メカナイズド・ハート 53話
眠いドス
「出発進行!!」
景気の良いかけ声と共に基地の門から超大型のトラックが大通りへと繰り出す。
幸いにもこのコロニーには軍専用の大通りがあるため交通規制は不要だ。横幅が10m以上ある巨大なトラック達は車列を組んで、時速60キロの高速で200トンの巨大な荷物を運んで回る。片側8車線ある巨大な軍用大道路も巨大トラック達に使われると片側2車線程度にしか見えない。
「ハイヨー!!シルバアアアアアア!!!」
車列の先頭車から車列の隊長がカウボーイハットと共にウキウキノリノリで西部劇のようなかけ声を出す。
「頼むから事故らずに着いてくれ〜。」
ルーカスは両手を合わせて神に祈り続ける。幸いにもポーランドはスペインと同じカトリック国家イエスキリストも気兼ねなく救ってくれるだろう。
ルーカスはそう信じている。
爆速で走り抜けてホコリが雲のように巻き上がるたびに、車内が埃っぽくなる。
「ゴホッゴホッ、窓を開けてくれ。」
ルーカスは隣に座る部下に頼む。
「了解です。」
そう部下が言い、窓を開けると今度もまたホコリが入ってくる。
「ゴホッゴホッ、やっぱり締めてくれ。」
「ハッ。」
部下にやはりホコリは車内に入ってくる。
「なんでこんなにホコリが入ってくるんだ。呼吸器系疾患になってしまう。」
「ドアの建て付けが悪いのでしょう。」
部下の言葉を聞いて、思わず肩を落とす。
「なんだよそれ、ドアくらいまともに取り付けてくれよ。」
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「俺は旅団長に一本連絡入れてくるからその間に荷物をトラックから下ろして船に詰め込んどけ。」
「了解。」
セルゲイから連絡を無線機で受けると港湾業者と連絡を取り、200トンの塊を巨大なクレーンとで動かして輸送艦に積み込んでいく。
全長100メートルを超える輸送艦には一個中隊分の機体が収まる。しかしどの中隊も連戦での損失から補充を受けれていないため定員を満たしている隊はない。
もちろん艦のための推進剤や各ポッド分の推進剤、武装や装甲パーツ等の予備も積んでいるのだが・・・。
「重量とスペースで空きが出る・・・。」
「できますね・・・。」
穏やかな顔で黄昏つつ部下と共に重量計算をしていると、小綺麗な白い作業服を着て作業服よりも巨大な髭をつけた中年の男性に話しかけられる。
中肉中背の範囲内ではあるが、手先や顔についた深いシワは長年の苦労を感じさせる。
「すいませんルーカス・マクワイヤー中尉殿。」
「どうしました?」
「実は空いた重量に関してなのですが、家族を乗せてもよろしいですかね?」
クリスマスが近づいておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は苦しみますです。




