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メカナイズド・ハート 84話

今日は普段よりも少し早めの投稿を予定しております。

「このまま行くべきか、引くべきか。」


ルーカスは物理的にも精神的にも、作戦中止の崖っぷちに追い込まれている。


この道は危険すぎるが、それ以外の選択肢はない。もしここで諦めてしまったら今回の作戦全体に影響が出るだろう。今もなお砲兵が燻り出したパルチザンを拘束、殺害している部隊の背後にパルチザンが現れて部隊を挟撃されたらどうなるか?


市街地全体が火の海になるまで戦闘は止まないだろう。


しかし、崖っぷちに立つルーカスのポッドから見て次の構造材までの距離は、最低でも200mはありそうだ。


果たしてこの距離は助走抜きでスラスター推力と脚部の跳躍だけで飛べるのだろうか?カタログスペック上であればいけるだろう。しかしながらこの機体が、カタログスペック同様の性能を発揮できる保証はどこにもない。


もしかしたらこの機体は不良品かもしれない。


一度は限界まで追い込んで性能を確認するべきだったと、思わず後悔してしまう。


おまけにこの機体はほぼ燃料、推進剤ともに満杯まで積み込んであり、先ほどの先頭では大量に粉塵をスラスター口に吸い込んでいる。


頭をどれだけ回転させても厄介な要素ばかりが浮かび、任務達成はどんどん遠のいていく。現実的には不可能な要素ばかりが立ちはだかり、一方で背中には任務を達成させなければならないという義務感がのしかかる。


「大丈夫だよ、落ち着いて。深呼吸をすれば楽になるから。」


背後にいるエミー機から無線が飛んでくる。ルーカスの負担を理解した彼女は交代しようかと提案してくる。


「いや、俺にもできるよ。」


ルーカスは背後からの温かい抱擁を感じながらエミーの無線越しの声に合わせて深呼吸する。


「吸って・・・。」


スーッ


「吐いて・・・。」


ハーッ


「吸って・・・。」


スーッ


「吐いて・・・。」


ハーッ


暴れ馬となっていた心臓が落ち着き、自然と慌ただしく動き回っていた眼球も座る。覚悟は決まった。


そう難しいことではない、ちょっと飛んでふわっと着陸するだけだ。ルーカスは自らそう言い聞かせながら、勢いよく機体各部のスラスターを噴射させると同時に脚部アクチュエーターに、地面を蹴らせる。


すると機体各部のスラスターは、ゴウッと音を立てると同時に機体を緩やかに持ち上げ始め同時に地面を蹴り上げられたおかげで、棒高跳びの選手のように、対岸に向けて飛んでいく。


ガチャッ ピピピピッ


ルーカスはダメ押しとばかりに機体のスラスターを戦闘時最大出力にまで押し上げて、機体各部に取り付けられた熱核ロケットエンジンからなるスラスター達の本領を発揮させる。


「いっけええええええええええ!!」

結局いつもと変わらない時間帯になってしまいました。

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