メカナイズド・ハート 43話
病院パートです。ストーリーが進むのはもう少し先です。
非常に難しい問題を考えている内に、真っ白の服を着た中年の女性が入ってくる。
「ええっ!!生きてる!!」
「はい、生きてますよ。」
中年の女性はまるで死人が蘇るのを見たかのような顔で、持っていたボウルを落として走り去っていった。
「結局ここはどこなんだよ。ナースコールもできやしないし。」
ぐう〜
「おかしいな、やたら腹が減る。」
ぐうう〜
これはとんでもない空腹だ。1週間は寝ていたんじゃないか?ナースコールもないし、さっきの中年のナースが戻ってくる様子もなさそうだ。
「おおい、誰かいない!?ご飯来ないならこっちから行くぞ。」
読んでも読んでも来ない。
「もう良いや、医師の許可なく動いちゃおう。」
そう口にすると、手元に当てられていたよくわからない機械のチューブを外して冷たい床をペタペタと歩き出す。
扉を開けて廊下を見回してみても左には誰もおらず、右には壁がある。角の部屋だったようだ。
すぐにもホカホカの毛布の中に帰りたい気分だったが、空腹に突き動かされて部屋を出る。
ペタペタと素足の音を立てて廊下を歩いても誰もいない。観葉植物も、安っぽい地域の子供達が描いたプロパガンダ絵も、ナース募集の広告もない。異質であるながら侘しい空間だ。
「おかしいな、誰かにすぐ会えると思ったんだけど。」
まるで窓のない監獄のような白い空間を歩き続けて数分、ようやく人が見えてくる。さらに近づくと、3人のナースがデスクで談笑しているように見える。
「でさ〜。」
「ほんと〜!?」
随分と楽しそうに話している。見ていると何だか生きているような気がしてくる。
「すいません、ご飯っていつですか?」
そう声をかけると、ようやく気づいたようで慌てて腰掛けていた机からナース達は尻を退かす。そのうち1人は少し慌てたような様子で介護士がボケ老人に対してあやすような喋り方で言う。
「あの〜何号室の方ですかね?数時間前晩御飯を出してまして、今は休憩の時間なんですが。」
「え、号室?」
そういえばそうだ。
「それが、わからなくて。」
当たり前の事を見過ごしていたあまり少し気恥ずかしくなり頭の後ろを掻きつつ、申し訳なさを溢れさせる口ぶりでナース達に伝える。
「あ、じゃあカメラで見ますか?どこから出てきたか。」
「見れるのかい?」
「ええ、え〜とこれですね。」
ナースのうちの1人が監視カメラを確認して映像を巻き戻しながら、部屋を確認する。
「え、この角の部屋って。」
「何だい?何か問題が?」
ナースが怪訝そうな顔をするため、思わず尋ねてみる。
「いや、何でもないです。」
「この部屋って確か・・・。」
「ええ!!霊安室じゃん!!」
慌てて周りのナースが、口を滑らせたナースの口を押さえて誤魔化し始めたが、自分がどのような部屋にいたのか。そしてどのような扱いを寝ている間に受けていたのかは、明らかだった。
「それで、俺はどうしたら良いんだい?」
とりあえず病院編は次話で終わります。軍のシーンが入るのは4話後かな?




