メカナイズド・ハート 185話
年代物のテレビからはスペイン王国軍のエースたちが勲章を胸につけられ敬礼をするプロパガンダ映像だ。
その中に、見知った姿を見つける。
「う、うそだろ・・。」
ルーカスは愕然とする。
最後の家族、妹のリタの姿をテレビ越しに見つけたのだ。
「?どうしたの。」
エミーが不思議そうな顔をしながらテレビのスクリーンを覗き込む。
すると、エミーも1年前このコロニーに初めてきた時に魅せられた家族写真を覚えていたのか、リタに気がつく。
「生きてるジャン。」
そのエミーの言葉にコクコクと頷く。
そうアレだけ死んでしまったと思っていた妹が生き残っているのだ。
「生きてる・・・、生きてる・・。本当に良かった。」
「ね、生きてて良かった。」
彼女の心の底からの言葉だろう。
ルーカスの、涙でぐしょぐしょになった視界の中で彼女も今までで見たことがないくらい大きな笑顔で笑っている。次第に彼女も涙が写ったのか、それとも失った家族を思い出したのか彼女の目元から涙が込み上げてくる。ルーカスもまた、今まで軍や傭兵としての仕事で完全に忘れていた家族の思い出がぶり返して泣き出す。
その2人を見てもらい泣きしたのか、自分の子供を思い出したのか店員のオッサンも泣き出す。
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「なんてリタに言おう。」
ルーカスは、家族が返ってくることに泣き終わると買い物をエミーと終わらせて泣きはらした目元と一緒に家に帰りながら口からこぼす。
「何に迷うの?」
エミーに質問されて答えようとするものの、ルーカスにはイマイチ言語化できない。
「なんていうのかな、気恥ずかしさというか。」
「ははあ、死んだと思ってやけになって傭兵やってたもんね。」
「うん、それが少し気恥ずかしいんだよ。」
気恥ずかしいと言語化できたルーカスは、エ三―に引き出されるように言葉を続けていく。
「そんなこと恥じることはないよ、私だっていろいろやらかしちゃったし。」
「そういうものかな。」
「そういうものじゃないかな?家族なんだから、会えるだけ向こうもうれしいでしょう。」
そうエミーが言うと次第に楽になってくる。
そう思い、顔を上げて帰り道を歩く。決して美しいコロニーではない、灰色のコンクリ―トがむき出しの集合住宅が安い金属製の電柱でぼんやりと照らし出される街並みだ。しかし、そんな光景もエミーと一緒だとだいぶ色が明るく見える。何よりももう民間人を殺しまくりながらその日その日を生きる必要はない。
「あの子の好きな食べ物は何?ってかちゃんと紹介してね?」
「月に一回のアップルパイ、紹介するから、一緒に作りながらリタの帰りを待とう。」
「いいね。」
ルーカスとエミーは楽し気に会話をしながら、歩道を歩いていく。
はたから見れば二人とも元気な成長真っ盛りの若者。戦争の帰還兵という様子を一切感じさせない二人の足取りは軽やかに、コロニーの町明かりの中に消えていった。
二人の戦場で犯した罪とその意識は消えることはない。
ともに十字架となりいつまた浮かびあがるかわからないまま、彼と彼女の背中に影を落とす。
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終わり。
こんにちは。
『メカナイズド・ハート』の作者の丸ハゲです。
この作品は今回で最終話となります。
およそ一年と少しにわたる投稿でしたが、読者の皆様のおかげでここまで書き続けることができました。
本当にありがとうございました。
次回作も書き始めているので、またすぐにお会いできると思います。




