メカナイズド・ハート 79話
更新が遅れて申し訳ないです。
「入って良いぞ。」
聞き慣れた声が室内から聞こえてくる。
どうせいつものように革張りでリクライニングの効いた椅子に満足げにふんぞり返っているのだろう。
そう思いながら扉を開ける。一切きしまず開く扉に驚きつつも室内に入る。
「失礼いたします。お呼びでしょうか?」
建物の豪華さと護衛の物々しさに気圧され、普段はあまりセルゲイとの間ではしない敬語で話しかけてしまうが、直後に敬語で話しかけたことに感謝する。
セルゲイは普段は絶対に着ない肩パッド入りの儀礼用の軍服とピカピカに磨き上げられた黒ブーツを着ている。さらに彼の腰には複雑な銀色の模様が刻み込まれた士官用のサーベルと黒色の皮ベルトがあり、ポーランド軍の真っ白な儀礼服に映える。
セルゲイは入室してきたルーカスとエミーをチラリと見ると、素早く前に向き直りルーカスを目の前の椅子に背を向けて座る相手に紹介し始める。
「小将、改めてご紹介させていただきます。こちらが我が社の期待のエース、ルーカス・マクワイヤー中尉です。」
「ほお・・・、若いな?」
「今のご時世どこも人手不足ですから、それに彼は若くてもスペイン-日本紛争に従軍したこともあるエリートです。」
ルーカスはセルゲイが話している相手には一切注意を向けずに、セルゲイの姿を見ながらあんぐりと口を開けてボケっと立っていた。
ルーカスは生まれて初めてセルゲイが、身だしなみを整えて人に対して敬語を使っているのを見てただただ圧倒されていた。ルーカスにとってセルゲイは隊長であり、同時に圧倒的な上位者であり、一切の反抗は許されない存在でもあった。
そのような彼がわざわざ身だしなみを整えて敬語を使う相手というのは相当なものだろうと顔を凛々しく整えながら顔を真正面に向ける。
「なるほど、とても優秀なパイロットなんだな。」
「はい、保証できるだけの腕を持っています。」
椅子に座る相手は、朗らかに世間話でもするかのように穏やかに会話を続ける。時に意思もやる気も感じない気の削がれる話し方はセルゲイもよくやる独特な話し方だ。
「ああ、そういえば彼らにはまだ自己紹介をしていなかったな。うっかりしていた。」
椅子の背を向けて座る人物はそう言うと、椅子をくるりと回す。
その姿を見てルーカスは再び驚き、目を見開く。椅子に座っていた人物は先ほどの軍事裁判で中央の席に座りルーカスに何度も同じ質問を繰り返し聞いてきた老人ではないか。
老人は高級将校の軍服で身を包み、胸もとには少将の階級章がついている。
「私の名前はヤロポルク・コズロウスキ。ありがたいことに少将の地位を祖国から与えられて一個師団を任されている。」
目の前の老人はそう言いながら勢いよく立ち上がり、椅子をどかす。大きな背で隠されていたのはコロニー内全域が見えるほど見晴らしの良い大きな窓と、その手前に置かれた拙いコロニーの水彩画だ。
それらを背後に目の前の老人は、決して背が大きいわけではないにも関わらず偉大さを感じさせる力強い言葉でルーカス達に向けて伝えてくる。
「私は合わせて5基のコロニーの治安維持と反乱鎮圧を任されている。君達の力を貸してもらう。良いな?」
明日も投稿される予定ですが、明後日は忙しいためわかりません。




