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はじまり

それは1つの罪から始まった。


「私は敵国の王を、愛してしまった。」


その言葉が頭に浮かぶ。ルイスはそんな言葉が浮かんで目を覚ます。ルイスは涙を目に浮かべて目を覚ました。この時、ルイスはその夢の意味を理解していなかった。


「……夢?」


彼女はいつものように身支度を整えて、出発する。ルイス・ルスタはルスタランド国王より、禁忌の魔法に手を染めた幼なじみのソルトを捕まえるように命じられていた。そんなソルトの隠れ家をルイスはついに見つけたのだ。


「ソルト!覚悟しなさい!!今日こそ捕まえるんだから!!」


鏡の前でそういったルイスはそのまま家を出る。


ついに見つけたソルトの居場所。会いたかった彼。会いたかった。そう、ルイスは彼に会いたかったのだ。親がいない彼女は同じく親のいないソルトと共に同棲していた。そんなある日彼が禁忌の魔法を使っている所をルイスは見てしまう。そして、国王にその事がバレ、ソルトは逃亡を果たす。ルイスはそんなソルトを追う日々を送っていたのだ。会いたかった幼なじみ。そして、犯罪者。彼女はアジトの扉の前で深呼吸した。

そして扉を開く。

「ソルト!!ついに見つけたわよ!!」


「やっと来たか、ルイス。待ちわびたぞ。」


ソルトはルイスが来ることを予知し、彼女を待っていた。


「ソルト!今日こそお縄につきなさい!!」


「さあ、それはどうかな?」


ルイスが魔法を発動させてソルトへと魔法が届く。はずだった。ソルトは難なくその魔法を止めていた。


「くっ!」


ルイスはさらに武器を魔法で錬成して戦う。ルイスは剣を振りかざす。振りかざした剣はソルトの前で崩れ落ちた。


「ルイス、もう諦めたらどうだ?」


「まだまだっ!!」


ルイスは魔法を発動させてソルトへと襲いかかる。そしてさらに剣をソルトへと振りかざした。ルイスの攻撃は何一つ当たることはなかった。ソルトは魔法の天才だったからだ。幼くして多種の魔法を覚えていたソルト、そんなソルトは引き取られたおばから色々な嫌がらせをされていたらしい。


「禁忌の魔法に触れた貴方を!私はとめる!!」


「禁忌、の魔法、な。”元々俺が生み出したもの”だと言うのに……」


そうソルトは言いながら魔法を使う。影がルイスを突き刺した。


「がはっ?!」


「諦めろ。それがお前に与えられた唯一の選択肢だ。ルイス。いや、ルー……」



「まだよっ!!」


ルイスは諦めずにソルトへと攻撃を続けた。しかしどれも当たらない。そしてソルトはついにある事を口にだす。


「わかった。お前の勝ちだ。ルイス。だから攻撃を諦めろ。」


「は?」


「俺を国王の元へ連れて行くといい!それで全てが始まる。」


「何をっ?!」


ソルトはそういうと自ら手錠に手を入れてルイスの元へと歩きだした。


「さぁ、いくぞ?」


「ソルト?本気なの?そんな事をすれば貴方は……」


「ふふっ、それで始まるんだ。全てがな。」


「?」


何が始まるという事なのかルイスにはわからなかった。だが、ソルトを遂に捕まえる事に成功したのだ。喜ぶべきだろう。例えこれからソルトが処刑されるとしても……。


禁忌の魔法それは古の王、魔法界史上最低最悪の国王、フィルラレス・レミタール・フェルースが作り出した禁忌の魔法。命を使った黒魔法。それこそソルトが触れてしまった魔法。ソルトはその罪を受けなくてはならない。


「ソルト……。」


「どうかしたか?ルイス?」


「その、に、逃げるなら今のうちよ?」


「……いや、俺は行く。王の前に。」


ソルトに死んで欲しくは無い。だが、罪を償っては欲しい。ルイスの心は揺れた。そう言いながらも2人は王城へと刻一刻と迫ってゆく。王城へと入る入口の前でルイスはソルトにもう一度確認した。


「ソルト!私っ!」


「ルイス、これでいいんだ。」


「でもっ!ソルトが……。」


「いくぞ。」


ソルトは死を恐れていないのか王城へとなんの躊躇いもなく入っていった。


「ソルト……。」


ずっと、ずっと、思っていた。彼の事を……。なのに!なのに!!私は彼を殺すことしか出来ない!!


ルイスの心は悲鳴を上げていた。


城に入ると大臣から声を掛けられる。


「ルイス様、よくぞ戻って来られました。」


「右大臣。ごきげんよう。」


「おお!よくこやつめを捕まえられましたな!流石は我が国の姫!」


「姫である事は関係ありません。禁忌を犯した彼を捕まえる事、それは私が国王より命じられた唯一の任務ですからこれは当然の結果です。」


「ふんっ!貴様これからどうなるか分かっているのか?!貴様が犯した罪の重さを理解して肝にすえることだな。」


「ふふっ、右大臣、それはお前だ。」


「なん、だと?」


「この国はもうすぐ、いや、言うまい。後から命乞いするのはお前の方だ。」


「っ!貴様!!」


「落ち着いてください!ソルト!それ以上右大臣を愚弄することはゆるさないわ!」


「ふん。」

「ふんっ!」


右大臣もソルトも仲が悪いようで2人とも顔を背けた。そして、ルイスは王の間にソルトを連れてゆく。


「ルイス様、どうぞこちらへ。」


国王の部屋の前に立っていた兵士が扉を開ける。


そこには……。


「よく戻って来た、ルイス。我が娘。」


「はい、父上。」


国王はソルトの方へと視線を向ける。


「罪人よ。お前を罰するのはあとだ。まずは事情聴取から始める。」


「くだらない。」

ソルトは吐き捨てるようにそう言った。

「なん、だと?」


国王は苛立つ。


「こんな事は無意味だ。もうすぐその椅子は俺のものとなる。」


「何を言って……。」


「ソルト!黙りなさい!王の前よ!!」


ソルトはルイスの言葉に仕方なく従った。


「誰かこの者を牢屋へ連れて行け!」


「はい!」


国王の一声でソルトは牢屋へと連れていかれた。ルイスは去ってゆくソルトの後ろ姿を見送るだけだった。


「ルイス、あのものが大切か?」


「っ!い、いえ!そんなことは!」


「幼なじみで、そして同居人だったあやつをお前は死なせたくないのだろ?」


「………それは……。」


「まあいい、1週間後には処刑する。それまでに別れを告げるのだな。」


「……はい。」


こうして、ルイスはソルトを捕まえる事に成功し、ソルトは牢屋へと連れていかれたのだった。ルイスが国王の部屋からでるとそこには従者のセシルが現れる。


「ルイス様、よくソルトをお捕まえしましたね!」


「ええ、大変な道のりだったわ。」


「ルイス様、お疲れでしょう。部屋でお休みになっては?」


「ええ、そうするわ。」


ルイスはセシルの言う通りに部屋へと向かってゆく。セシルはそれを神妙な面持ちで見送る。


「……ルイス様!」


「?!」

突然セシルに後ろから抱きしめられる。そして、……


「好きです!僕と付き合ってください!」


愛の告白を耳元で告白されたのだ。ルイスは突然の事で状況がよくわからない。そうしてセシルの顔が近づいてゆく。その時突然何かが2人の間に立ち塞がった。


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