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メカナイズド・ハート 69話

ええ感じに鬱


食欲の薄れる光景を目の当たりにしながらいると、いきなり後頭部に衝撃を感じる。


「子供から手を退けろポーランド野郎!!」

「クソ食らえ!!」


元気のある声だ。


腰を落として重心を下げつつ素早く振り返る。見れば手に石を持ったルーカスよりも若い青年が2人がいる。彼らの両目には怒りが籠り、子供2人がすでに死んでいることなど気にしてはいない。


「軍人に石を投げるとは正気か?」


10メートルほどの距離にいる青年たちに強い口調で尋ねる。ポケットに忍び込ませてある9mm自動拳銃を確かめる。


「うるせえ!!」

「てめえらが来なけりゃこんなに人は死ななかったんだ!!」


彼らは再び石やレンガのかけらを投げつけてくる。疲労のためか、怒りのあまりか、しっかりと石を握れていないようで、ひょろひょろとした軌道で飛んでくる。


ヒラリヒラリとルーカスは最小限の動きで顔に向けて投げてくるレンガや石を回避する。


「他者への投石を含む暴行はポーランド国内法やドイツ連邦基本法でも硬く禁じられている行為だ!!ムショに入れられたくなければすぐに辞めろ!!」


ルーカスは投石攻撃を回避しながら彼らに投石を止めるように警告を続ける。しかし彼らが放った言葉に一瞬体が止まる。


「ならてめえらの飢餓政策は何法の何条に違反するのか教えてくれよ!!」


バシッ


ルーカスの顔にレンガのかけらが直撃して額から血が流れ出し、体がぐらっと揺れる。


飢餓政策


どうりで先ほどの子供達は栄養失調だったわけだ。

ルーカスは理解する。

どうりで住民の数が少ないわけだ。

大通りでのたれ死んだ住民は当局か占領軍に清掃されたのだろう。


額の傷から流れてくる血を拭いつつ、動揺を隠しながら青年たちとゆっくりと距離を取る。もし彼らの言っていることが本当なのであれば、彼らの大切な人も苦しんでいるだろう。彼らの心を支配しているのはどうしようもない無力感だろう。


だとすれば彼らは放っておくのが1番良いだろう。


「何とか言ったらどうなんだクソ野郎!!」


彼らの怒りが石に込められながら放たれる。彼らの視線から狙いを予想して回避する。ヒラリヒラリと回避する度に彼らの怒りと無力感は煽られ次第に投石の威力と速度が上がり始める。


くるっ


ルーカスは青年たちが次の石を投げようと手をポケットに突っ込み注意がそれた瞬間に身を翻して猛ダッシュする。


貴重な自由時間をこれ以上面倒ごとに奪われたくはない。


「見たくもないものを見ちゃったな。」


駆け足で小道を駆け抜けながら眉間を押さえて、自分ではどうしようもできない問題を必死に忘れようと試みる。


たった2人の死体と2人の生きてるモブだけで上手く鬱を作れないか実験してみました。


実験が成功していると嬉しいですね。

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