メカナイズド・ハート 34話
幸せな土曜日の夜に投稿させていただきます。
良い土日を楽しんでください。
「こんなクソみたいな国逃げ出してやる。」
そう心に決めると即座に飛び上がる。首に手を拘束している拘束具を巻きつけ、引き締める。
グッ グググググ
ルーカスの鍛えられた筋肉は、安物のパイプ椅子を捩じ切った時と同じように、自らの首を絞め始める。
数十秒経過すれば、ルーカスの薄れかかる意識の中で、扉越しに通路をドタドタと数人が走る音を聞く。
扉を四苦八苦して開けようと試みる彼らは、乱雑なスウェーデン後で素早く話している。
「早くしろ!!もしあの捕虜が死んだり記憶を失ったらどうする。」
「クッソ、何で開かねえんだよ!!」
可哀想な奴らをせせら笑う。彼らは絶対に生きている俺に指一つ触ることはできないだろう。存分に上官から大目玉を喰らってくれ。
粛清されたらなおよしだ。
既に暗くなり始めた視界の中で、ルーカスは頑丈な内開きの扉の前に置いた事務用デスクに微笑みかける。
馬鹿どもめ、ざまあないぜ。
ぼんやりとルーカスはそう呟くと、暗闇に包まれ、ピンポン玉ほどにまで小さくなった世界の中で、数ヶ月のエミーとの幸せな時間を思い出した。
うん
大満足だ。
ルーカスはそう2人の思い出を思い返し終わると、ちょうどよく入ってきた馬鹿ども。
「あばよクソども。」
声にならない恨みの言葉を発する。
その思いは口から放たれ終わる前に、ルーカスは完全に意識を失った。
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「クッソ、クソクソクソ。」
「どうしますか?」
スウェーデン軍の憲兵隊として充実した生活を送りながら、着実に安全にキャリアを固めてきた彼らには、目の前で尋問対象が自らの腕力で命を絶つような異常事態は初めてだった。
「とりあえず緊急救護室へ、言質を取るまで絶対に死なせるわけにはいかない!!」
「「「ハッ。」」」
数名の警備兵たちが、担架に乗せて死人を緊急救護室へと急ぐ。しばらく風のように疾走すると、緊急救護室に着く。赤いランプと青いランプがそれぞれ部屋のドアの上で点滅している。
兵士たちは青いランプの部屋の中に全力疾走。
扉をこじ開ける。
「一体全体どうしたんだい。」
呑気にチャイニーズティーを口元に当てて楽しんでいるドクターが不思議そうな顔で、珍妙な侵入者と、担架に乗った外国人を見つめる。
「ドクター緊急だ。尋問室で人が離れた隙に、自分の首を絞めやがった。」
「わあ、そりゃあ凄いガッツだね。再び尋問できるように戻せば良いのかい?」
ドクターは緊迫感をはらみつつも、のんびりとした容姿で患者も容体を質問する。
「彼を失うわけにはいかない、まだ責任をなすりつけるための素材を入手しきれていないからな。」
「おっかないね、軍隊って。」
またドクターは呑気な合いの手を打つ。そんなふざけた態度のドクターを見て怪訝な目を向ける兵士たち。
「お、ちょうど機械の準備ができたみたいだ。彼を台の上に乗せてくれ、やれるだけのことはやってみよう。」
ドクターは念のためメスやハサミなどを、看護婦たちに用意させつつ、ゴム手袋を装着して目の前の死体に手を伸ばした。
次話もすぐ投稿されます。




