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スペース・インセクト・ガール!『エイリアンなヒロインと駆けるボーイ・ミーツ・ガール』  作者: 小舟 一巣
【改稿中】第2巻 ミッシング・ジュエルホーン・チャイルド
21/34

EP[2]-2. モニタリング・スペース・クリーチャー

 目の前のモニタには異常を知らせるアラームが鳴っている。いつもなら何のエラーもなくジュエルホーンの声を監視しているだけだ。

 

 ジュエルホーン……。宇宙生物で宇宙生命体管理局の監視リストに載っている生物。地球とかいう星にいるイッカクに似ているらしい。私が宇宙生命体管理局の監視担当官としてこの宇宙生物の担当となってから数年も立っていない。

 

 ジュエルホーンは獲物となる極小さな宇宙プランクトンの大群を追って宇宙上に群れで散らばっている。

 彼らは脇腹にある横一列上になった宝石のような発振器官を震わせて、宇宙空間上にあるアッシュ粒子を震わせてコミュニケーションをとる。群れの中だけでなく、アッシュ粒子をどうやら特殊な周波数に振動させ、亜空間上でコミュニケーションをすることで遠く離れた星系にいる群れと連絡と取り合うことができる。

 

 大抵は獲物の宇宙プランクトンの場所や個体数の出産・死亡などの情報をやりとりしているようだ。彼らは文化をもっており、どの宙域で宇宙プランクトンが多いかや大量発生の予測を共有したり、または出産や死亡などの連絡が亜空間上で流れると歌のような音を流しあう習慣を持っている。要は彼らは高度な知能を持っているようだ。

 

 私は大学で宇宙生物であるジュエルホーンの研究をしていた。彼らの声を分析し、その意味を解明する研究だ。その研究をしていたところ、宇宙生命体管理局からスカウトされ、彼らの監視担当官として働いてる。運よくここに就職できたのはそれまでジュエルホーンの監視担当官だった前任者は管理職となるらしく、ポストが空いたためだったらしい。

 

 監視担当官として、亜空間上の彼らのコミュニケーションを監視しているのだ。コンピュータが基地局のレーダーから取得した彼らの声を集め、分析する仕事だ。分析した結果から彼らの群れの数、位置をデータベース化し、異状が出ないかを監視する。モニタには彼らの声を分析した周波数の波やその意味、分析したデータベースがところ狭しと表示されている。

 そのモニタが異常のエラーを発している。私はタッチパネルを操作して異常の内容を確認する。

 

 こういう異常は担当官になってから初めてだった。監視しているからには監視する理由がある。

 異常を示しているということはトラブルが起きたのか、はたまた起きようとしているということだ。

 これは困ったことになるのではと思い、モニタに映る異常内容を確認する。

 

 どうやらジュエルホーンの群れ同士のコミュニケーションの内容が異常に多くやりとりされている。この内容はめったに見られないものだ。仲間が死んだ時のような内容とも似ているが違う。まるで悲鳴のような声が亜空間上で流れている。それに珍しく小さい声の周波数も流れている。これはおかしい。

 

 小さい声ということはおそらくジュエルホーンの子供だろう。しかし、通常の亜空間コミュニケーションは群れのリーダーがするものだ。なぜなら、群れを左右する情報を共有し、群れ全体の行動を決定するからだ。

 そのため、群れのリーダーがその役目を担っている。それなのに亜空間上で子供の声が流れている。

 

 もしや、悲鳴は子供の親が流しているのか。それに答えて、たくさんの群れが亜空間上で声を出している。異常だ。こんなにも多くの声が亜空間上でやり取りされるのは初めてみる。

 

 上司に報告せねば。。。

 前監視担当官である上司に異常の内容を報告する。上司の顔は厳しい。

 

 上司曰く、どうやら過去に同じ事例がいくつか報告されているらしい。

 それはどうやらジュエルホーンの幼体の誘拐だった。ジュエルホーンの幼体は高値で売れるらしい。それはジュエルホーンの体内には宝石があり、それが高値で売れるためだ。成体はそのサイズから捕まえるのが難しいが、幼体ならばサイズは小さく捕まえられる。

 

 そのため、宇宙犯罪組織がごくまれに幼体を捕まえて、どこかに売る行為を行っているとのことだった。 もちろん、それは銀河間の法律で禁止されている行為だ。それはある危険性が絡んでいるためだ。

 宇宙生命体管理局はこのように危険な宇宙生物や未知の宇宙人の管理・把握をする銀河間にまたぐ組織だ。

 

 「困ったな。子供を探しに多くの群れが人が住む星に押し寄せるぞ。」

 上司が険しい顔でつぶやく。知能が高い彼らは誘拐した正体が人であることはすぐに理解する。

 そのため、人が多く住む惑星へ押し寄せて子供を探すという。

 

 「ミハエル君、どこの群れから子供が誘拐されたか調査してくれないか。」

 「わかりました。」

 

 私はデスクに戻り、亜空間上の声から群れを判別しようとした。

 悲鳴を上げている声は群れの長の声ではないため、どこの群れか分析が難しい。多くの声から共通の声を探す。亜空間上でのやりとりをするとき、群れ独自に符丁をつけて声をやりとりする習性がある。それは自分たちの群れという一人称を示すようだ。どうやら、ある星系にいる群れの符丁が多く発生されていた。

 

 「C11星系にいる群れか……。」

 どこの群れか突き止めた。上司へ報告する。

 

 「ありがとう。C11星系か。この星系にいる惑星が危険になるな。ミハエル君、この星系内にある宇宙生命体管理局の支部に行って、彼らと協力してほしい。なんとかして誘拐犯から子供を取り返してくれ。さもないと多くの命が危険にさらされてしまう。彼らは知能が高く温厚だが、監視する必要がある危険性を持っているからな。」

 

 ジュエルホーンの危険性。。。

 彼らは成体のオスとメスで異なっている。オスには角があり、メスには角がない。そして、オスはメスと違い体内の宝石がガスに変わっており、額に生えている長い角先からガスを放出して爆発させて、天敵をしりぞける習性がある。つまり、オスの体内にガスがあるため、何らかの攻撃を加えるとオスの本体が爆発する危険性があるのだ。

 

 そして、集まったオスの中の一体がが爆発すると、まわりにいるオスに誘爆して、周囲に大損害を与える。万が一、宇宙港の近くで誘爆すれば、たちまち宇宙港は壊滅だ。

 

 普段なら宇宙港など人がいる惑星にはジュエルホーンは近づかない。彼らは人の生活圏を理解しており、なわばりと理解し近づかないのだ。そのため、人はジュエルホーン自体を滅多に見かけることはない。

 しかし、子供が誘拐されたとなっては話が違う。ジュエルホーンの群れは子供を取り戻すべく人がいる惑星へ集まってくる。そうなると、多くの命が危険にさらされる。

 

 「たいへんなことになりそうだ。」

 

 小言でつぶやくと、私はC11星系の宇宙生命体管理局支部へと向かうのだった。

 

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