メカナイズド・ハート 54話
遅れて申し訳ないです。
「実は空いた重量に関してなのですが、家族を乗せてもよろしいですかね?」
「艦長のご家族ですか?」
「私と船員達の家族です。」
ルーカスはその言葉に一瞬面食らう。船長が家族を乗せる事はままあり、前例も豊富だ。しかし、船員達全員の家族を乗せるというのは聞いたことがない。
「この船は現在軍属ですよね?軍人以外を乗せる事は軍規の上では禁止されているかと。」
「いいえ、自分はセルゲイ少佐殿直属として雇われています。」
「そうなんですか?知りませんでした。」
思わずバカ正直に驚きを口にしてしまう。その純粋さに船長も若干強張った顔を緩めた。
「ならセルゲイ少佐に聞けばよろしいのでは?」
「それが、少佐に聞いたらあなたに聞くように言われたのですよ。」
「はあ、まあ良いと思いますよ。しかし彼らの生活は大丈夫なのですか?学校や職場があるのでは?」
「中尉殿はお優しいですね、大丈夫ですよこれは我々の伝統なので。」
船長は深々とルーカスに礼をすると、踵を返して部下達を怒鳴り急がせつつ、荷物を持った家族達を船にタラップを通して乗せ始めた。
「厳しさと優しさを持った男だ。」
「ああいうのを船長って言うんでしょうねえ〜。」
「うおッ、お前まだ居たのかよ!!」
真横から部下の言葉が聞こえて驚きのあまり飛び上がってしまう。
「はい、ずっと居ましたよ。」
「なんだよびっくりさせないでくれ。いや、すまんない。」
思わず飛び上がってしまったが、存在を忘れられた上に幽霊のように驚かれてしまった可哀想な部下に対して、一瞬怒りかけるも慌てて謝罪する。
「大丈夫ですよ。よく家族にも忘れられたので、こういう事には慣れてます。」
そのように言う部下の言葉を聞いてあまりのいじらしさに、その幼少期を想像してルーカスも泣いてしまいそうになる。
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「今度こそ出発だ!!」
セルゲイの声に合わせて、各艦が少しずつ加速してコロニーとの速度をずらしゆっくりと浮き上がるように宇宙港を出る。
巨大なコロニーと比べると随分ちっぽけな4隻の輸送船が、真っ黒な宇宙の大海原へと旅立つ。船を右へ左へ揺らす波は無いが、常に全ての宇宙天体が放つ重力と至る所に漂う機雷に気をつけねばならない。
「いや〜久しぶりだなぁ〜。」
いまだにお通夜な隊員達とは違い、太陽のような陽気さが込められた明るい言葉が発される。
思わず何事かと身構えながらも、顔を向けるとそこには10歳前後の少年がおり、鼻歌を歌い今にも羽が生えて飛びそうな様子だ。
時間的に深夜投稿になりそうですね。




