メカナイズド・ハート 42話
ようやく今回で格闘シーンは終わりましたとさ。
不意に、ルーカスは扉を左に投げ捨てる。
驚きに包まれたハイジャック犯の顔に、鉛玉が撃ち込まれる。
尖ったルーカスの鋭敏な感覚と思考は、銃声で風船に穴が開くように勢いよく萎んでいく。目の前の惨状は、ルーカスの最大にまで引き上がった破壊的衝動を、ただの嫌悪感に変えてしまう。
至近距離からライフル弾を喰らった敵の顔は半分以上ひしゃげて、何が何だかわからない。
車に轢かれたネズミの死体のような哀れみすら感じさせる物体が、人間の胴体の上についているというのは3周回って一種のシュールレアリスム的表現だと感じてしまう。
感覚が戻ってくるうちに、周りの音、潰された手の痛みも戻ってくる。
キャーーッ!!
また何とも典型的な悲鳴を聞きつつ、体を向けると銃声が聞こえる。
乾いた銃声だ。
戦場で一度も聞いたことのない銃声だ。
パンッ パンッ パンッ
それこそ風船とタイヤを融合させて割ったような音だ。
その間にわずかな空き缶を蹴飛ばすような音も挟まる。
銃の発射機構の音だろう。
振り向いた先には、先ほど足首を吹き飛ばした最後の一人がピストルを構えて発砲していた。
3発、いやもっとだろうか?
ルーカスはそう思った時には、鈍痛と体の熱が奪われるような感覚に驚きながら崩れ落ちていた。
彼が床に倒れるまでの間に、さらに数発の決して小さくないピストル弾が送り込まれる。
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端的に言えば、目を覚ますことはないと思っていた。
そうぼんやりと考えながら、真っ白な天井を見上げる。この白さはなかなかない。生半可な病院でもこんなのはないだろう。
「ここはどこだ?」
ようやく口に出せた言葉は、ありきたりなものだった。
ピーッ ピーッ ピーッ
クソほど意味のないBGMを奏でる脈拍計測器と一緒に、白ベッドを起き上がり、あたりを見回す。
これまた何の特徴もない病室だ。
しかし、個室だった。
これはルーカスにとって大きな驚きだ。
「俺の住んでたアパートよるでかいや。大統領でもくるのかな?もしそうならプロパガンダ効果を上げるために少しでも重病なふりをしなきゃ。」
ぼんやりと呟きながら、ほうっと息を吐く。
とりあえず生きているわけだ。しかし、訳がわからない。俺はゾンビでもなければジーザスクライストでもない。
ウォーキングデッドも復活もできないのに何で生きているのか?
非常に難しい問題を考えている内に、真っ白の服を着た中年の女性が入ってくる。
「ええっ!!生きてる!!」
「はい、生きてますよ。」
1話1000字だと書きやすくて良いですね。




