メカナイズド・ハート 48話
シリアス回です。
「早く戦争終わらないかな。」
「そしたら新しいのが始まりますよ。」
ルーカスはポツリと自分の機体が整備されているのを見ながらポツリと呟く。
その言葉が聞こえていたのか、近くの女性整備兵に声をかけられる。どこかで聞いたことのある言葉にハッとし、向き直る。
どこかで見たことがある若い整備兵だ。階級は2等整備兵。
「えっと?」
「あはは、覚えていないですか?ファナですよ。」
その言葉で思い出す。スペイン領植民地で勤務中に、整備場で会った15、16歳の若い整備兵だ。
「懐かしいなぁ。どうしてはるばるポーランドに?」
「あなたの機体に呼ばれたんですよ、こっちの人には整備がやりにくいから私が教えるようにって。」
「なるほどぉ。」
「今時間ありますかね?確認していただきたいことがあるんですけど・・・。」
「ごめんエミーを待たせているんだ、報告することがあったら後で聞くよ。」
ルーカスには昔話をしている暇はない。
ルーカスが整備場から離れてそばにある学校の校舎を改造した、宿舎に入る。宿舎に入ってすぐ、ポッドパイロット用の階に移動してエミーの部屋を見つける。
コンコンッ
返事はない。
「んなああああああ〜。おやぁ?、ルーカス生きてたの?」
「うん、実はね。」
隣の部屋から物音に気づいたベルが顔を出す。
相変わらず芯のないフニャフニャしたやる気のない態度と真っ白のポロシャツ姿で現れる。
「エミーなら裏手の軍人墓地だよ、ちょうど見舞いの時間だから。ふああぁ。」
「なるほどありがとう。ベルはいまだにベッドの中か?」
「んふんふ、面白い事言うじゃん。変わったね?」
「まあね。」
眠そうな彼女の態度で冗談を言うと、ベルは少し驚いた上で少しはにかむ。
これは可愛い。どうりでセルゲイが惚れるわけだ。
「行ってくるわ。」
「がんばえ〜、ヒック。」
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軍人墓地。
その名の通り軍人を埋葬する墓地ではあるが、この時代においては、死者数の余りに増加スピードの速さにより個人の埋葬ではなくコロニー単位での埋葬が基本とされている。
死者はそれぞれの出身コロニーの名の下に救われ神のみもとに召されるのだ。
敷地内に入ってすぐ、眼前には数千本の十字架を載せた30センチ四方高さ60センチほどの四角柱が並んでいる。
この小さな四角柱に十字架を載せたものがいわゆるコロニー廟だ。それぞれがコロニー番号と通称を載せている。そしてほぼ全てのコロニー廟が、その番号が見えなくなるほどに遺族の置いた花で囲まれている。
数ブロックほどの狭い敷地の中に所狭しと並んでいて心も休まらないだろう。
ただでさえ真っ暗で埃っぽいコロニー内において、この敷地だけは特段暗く、周りにいる数人は真っ黒に着飾りコロニー廟に縋り付いている。
秒に縋り付いてなく老婆、幼子を抱いた女性、あるいは涙を流しながら頭を打ちつける青年達の間をそそくさと走り抜ける。
ここにいる全ての人たちから悲しみと絶望が流れ込み、ルーカスの心は、何度も死にかけては死ななかったことに対する申し訳なさで圧壊しかけている。
「エミー・・・。」
目の前に見知った背中を見つけて声をかける。
そんなにシリアスでもないですね。(雰囲気ぶち壊し)




