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メカナイズド・ハート 93話

戦闘シーンはしばらく入らなさそうです。それと一日投稿が遅刻していますね。申し訳ないです。


「なんで、めんどくさがりのお前があんなことするんだ?」


口にタバコを咥えて手を組みコロニー内の灰色のコンクリと闇のコントラストの中で光る建物の明かりを見ながら、ベルはとなりに座るセルゲイに切り出す。


体を脱力させながら体をよりかけてくるベルに対して、セルゲイは彼女の背中から腕を回して彼女の胸を軽くなでて揉みながらも、興味を特段向けているわけではなくその行為が特別なものでもなく日常的なものであるかのようにする。


「そりゃ、見ていて面白いからさ。それ以外に理由があると思うか?」

「ふーん、嘘つかない方がいいよ」

「なにさ。」


無邪気さをにじませる微笑みを見せながらセルゲイはベルに向けて、面白いからと話す。そのセルゲイの顔を見て逆にベルは胡散臭そうに顔をしかめて、嘘をつくなと伝える。それでも薄気味悪い微笑みを隠さないセルゲイに対してベルはデコピンを食らわせる。


ピンッ ビシ


「いたっ。」

「お互いにもう痛覚はないんだから何も感じないだろ。」

「たしかに。」


セルゲイもベルも、とうの昔に体の重要な器官や臓器、骨格を機械に変えておりその皮膚もほかの人間のものを剥いで取り付けただけのものだ。十分なメンテナンスを受け続ければサイボーグのようになれる。当然そのような体であるセルゲイがベルに小突かれた程度では一切痛みを感じることはない。


にもかかわらずベルの攻撃に対して大げさに反応するセルゲイに対して、これまたベルはぴしゃりと言う。その様子に諦めたセルゲイは、肩を落としてため息をつきながら答える。


「初々しくて、面白いからねちょっと助けただけだよ。」

「はあ、またそうやって感情に任せて苦しんでいる人で遊ぶんだから。いずれ恨まれて殺されるぞ。」


セルゲイの回答が予想道理だったためか、ベルは慣れた事のように忠告する。それに対してセルゲイはひょうひょうと返す。


「それを防ぐのが、お前の仕事だろ?」


セルゲイはそう答えると、隣から不満げな視線を感じる。ベルは、背中ごしに手を回していたセルゲイの腕を振りほどき彼の膝の上に尻を置いて、両手でセルゲイの頭を押さえて彼の目をのぞき込む。一方のセルゲイは特に何もすることもなく無抵抗でいる。


ベルは真正面から互いの鼻の頭がついてついてしまうほどの距離から伝える。


「お前が好きだ、だから無茶はしないで欲しい。いつまで私は無事に生きられるかわからないから・・・。」


ベルは、常にけだるげで妖艶であり他者に対して攻撃手にも聞こえる口調で話す。しかし。今回ばかりは普段見せない彼女の感情をストレートに伝える。その姿と言葉はカメラのレンズのような不気味さを漂わせるセルゲイの瞳の中に映る。


かれに自らの感情は届いただろうか?ふとした瞬間に、彼は片手をあげて慣れた手つきでベルを押しのけるのではないだろうか?


そうベルが心の奥底で恐れてきた感情が、浮かび上がってきて彼女の瞳の中に恐怖として映り込んだ瞬間、セルゲイが体を動かす。


びくっ


その動きにベルは捕食者に狙われて怖気ずくウサギのように身を縮めて逃げ出しそうになる。


「わかった。」


セルゲイは一言だけつぶやくように言い、彼女を抱きしめる。


「ありがとう。」


ベルは、普段一切動かさない顔の表情金をくしゃくしゃにして泣きながら感謝の言葉を伝える。

しかし同時にセルゲイがベルが求める願いを数日もすれば忘れるか諦めてしまうだろうと考える。そしていずれ、明日か数十年後には殺されてしまうだろうとも考える。みずからの愛する人が破滅する未来を創造し、それを防ぐには自らが明らかに無力であることにもベルは涙を流す。

眠い

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