アンロッカー
「リミットアンロック」
□限界を解錠するそれは人間の域を越えた力を得る。しかしそれは一時反動で下手をしたらアンロックを使えなくなる。リミットアンロックは危険を伴う技だ……それゆえにアンロックを極めた者しか使うことができない。
□紅き鬼の悪夢、そう呼ばれる日からアンノウンと呼ばれる生命体が出現し、それにアンロックで対抗する日々がもうなん十年単位で続いている。アンノウンを全滅させようとする人類、人類を全滅させようとするアンノウン‥…お互いに譲らない譲れない闘いが続いている。
□国民の中にもアンロックを使えない、ノーンと呼ばれる者とアンロッカーと呼ばれる者達がいた。
◻️風が吹気抜ける丘で、心地よい風に、芝生の匂いが仄かに鼻腔を擽る。そんな場所で一人の男が寝転がり、休暇を堪能している。それを妨げる様に、芝生が踏みつけられる音が男へと近づいていく、目を開けるとそこには女が仁王立ちに近い状態で立っていた。
「海斗、やっぱりここにいた」
「なんだ、三咲か、なんのようだ?俺は休暇中だぞ」
「これ」
◻️三咲が一枚の紙切れを差し出し、海斗はそれを受け取り目を通すと体を起こし、紙を丸めて明後日の方向へ捨てる。
「ちょっと!」
「内容は覚えた行くよ。たくっ、人が休暇中だってのに、上も人使いが荒いこって、だからエデンの連中は」
「仕方ないでしょ、現在の日本の状態だと、No.1ナンバーズワン、クラスパラディンの海斗を遊ばさせておく暇なんてないのよ」
「わかってるよ」
「……海斗やっぱり私も」
「却下だ、俺はセカンドをとるつもりはない」
◻️ナンバーズ、それはアンロックを自在につかい、日本人口千二十億人の頂点、最前線で闘うアンロッカー全七名に与えられる名誉ある称号である。セカンドはナンバーズを支援する実力者に与えられる称号をさす。ナンバーズワンの海斗以外のナンバーズは、それぞれセカンドを採用しているが、海斗はこれまでに何度も採用試験を行っているものの、合格者はだしてない、いやだすに値する者が現れてはいない。数少ないそんなナンバーズの頂点の海斗が所属しているのが、日本の最高機関エデンである。
◻️立ち上がり、丘を登っていき自分のバイクの元まで行くと、エンジンをかけて三咲に家まで送るかと聞くと、三咲は首を横に降ったので、そのままエデンのある市街地、ターミナルへバイクを走られた。
◻️海斗を見送る、三咲は悲しい目をしていた。
◻️丘から三十分して、ターミナルのエデン本部の、通称、タワーの駐輪場へバイクをおいてヘルメットをハンドルにかけて中へ入っていく。