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EP2-7 キャッチ・アンド・シルエ

 

 

 ※改訂中。読まないでください。


 


 ジラフ号の一行はジュエルホーンの子供が目撃された小惑星帯へと赴いた。


 「さて、無事に小惑星帯へ着いたが、どう探すかだな」

 「その点は大丈夫です。ジュエルホーンの声を受信できる装置を持ってきています。これを宇宙船に取り付けてもらえれば、子供の鳴く声を掴むことができます。声さえ掴めれば、その位置を特定できるのです。」

 ミハエルはオーギンの疑問に答える。

 

 「それなら、またシルエたちに出てもらおう。子供と会話できるのはシルエしかいないしな。連続の出撃になるが、行けるか。」

 「うん、行ける!子供を無事に保護してあげよ!」

 「悪いな。それとジラフ号の大きさじゃあ、小惑星帯の中で動き回るにはリスクがある。シルツー号だけで探しに行ってもらうぞ。アンナさんのサンセット号はジラフ号の護衛で留守番だ。気を付けていくんだぞ。」

 

 「ではシルエさんの宇宙船に装置を付けるとしましょう。」

 ミハエルたちは格納庫に行き、装置をシルツー号に取り付ける。小型のレーダーが宇宙船の外部に取り付けられ、タダヒロの操縦席側に新たなモニタが設置された。

 

 「このレーダーによってジュエルホーンの鳴き声をキャッチし、その位置をモニタで自動的に知らせてくれます。この装置をオンにして小惑星帯を航行してください。」

 「わかりました。あとはお任せください。シエル、行こうか。」

 

 タダヒロは宇宙服に着替え、シルエとともにシルツー号に乗り込む。

 「シルツー号、発進します!」




 小惑星帯に入るシルツー号。大小さまざまな小惑星が連なっており、視界は悪い。航行できる空間も狭く、小惑星に当たらないようにシルツー号はその中を突き進む。

 

 

 「タダヒロはラジオが好き。ラジオが好き~。」

 コクピットの中でつながっている糸を通してシルエの思念が伝わってくる。

 「そうだよ。ラジオが好きだよ。どうしたの、急に。」

 「んーん、なんでもない~。ふふ。」

 「上機嫌だね。シルエの方はは何が好きなの。」

 

 「私が好きな物……。」

 シルエは好きなものを思い浮かべる。いつも食べているご飯を真っ先に思い浮かぶ。目の前には満足そうにしているタダヒロもイメージで出てくる。

 

 「タダヒロが好き!」

 「え!」

 

 ドキッとする。いきなりそんなことを女の子に言われたら誰でもびっくりする。

 

 「いつもおいしいご飯を作ってくれるから!」

 「ああ、そういうことか。ありがとう。」

 異性という意味で好きという意味ではなく、小さい子供が誰かを好きというような気持ちなのだろう。シルエはそういう子だ。

 

 「よし、帰ったら、おいしいご飯をうんと作ってあげるからね。」

 「ほんと!楽しみ!」

 

 お互いの口を開かなくても、思念だけで通じる会話を楽しみながら、小惑星帯の中を突き進む。監視モニタから音が発せられた。

 「モニタが反応している。ジュエルホーンの子供が近いぞ。位置も把握できた。近づくよ、シルエ。」

 「うん、わかった!」

 

 シルツー号はモニタが示している位置に向けて近づいていく。やがて、小惑星とも違うシルエットが目視で見えてきた。

 

 見つけた。ジュエルホーンの子供だ。小惑星の陰に隠れてじっとしている。大きさは車2台分くらいのサイズだろうか。子供はこちらに気づくと、ゆっくりと動き始めた。逃げるようだ。しかし、その動きはとても緩慢だ。逃げてきてから、あまり食べ物を食べれていないのか、元気がほとんどないように見える。

 

 「あの子、とても疲れている。早く助けてあげよう。」

 シルエがつぶやく。

 

 緩慢に逃げる子供ににすぐ追いつく。シルエは糸を腰につないでコクピットから宇宙空間へと出る。シルツー号は慣性航行で子供にゆっくりと併走する。シルエが乗っていなければ、タダヒロだけではシルツー号を動かすことはできない。

 

 「待って。あなたを助けに来たの。」

 シルエは子供に語りかける。

 

 「君は誰?どうして僕を追うの。」

 子供はその大きな目でシルエの方を見る。

 

 「あなたが群れから誘拐されたと聞いて、やってきたの。さぁ、群れへ帰ろう。」

 「群れに帰れるの?やった!もうへとへとなんだ。」

 子供は無邪気に信じる。まだ誰かを疑うほど精神が成長していないのかもしれない。

 

 「ねぇ、あなたの名前は何というの。」

 「僕の名前はサンシャンだよ。」

 

 「サンシャン、私はこの小さな宇宙船でここまで来たの。この子についてきて。」

 シルエはシルツー号を人のように呼ぶ。だから、この子と呼ぶ。

 

 「わかった。でも、あまり動けないんだ。」

 「この小惑星帯を出れば大きな宇宙船がいるの。そこまでいけば、その宇宙船が運んでくれるから。ねぇ、そこまで頑張って!サンシャン」

 

 シルエはサンシャンを励ます。その時、遠くから別の宇宙船が近づいてきた。

 

 「ジラフ号が迎えにきてくれたのか。」

 

 タダヒロは子供を発見して、すぐジラフ号に通信を送っていた。予定通りならこちらまで迎えにきてくれるはずだ。そろそろこちらに着くだろうと思い、ジラフ号だと予測する。しかし、目視で確認した船は黄色の宇宙船ジラフ号ではなかった。

 

 「違う。別の宇宙船だ!赤いぞ!もしや、レッド・バルーン号か。くそっ、こんなところで鉢合わせするとは!シルエ、急いで戻るんだ!宇宙空間に生身でいては危ない!」

 

 

 

 「ミスター・イワノフ、ジュエルホーンの子供を捕捉しました。」

 「ついにか。今度こそ逃がさんぞ。」

 レッド・バルーン号は逃げられた子供を探し続け、ようやく見つけ出した。

 

 「子供のそばに何かの宇宙船が止まっています。」

 

 「なんだと、別のやつらが捕まえようとしているのか。ノーズ、どんな宇宙船だ?」

 

 ノーズで望遠カメラで子供のそばにいる小型宇宙船をとらえる。

 「この船は…以前追っていた虫女の船です、ミスター・イワノフ。どうしますか。一緒に捕えますか。」

 

 「なんだと、やつの船か。だが、虫女の船と子供を両方捕まえるだけのキャパシティはこの船にはないんだ。子供だけ捕まえて離脱する。やつらは1機の宇宙船だけのグループということはあるまい。仲間が来る前に逃げるぞ。」

 

 「了解しました。ミスター・イワノフ。」

 「ノーズ、威嚇射撃だ。あてるなよ。宇宙船に当てたら、爆発で子供まで傷つけてしまうからな。威嚇射撃後、子供に対して麻酔弾を打ち込め。次は暴れないように量を増やす。けちるなよ。」

 

 レッド・バルーン号はシルツー号に威嚇射撃を始める。

 

 

 

 「撃ってきた!シルエ、早くコクピットの中へ!」

 「タダヒロ!」

 

 レッド・バルーン号の威嚇射撃がシルツー号に振りそそぐ。当たりはしないが、宇宙船近くにレーザー弾が飛んでくる。一発のレーザー弾がシルエとシルツー号をつなぐ糸を切り裂く。シルエは糸を手繰り寄せて、シルツー号のコクピットに戻る手段を失ってしまった。絶対絶命のピンチ。たまらず、シルエは宇宙に放り出されないようにジュエルホーンの子供 シャンサンのヒレにしがみつく。

 

 「シルエ!今行く!助けるからな!」

 「来ちゃダメ!タダヒロまで危ない!」

 「だけど……。」

 シルエを助けにいきたいが、どうしようもできない。タダヒロは悔しくて歯をくいしばる。なんとかしなければ。

 

 威嚇射撃を終えたレッド・バルーン号はシャンサンに麻酔弾を撃ち込む。麻酔弾を撃ち込まれたシャンサンはそのまま意識を失ってしまう。レッド・バルーン号は船体下部のコンテナの扉を開き、シャンサンまで急速に近づいてそのまま収容してしまった。その時、ヒレにしがみついていたシルエまでもがシャンサンと共にコンテナに入ってしまったのだ。

 

 「シルエ!シルエ!」

 シルエがやつらに捕まってしまった。レッド・バルーン号は捕まえて、ここから離脱しようとしている。

 

 「シルツー、動いてくれ。このままだとシルエがやつらに連れられていってしまう。動けよ!」

 タダヒロは操縦桿を乱暴に動かすが、シルツー号はピクリとも動かない。やはり、シルエがいなければ、動かないのだ。

 

 レッド・バルーン号はどんどんと遠ざかってしまう。それとは逆に遠くから宇宙船ジラフ号が見えてくる。やっとここまで到着したのだ。

 

 「タダヒロ、悪い。小惑星を避けながら来るのに時間をくっちまった。そっちはどうだ。子供が見つかったみたいだが。」

 オーギンがシルツー号に通信を飛ばす。タダヒロはただうなだれてしまう。

 「オーギンさん、シルエが……シルエが……。」

 

 シルエはジュエルホーンの子供と共にレッド・バルーン号に連れ去られてしまった。タダヒロ達の元から消えてしまった。

読んでいただき、ありがとうございます!

もしよろしかったら、評価やブックマークいただけると嬉しいです!

次話もよろしくお願いいたします!!!

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