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EP2-4. オフィサー・イズ・カミング

 アンナたちは偶然出くわした宇宙生命体管理局の監視担当官ミハエルを連れて、タイロン星支部へと帰ってきた。


 「おかえりなさい。シルエ、ちゃんと買い物はできたかい。」

 「うん。買い物リスト通りに買ってきたよ」


 シルエとアンナは買ったものを抱えて部屋に入ってくる。

 

 「あれ、シルエ、元気がないね。何か困ったことでもあった?」

 タダヒロはシルエがいつものように元気いっぱいでないことに気づく。

 

 「そ、そんなことはないよ。元気だよ!あはは。」

 シルエは持った荷物を上げ下げして、元気な振りを装う。彼女はタダヒロの誕生日プレゼントを何にしたらよいかあれこれ悩んでいた。いざ、タダヒロの顔を見ても良い贈り物が何かわからない。どんなプレゼントにしたら良いか途方にくれていたのだ。

 

 タダヒロも手伝おうとすると、見知らぬ男が大きな荷物を持って入ってきた。


 「あれ、あなたはだれですか。」

 タダヒロは見慣れない男に気づいて尋ねる。

 

 「は、はじめまして。同じ宇宙生命体管理局のミハエルと言います。」

 ミハエルという男は抱え込んだ荷物から顔を出す。


 「来たかね。ミハエルくん、事前に情報は受け取っていたよ。ここの支部長のガンプだ。よろしく。」

 タイロン星支部の支部長であるガンプさんから部屋の奥から出てきた。

 「ガンプ支部長、よろしくお願いします。」




 アンナたちは買い物の荷物を片付ける。そして、ミハエルの訪問に支部のメンバが集まってきた。

 

 「この度、解決すべき問題が発生したため、監視部としてやってきたミハエルと言います。それでは問題の内容を説明させていただきます。」

 ミハエルはジュエルホーンという宇宙生物、その宇宙生物が問題を引き起こす恐れがあることをガンプたちに説明した。


 「なるほど。ジュエルホーンの幼体が誘拐されたと。」

 「はい、この星系にいる群れから誘拐されたものと思われます。彼らの群れが人のいる宙域へ探しにやってくる前に幼体を救出して、親元に返さねばなりません。」

 

 「しかし、どうやって幼体を探す?探している間に親は人のいる宙域にやってくんじゃないか。」

 支部メンバであるオーギンはミハエルに問う。誰に誘拐されたかは分からないし、誘拐したものがどこにいるかもわからない。不明な情報が多い中でどうやって、幼体を探すにはあまりにも時間がない。

 

 「恥ずかしい話、その通りです。まず探すところから始めなければなりません。時間がかかりすぎることもわかっています。それであなた方にその対応をお願いしたいのです。」

 

 「うーむ。そういうことか。さて、どうしたものか。」

 ガンプはあごに手をやり考え始める。

 「手があることはある。ミハエル君、親の群れがどこにいるかわかるかね。」

 「それはこちらが分析した情報で居場所は掴んでいますが、どうしようというのでしょうか。群れの場所に行ったところで彼らから詳しい情報を聞き出すことはできないでしょう。まだ彼らの言語をすべて理解できているわけではありません。」

 

 「ふむ、実はね、こちらのシルエ君は宇宙生物と会話することができるのだよ。」

 「えっ、そんなことができるのですか。確かにジュエルホーンの知能は高い。もし、言葉通じるのであれば、確かな情報を得られることはできると思われます。しかし、彼女は一体何者なのです。」

 ミハエルは驚いて、この虫型宇宙人であるシルエの方を見る。全身が白い印象を与える外見だ。

 

 腰まで伸びた髪は白く、アクセントに青空色が少し混ざっている。

 額には垂れさがった2本の触覚。耳は垂れさがったうさぎのようなふさふさの耳だ。

 肌は雪景色のように白く、羽毛が生えている。肢体は長く細く折れそうな程。

 特徴的なのが腕が4本あるのだ。2本の腕は普通だが、もう2本の腕は白い甲殻で覆われており、さらに細く、少し短い。副腕とでも言うべきものだろうか。

 顔は切れ長の目だが、白目部分はなく黒目だけだ。

 

 この虫型宇宙人がなぜ、自分と全く違う宇宙生物と会話できるのだろうか。

 

 「うん、お話できると思う。ジュエルホーンだっけ?会ったこともないけど多分大丈夫。」

 シルエは複腕の片腕2本の手を挙げて、アピールする。

 

 「なぜ彼女が宇宙生物と会話できるのか、それは私たちにも分からないのだよ。彼女は新種の宇宙人で全容がわかっていないのだ。会話できることについてはこの管理局に入ってからの訓練中に偶然会話できることがわかってね。その理由はいまだに分かっていないんだ。」

 ガンプはシルエの方を向いて、ミハエルに説明する。ミハエルはなおも驚きの目でシルエを見ている。

 

 シルエたち3人ー他はオーギンとタダヒローは管理局に入った後、2年間の訓練をしていた。その訓練も終わり、タイロン星へ帰ってきている。その訓練の過程で記憶を失っているシルエは秘められた能力を開花させていたのだ。宇宙生物との会話もその能力の一つだ。

 

 「わかりました。では群れがいる座標をお教えしますので、ぜひ行きましょう。私も彼らの監視官として同行いたします。それともう一点、彼らと会話できるのであれば、お願いしたいことがあります。」

 ミハエルは話を続ける。

 「それはかれらに幼体を助け出して親元に返すまで人がいる宙域に来ないように説得してほしいのです。人がいる宙域に彼らがやってくれば、船舶や宇宙港が危険にさらされます。彼は爆発性のガスを体内に持っていますから、緊張した彼らが一般の船舶と戦闘を始めてガスに引火すれば大惨事を引き起こしかねません。」

 

 「わかりました。やってみましょう。できるかね、シルエ君。」

 「はーい、やってみます!」

 「では、親がいる群れまで行ってくれ。私はここに残って誘拐された幼体の方を探すとしよう。ベル君、ネット上で幼体の情報が出てないか調べてくれないか。また、知り合いの宇宙船にも情報をあたってみよう。」


 ミハエルはベルと呼ばれた丸眼鏡をかけた女性に気づく。ベルは支部メンバの一人で情報分析担当だ。

「はい、わかりました。ネット上で幼体の情報がないか調査します……。」


 「ガンプ支部長。この方、なにやら雰囲気がとても暗いのですが任せても大丈夫でしょうか。」

 「大丈夫だ。こないだネット恋愛が失敗に終わってね。いつものことだ。彼女はネット恋愛に依存しやすいタチでね。そのうち、元気になるし、仕事に関しては優秀だ。」


 「な、なるほど……。」

 彼はわかったような、わからないような気がしたが、納得するようにした。


 「オーギン君、彼らの指揮は任せたよ。」

 ガンプはオーギンに指揮を託す。タイロン星支部の実行部隊はリーダーのオーギン、パイロットのタダヒロ、宇宙生物と会話できるシルエ、彼女の護衛役アンナの4人だ。

 「わかりました。気を付けて行ってきます、ガンプさん。よし、みんな、ジラフ号に乗り込むぞ。チロル、船の出航の準備だ。頼むぞ。」


 チロルは宇宙船ジラフ号の母艦AIだ。この母艦AIには付属ドローンがあり、亜空間通信によって自分の分身のようにドローンを動かすことができる。母艦が宇宙港に停泊している間、チロルはドローンの身体で支部に滞在しているのだ。


 彼らは準備を整えると、ジラフ号に乗り込み、幼体の親がいるジュエルホーンの群れの宙域まで航行するのであった。


読んでいただき、ありがとうございます!

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次話もよろしくお願いいたします!!!

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