メカナイズド・ハート 77話
真夜中投稿です。
ルーカスが故郷スペインの植民地コロニーで住んでいた頃の集合住宅の一室の百倍は巨大な裁判所で裁判を受けることになった。
裁判所に入るとおそらく元市議会場か何かだったらしく、四角い空間の広がる部屋の中を半円形にシートが広がりざっと200席か300席はありそうだ。そしてその席のいくつかに将校や政府関係者、地元関係者らしい人がまばらに座っている。
中央には一段と高い座席があり、勲章がジャラジャラとついた老齢の男性が座っている。その後ろにはまた数席あり、その席にも勲章をジャラジャラとぶら下げている将校たちがいる。
背後から憲兵に小突かれ、周囲から珍妙な動物を見るかのような目線で見られる。
俺の様子を見るのはそんなに楽しいことなのだろうか?
ルーカスは不思議に思う。
「着席しなさい。」
物理的にも遠く離れた中央の高い席に座る老人から、気が遠くなるほど掠れた声が聞こえてくる。この軍法裁判が終わる頃には事切れているのではないだろうか?
思わずそう思ったルーカスはこの裁判で最低3人が死ぬことに笑みを浮かべ、クスッと笑ってしまう。
「規定の時刻となりました。ただいまよりルーカス・マクワイヤー及びエミー・ローレンス両中尉の、市民に対する発砲行為を始めとする軍規違反の行為に対する軍事法廷を、始めます。書記官、日付と時間と責任者の氏名を冒頭に記述した上で記録を開始してください・・・。」
急に頭上からハリのある声が聞こえてくる。
どうやら先ほどまで死にかけていた老人将校は、メリハリをしっかりとつけるタイプの人間のようだ。
史上最も退屈な死刑宣告が始まろうとしている。
「ああもうまどろっこしいな、とっとと煮るなり焼くなり吊るすなり撃つなり爆破するなりしてくれ。」
あまりに退屈さにあくびが出てくる始末だ。
証拠の妥当性や平等性を担保するための審理だの何だの言ってあれこれルーカスとエミーの2人にさまざまなな質問をしてくる。
「ルーカス・マクワイヤー中尉、君はエミー・ローレンス中尉となぜあの場にいたのか説明できるかね?」
数百回と聞かれた質問だ。なぜそこにいたのか?
デートに困っているだろうとルーカスはイライラを爆発させたくなる。
「「デートです。」」
「2人の関係はどれほどの期間続いていますか?」
「「半年ほどです。」」
「レストランまでの道中で何か問題を起こしましたか?」
「餓死した子供2人の遺体と貧困層の青年数人に絡まれました。うまいこと流しました。」
「たくさん下着と市販医薬品、本や電子機器を買いました。」
その言葉を聞いて将校達が手元の書類と照会した後、目の前の珍妙な動物2匹を何度も何度もカテゴライズしていく。
すでに百万回は同じ質問をされているのではないだろうか?目の前の偉そうな将校達は実は人間ではなく、エイリアンが擬態しておりルーカスとエミーがどのような生命体か調べたいのではないだろうか?
もしそうなのであれば自らがホモサピエンスでさるという以外に証明する方法がないことに戦慄すると共に、自らの生物学知識の薄さに驚きを隠せない。
「判決、両者共に責任はなし。無罪である。」
何だって?
思わずルーカスは聞き返しそうになる。
「一体全体何が起きていたんだ?」
おねむです。




