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メカナイズド・ハート 83話

最近反応に困るとモアイ像のスタンプを使います。


「どうする?」


ベルは立場上では交換であるセルゲイに判断をあおぐ。臨時で指揮を取ることはあっても常識はずれの作戦を採用するかは、現場の最高責任者であるセルゲイに任せるのが定石だ。


「良い考えだ、しかしこの場を保持するように命令が出ている以上、全員で行くわけにはいかない。」

「別に良い、俺1人で行くだけだ。」

「ダメだ、コロニー壁内部のような閉所に1人で生かせるほど俺はバカじゃない。」


ルーカスとセルゲイは作戦について議論をするものの、事態は一刻を争うものでもある。このコロニーの構造は確実にパルチザン側の方がよく知っているであろうことを考えると、敵を見過ごし見逃してしまうと大問題である。


「私もルーカスと一緒に行くよ。その間セルゲイとベルがここを保持しておけば大丈夫でしょ。」


エミーが口を開き、ルーカスと一緒に行くことを申し出ると同時に議論に蹴りをつける。


「・・・わかった、上に伝えておくから敵機を見失う前に移動を始め、敵機を近接戦で排除しろ。」

「「了解です。」」


セルゲイの命令を受けると、ルーカスとエミーは素早く機体を旋回させて足元に気をつけながら機体をコロニー壁内部へと繋がるシャフトまで行く。最も近くにあるシャフトへと近づくと、シャフト付近に数両の軍用トラックと共にドイツ警察の格好をしたものとポーランド軍の軍服を着た兵士達が警戒任務に従事している。


ルーカスとエミーの機体が近づくと彼らは手を振ると同時に、シャフトを動かす。甲高い金属の摩擦音と腹の底に響く重低音が混ざり合う不思議なオーケストラを数十秒体験させられたあと、シャフト内へと侵入しコロニー内部よりも遥かに暗く狭い世界に訪れる。


バスケットボールサイズのネズミの大群、剥き出しのパイプと鉄筋が壁中を覆う。コロニーを建設した際に書かれたであろう、組み立て注意の警告文とどこからか入り込んだ不良達の落書きが、原始人の壁画のような美しさを暗視装置のなかで見せる。


「すっご。」

「見惚れてる暇はないでしょ。」


エミーにそう言われて、慌てて自機を先頭にして背後からエミー機に援護されながらズンズンと暗黒の世界を進んでいく。


幸いにもポッドがその絶大な重量と、巨大な足を乗せれるだけの構造物が床として機能しているため今こそ何とかなっているが、この先はどうかわからない。そうルーカスが考えている時、危うく奈落の底に落ちかける。


叫び声が心の底から発されると同時に、恐怖心が湧き上がってくる。


「わっ、あっぶねえええええええええ!!」


グレートキャニオンよりも巨大で奥深い奈落の中に落下すればコロニーの遠心力と、200トン近いポッドの重さも合わさり、数秒で衝撃だけでコックピット内部はミンチになるだろう。


足元の格子状の構造材が、静かに力尽きるように崩れていったのだ。幅数メートル以上の金属やコンクリート、小惑星から持ってきたそこら辺の石が、数層重なることによって構成されたコロニー外壁は、その外見に反して内部は大小さまざまの大きさを持つ安っぽい金属製の構造材が折り重なるようにして支えている。


「このまま行くべきか、引くべきか。」


ルーカスは物理的にも精神的にも、作戦中止の崖っぷちに追い込まれている。

眠すぎ(今年n回目)



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