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EP.1-1 宇宙生物のような宇宙船
一隻の宇宙船が恒星から恒星へと漂っている。
宇宙船というには虫のような宇宙生物にも見える。行き先はあるのだろうか、止まる気配はなく、よりどころがないのかもしれない。新たな恒星にたどりつくと、近場をめぐり、宇宙生物を探す。それは食べるためだ。宇宙船が宇宙生物を食べる。
奇妙だが、そのようにして、その宇宙船は自らのエネルギーを補給する。その動きは人が乗って操縦しているのではなく、まるで一匹の宇宙生物のようにその宇宙船は捕食する。
宇宙船は捕食に満足したのか、恒星系の中へ入っていく。だんだん、惑星へ近づく。近づきはするのだが、その惑星へと止まる気配はない。そして、なにかを期待したものが無かったことを確認したのか、惑星の軌道に同調し、スイングバイを行う。そして、次の恒星系へと旅立っていく。
漂う宇宙生物のような宇宙船の中で一人の宇宙人が繭に包まれて座っている。今まで誰にもその種を知られていなかった宇宙人が……。