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その昔……

「そこまでにしておけ!」


「?!」

「ソルト!?」


なんと牢屋に居るはずのソルトが目の前に現れたのだ。


「安心しろ。これは思念体だ。本体は牢屋の中だ。だが、ルイスに何かしてみろ!ただではすまんぞ!」


「ソルト……」


「っ!君なんかに何がわかる!僕はルイス様の事がっ!」


「貴様こそ何がわかる!ルイスに危害を加えることはこの国の姫に危害を加えることだ!肝に銘じておくのだな。」


その言葉を聞いてセシルは廊下を歩いて退散していった。


「ソルト……」


「気をつけろ。お前はこの国の姫なのだぞ?」


「わかっ、わかってるわよ!!」


そう言ってルイスも部屋へと戻って行った。


ソルトは魔法を発動させる前だったが、その手は、いつでもセシルを消せる程の魔法を発動させようとしていた。


「全く、世話が焼ける……」


ソルトの思念体は消えていく。牢屋にて、ソルトはため息をついていた。


「ルイス……」


その日の夜、ルイスは夢を見た。長い長い夢だった。


それはある国の王と、ある国の姫のお話……。



巨大な魔法陣の前に男が1人いた。それはソルトにそっくりな男だった。男は魔法陣を発動させて国を滅ぼそうとしていた。そこに1人の女が現れる。その女は魔法陣を槍で破壊して現れた。

「フィスタ王!貴方の計画は私が止める!!」


「ふんっ!お前ごときがこの俺に勝てるとでも?」


「私にとってここは第2の故郷になったの!政略結婚とはいえども、例え国中から嫌悪されていたとしても!それでも!私にとってはかけがえのない国!貴方の好きにはさせない!」


「馬鹿な女だ!お前はここで死ぬんだ!」


そうして2人は戦った。結果は残酷だった。国を滅ぼそうとした国王フィルラレス・レミタール・フェルースは勝利し、止めようとしていたルース姫は死んだ。


「お前は本当に馬鹿だ。この俺に勝てるとでも思っていたのか?」


「…………。」


「愚かな女……」


そう言ったフィスタ王の頬を涙が伝った。


「ああ、俺は、お前を、愛していたのか……。」


姫が死に、そしてフィスタ王は自らが姫を愛していた事を知った。こうしてフェルース国は滅びた。フェルース国は滅びた。しかし、フィスタ王の弟ファレスが継ぐことになる。国としては滅びたが、ファレスは隣のルフィア国と合併することに成功し、2国は新たな国、ルスタランドとなった。こうして新たな王朝が設立された。これがルスタランドの始まり。そして、フィスタ王はルース姫にとある魔法をかける。魔法の天才、フィスタ王にしかかけられない魔法を……。そうして、ルイスは目が覚めた。


「……今のは?」


ルイスは目覚めるとまた、涙を浮かべていた。そして彼の元へと歩いてゆく。


「……ソルト。」


「ルイス、どうかしたのか?」


「……あのね。……いや、なんでもない。」


「そうか。」


ソルトなら何か知っているのではないかと思ったルイスだったが、辞めることにした。フィスタ王の残した禁忌の魔法。それに触れたソルトは変わってしまった。毎晩隠れて黒魔法を使うようになったのだ。それからソルトは自らがフィスタ王だと名乗るようになる。ルイスは訳がわからなかった。だが、さっきの夢と何か関係があるような気がしていた。


「ソルト、処刑まであと1週間よ。わかってるの?」


「それまでには完成する。」


「っ!何が?何が完成するの?!」


「もう、お前にはわかっているはずだ!」


「……わからない。」


そう言うとルイスはソルトの牢屋から去っていった。ソルトは意味深に笑うのだった。


「もうすぐだ、もうすぐお前に会える。ルイス、いや、ルース。」


☆☆☆☆


ルイスが廊下を歩いているとセシルにであった。


「ルイス様、こんな早朝にどうかされたのですか?」


「……ううん。なんでもない。」


「そうですか。何かあれば僕に何なりとご命じください。僕は貴方の力になりたい!」


「ありがとう!セシル、でも、私……。」


「……。」


セシルはルイスが言おうとしている事を察した。


「なんでもないわ。」


去ってゆこうとするルイスをセシルは引き止める。


「ルイス様!そんなにソルト君が大事なのですか?!」


「?!」


ルイスはその言葉に驚きを隠せなかった。


「何を、言って……?!」


「分かりますよ!貴方が彼を想っていることぐらい!!」


ルイスは動じた。そんなことはないと否定しようとした。だが、そうだ、彼の言う通りなのだ。私は、ソルトをっ!



「僕じゃ、ダメですか?」


セシルはルイスに悲しげな顔で詰め寄った。


「ごめんなさい!」


ルイスは走ってその場から逃げた。セシルはルイスの背中をいつまでも見つめていた。


☆☆☆☆☆


ルイスは自室へと戻ると再び眠りについた。何故か異様に眠い。何故だろう?わからない。だが、眠った先に何かがあるようなそんな気がした。眠ると再び夢を見る。それはルフィア国の姫のお話。


ルフィア国姫、ルース・ルフィアは剣術の大会で優勝するなど、その剣さばきは国一だった。国民は彼女を剣姫と呼んだ。そんなルースは戦争によって翻弄される。ルフィア国と隣国フェルース国は代々仲が良くなかった。浮遊島である大陸に2つの国が陣取っていた。2つの国しかない大陸だが2つの国は後に1つになるまで争っていた。そんなある日ルースの兄が捕虜としてフェルース国に捕われる事になってしまった。フェルース国国王、フィルラレス・レミタール・フェルースは捕虜の兄と国一の美女を交換すること申し出る。そして、ルフィア国は国一の美女を探した。結果ルース姫が選ばれた。そうして捕虜の兄とルースが交換されることになったのだ。ルースは兄を救えるならと喜んで隣国へと向かった。そうして運命は回り出す。こうしてルースとフィスタは出会う。城についたルースを待っていたのは国王との謁見。


「お前がルフィア国一の美女か?」


「はい、私がルフィア国を代表して送られた姫、ルース・ルフィアです。」


「ふんっ!まあ、悪くは無いな。良いだろう。捕虜を解放しよう!」


ルースの兄は解放された。代わりにルースが捕虜になる。ルースには城の一室が与えられる。ある日の事、ルースが部屋にいるとどこからか声が聞こえた。庭を見ると長髪の男が剣を振り、修行していた。ルースは思い切って話しかけてみる事にした。


「はっ!はっ!」


剣を振るう男、ルースはそっと近づく。


「貴方、ここで何をしているの?」


「!見た通り剣の修行だ!」


「そう、私はルース。貴方は?」


「No.015だ。」


「隊の番号じゃなくて名前を聞いたのだけど?」


「オレに名前はない。No.015こそが国王より与えられた名だ。」


「……そう。」


ルースはそのまま建物の柱へと歩いてゆく。


めっさ!タイプなんですけどーー!!


ルースはNo.015に恋をした。綺麗な長髪に整った顔立ち、右目に眼帯をしていてもわかるほどの美しい顔、そこにルースは惚れてしまったのだ。再びNo.015の元へゆくルース。


「私も修行に付き合わせて!私はルース・ルフィアよ!」


「……構わん。」


「……私をルフィア国の姫と知っても差別しないのね?」


「ああ、そんな事には興味がない。」


そうして2人は修行をよく一緒にするようになった。フィスタはそれを城から見つける。


「おい、あれは?」


使用人にルースとNo.015が何をしているのか問う。


「最近もっぱら噂になっていますよ。隊長殿が、敵国の姫と剣を交えて剣の稽古をなさっているって。」


「……。」


☆☆☆☆


2人が剣を振るっているとそこにフィスタが現れた。


「何をしている!」


No.015はすぐに膝まづいた。ルースは嫌な奴がきたと眉をひそめる。


「見た通りですが?何か問題でも?」


「俺の許可無しに庭に出るんじゃない!」


「そんなの私の勝手でしょう?」


「………ふんっ!これだからじゃじゃ馬姫君は……」


「誰がじゃじゃ馬よ!!」


「No.015勝手な事をするな。」


「はっ!申し訳ありません!」


No.015は膝まづいたまま謝罪していた。


「私が頼んだのよ!」



「……わかった。勝手にしろ!」


そう言って何故か少し不機嫌になったフィスタ王はその場から去っていった。そうして、1人城に戻ると独り言を呟いた。


「全く、あれがこの俺の伴侶とは、笑わせる。」





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