僕が操縦した方が良いね。ブリッジへ向かおう」


 「いいの?タダヒロ、ここに用事があったんじゃないの」

 シルエがタダヒロに訊ねる。

 「そうだった。じゃがいもの箱をキッチンへ運ぼうとしていたんだ。シチューを作ろうと思ってね」

 倉庫の奥にあるじゃがいも箱に目を向ける。確かに奥まったところにあってとりづらい。


 「それなら、私が運んであげるよ!」

 「ほんとかい、シルエ。ありがとう」


 「しかし、タダヒロ、操縦できるのかい。気を失ってたばかりだぜ」

 「大丈夫だと思うよ。けがは痣ぐらいだし、操縦できるよ。ブリッジへ行こう、チロル。シルエ、それじゃあ頼んだよ」

 「任せてよ!タダヒロ!」


 4本の腕を組んで胸を張る。タダヒロとチロルはブリッジへ行き、シルエは一人になった。

 「さてと運んじゃおう!」

 シルエはじゃがいもの箱を持ち、食堂のキッチンへと運んでいった。


 「ここらへんかな」

 適当にじゃがいもの箱をキッチンの机の上におく。


 「タダヒロ、パイロットもして、料理も作って大変だなー。そうだ!私が作ったら、タダヒロの力になれるかも!よーし、私が代わりに料理を作っちゃおう!」

 料理を作っているタダヒロを眺めていることもあったシルエは見よう見まねでシチューを作り始めるのであった。

 

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― 新着の感想 ―
もうカップルでいいじゃん……最終回までには付き合うんだよね!?
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