表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】政略結婚なので愛は不要と告げた初夜に、妻は夫に愛人を紹介しました  作者: 一ノ宮ことね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/37

エピローグ



少年の手は冷たく、骨ばっていて、それでいて――ひどく震えていた。


レティシアはそっとその手を包むように握る。


「……行きましょう。濡れてると、風邪ひくわよ」


「どこへ?」


「うーん……そうね、わたしの“秘密の場所”」


彼女はそう言って、濡れた石畳を軽い足取りで歩き出した。


少年は一歩遅れてついてくる。

歩くのも久しぶりだったのか、彼は少しだけ足を引きずっていた。


「名前……君の名前は?」


「レティシア。レティって呼ばれることが多いわ」


「貴族?」


「うん。つまらないのよ、毎日。

お行儀とかマナーとか、“女はこうあるべき”ばっかり」


「……でも君は自由に見える」


「自由がないからこうして逃げてるの」


レティシアはふと振り返る。


「あなたも、逃げてたの?」


「……逃げる居場所すらない」


その答えに、レティシアの胸がちくりと痛む。


「なら、私が居場所を作るわ」


「……君は変わってるね」


「よく言われるわ。でも、変わってる人間が世界を変えるのよ」


ふたりはそのまま、廃墟になった温室へと入り込んだ。

今では誰も使っていない、だが太陽の匂いのする場所。


レティシアは木箱を並べ、そこにふたりで腰を下ろした。


「ねえ、あなた。世界はね、動かせるのよ。

言葉と意志があれば、たったひとりでも」


少年は黙って、彼女を見つめていた。


「……本当に、君は変わってる」


その言葉に、レティシアはふっと微笑む。



「あなたも私と一緒にこの国を動かさない?」




――それは、王と妃になるはるか昔。

ただの少女と少年だったころ。

ふたりが、互いの“光”になった瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ