メカナイズド・ハート 97話
眠谷園
エミー機はベル機がロール回避をしながら放った砲弾を全て回避しながら、負けじと撃ち返すものの互いにすれ違いながらの撃ち合いとなり頭部の赤外線センサーやレーダーでは捕捉できているのにもかかわらず、至近距離高速のため互いの機体の腕部が追従しきれずに外し続け、双方の砲弾は宇宙にきれいな軌跡を残しながら明後日の方向に飛んでいく。
「クッソ!!」
エミーは悪態をつきながらも、互いがすれ違いベル機の背部を照準に捉えたことで勝利を確信する。
その瞬間、ベル機はガクンとロール回避をやめて、慣性で機体が自然とロールし続けるのに合わせて機体の重心と推進方向を変えることによってエミー機の射線の下を旋回して潜り抜けて、金星に向けて緩降下していく。
エミーは機体をロールさせて照準を試みるも間に合わない。しかし、いまだベル機の背後に回れるだけの高度優位がある。
エミーは迷うことなく、降下してベル機の頭上から降りかかる。
ベル機が旋回とロールを組み合わせながら、機体の被弾面積を最小にするために機体を傾けつつ鋭くエミー機のスクリーンの隅に向けて機体の推進角度を上げて高度を再び確保しながら突っ込んでいく。
それに合わせてエミーは腕部に敵機を追従させながら、速度を出しすぎて追い抜かないように速度と高度を調整しながらベル機に向けて機体を追いかけさせる。
「あのエロ女!!ちょこまかと!!」
エミーは普段はほとんど言わないような悪態をつきながら、速度エネルギーを再び高度へと変化させながら同様に再び上向きに突きあがるベル機に対して突きあがる。
一切赤外線センサー映像を拡大しなくても肉眼でとらえられほどに、ベル機の背部がエミー機のスクリーンの中で大きく映る。しかし、エミー機から見てベル機は軸がずれており右腕部に懸架されている120mm砲の照準が角度的に不可能だ。
エミーは素早く機体の姿勢制御スラスターたちを動かして機体を左旋回させて、胴体部が邪魔になり射角が制限されている右腕部に充分な照準を与えようとするが、すでにほぼ失速直前まで減速しているエミー機はレンガよりも鈍い飛行特性を見せ、まるで旋回が進まない。むしろ高度計の数値はわずかな値しか上昇せず、宇宙空間を飛行あるいは航行しているというよりもホバリングしている状態に近い。
エミーは左を見る。
そこには、わずか数十メートルの距離に見慣れたベルの【アースフィション】が見える。普段敵のドイツ軍パイロットが使うためじっくり見えなかったが、散々苦しめられたエミーも渋々同意しなければならないほど、質実剛健さと優美さを持つ甘いマスクを持った機体だとエミーは考える。
しかし、エミーにとっては最高のポジショニングだ。エミーは彼女のジョーカーを切る。
夜遅くの投稿となります。




