メカナイズド・ハート 62話
夜遅くにこんにちわ。
「旅団と合流次第、本格的な戦闘に組み込まれる。それまの間に休憩と整備と訓練を繰り返しておけ。」
「了解。」
大隊長のセルゲイの命令を受けてパイロット控え室に戻る際に、見知った影を見つける。エミーの背中だ。
「おおい、エミー!!どうしたんだい?」
「あ、セルゲイから新しく配属されるパイロットの情報を貰ったんだよね。」
「へえ、見てもいいかい?」
「機密じゃないから良いよ。」
そうして肩越しに覗き込むと、これまたどこかで見たような顔の子が凛々しい顔つきで証明写真として載っている。
「ミリアム・ファルンバリ小尉・・・、この子知ってる。俺が誘拐してきたスウェーデン人の医者じゃん。なんでうちの隊に?」
「さあ?本社が通した以上、問題は特にないんでしょ。」
「能力はあるのかな?」
「セルゲイが言うには本社から及第点って言われたらしいけど、具体的にはわかんないかな。」
そう言われると不安になるルーカス。
ルーカスは思う。エミーの隊はボロボロの状態である以上、たった1人の補充でなんとかなるものではない。しかし、本社もセルゲイも人員の均等化には一切許可を出さない。
「本社のお墨付きは不安だなあ。」
「なら訓練ついでに新人パイロットの能力を確認してみようよ、シュミレーター機能も使ってみたいし。」
エミーの案に従い、数時間後にはシュミレーターの準備を終えたミリアム少尉と共にシュミレーターを操作してミリアム少尉のスキルを確認し始める。
バレルロールにエルロンロールを指定された速度域で複数回繰り返す他、急加速で敵弾を回避するビーム機動のような運動のテストも含めたかなり長く複雑なテストを繰り返す。
最も基礎的なテストは、メインスラスターやジェネレーターに火を入れることから始まり、スクランブル時の手順の確認や大隊か中隊単位での戦闘態勢への展開、離脱、再展開を行う際の機体操作を見せてもらうテストも行った。
「なんか長くない?」
「そういうテストなんだよ少尉、途中で降りたければ降りても良いぞ。」
不満げに頰を膨らませるミリアム少尉の言葉を流しつつ、メモや自分が実際にやる際にはどのように動かすかイメトレを繰り返す。
テストは続き、推進剤の管理から惑星間遷移軌道の計算のような航法で必要不可欠な数学的基礎知識を再確認することもあれば、ウエイトやマシーンを使ってフィジカルを追い込み、フィジカル面の限界もテストした。
「よし終了!!お疲れ様でした。」
「はあ、はあ、はあ、これでようやく入隊できますか?」
「うん、入隊できるよ。」
汗まみれ疲労まみれのミリアム少尉の顔はテスト終了を告げられた際のパッと明るくなり、テスト通過を伝えられると満面の笑みに変わる。
「ありがとうございます。」
「まあ元から入隊は決定していたけどね。」
「えっ・・。」
彼女の顔から感情が消えた。
早く寝ましょう。




