メカナイズド・ハート 184話
「んーどんな家具おこうかね~?」
「どうしよっか。」
つらい過去を押し流すためにルーカスとエミーは新しい家具を買いに古家具屋さんに来た。
船窓が長く続く中で、消費財とくに家具や民間自動車の生産数は減った。そのため、スペインだけでなく世界的に見ても中古品を取り扱う店舗が多いのだ。
「おお、これ良くない?」
ルーカスはオーク材で作られた食器棚を見せる。
「ええ?それよりもこっちのバーべキューグリルの方が良くない?このサイズなら人間の丸焼きも作れるよ? 」
エミーは巨大なバーベキューグリルを見せてくる。
「ええー、そんなのいる?そもそも食器10枚もないジャン。」
「ええー、そんなのいる?そもそも人間食べないジャン。」
両者共に互いの提案を否定する。それもそのはず、ルーカスの家にオーク材で作られた食器棚に入れるような皿などはなく、半分が陶器、半分がプラスチックである。
一方でエミーのバーべキューグリルもそもそも肉の流通量が決して多くないことを考えると、あまり的を射ない買い物だ。
「「ふーん。」」
ルーカスとエミーの間に火花がバチバチと生まれる。
「あのーお客様こちらはいかがですか?」
店の名前が付いたエプロンで隠しきれないほどに腹が出ている中年のオッサンが別の商品を示しながら、出てくる。
二人はその商品に向けて顔を向ける。
「「ほおおおおおん。」」
ルーカスとエミーの顔は驚きに包まれる。
それもそのはずで、眼前にある商品はステンレス製の食器棚と人間が半分ほど入りそうな大きさのバーベキューグリルが付いている。
「イイじゃん。」
「悪くないよな。」
ルーカスもエミーも大満足だ。
しかし、問題は価格だ。二人ともドルでもらった大量の給金と退職金がPMCから渡されたが、今後の収入は微妙なところだ。豪遊すると一瞬で再びドカ貧に逆戻りだろう。
「これ一つで2万ペセタですね。ドルでし洗っていただけるのであれば100ドルでお売りいたします。」
1ぺスタがおおよそ0.01ドルであることを考えると、ドル払いでやるだけで半額になるのだからお得である。素晴らしい。しかし疑問も残るのでエミーは質問する。
「なんで半額になるの?」
「最近戦争でドイツが負けたでしょう?大きく政治が動くときは反動もかかるものですから、みんなペセタでなくドルでも財産を作っておきたいんですよ。息子を学校に送りたいですし。」
店員が写真立てに入った写真を見せてくれる。写真の中では目の前の中年ふとっちょ男性と、彼を縮小して健康的にしたような青年が映っている。
「じゃあ150ドルで買うよ。」
「良いのですか?申し訳ないですよ。」
ルーカスの申し出を聞いて店員は100ドルだけ受け取り残りを返そうとするが、エミーも受け取るように勧める。
「いやいや、世の中助け合いじゃないですか。その代わり今度良い家具が入ったら教えてくださいね?」
エミーは中年の店員が気楽に受け取れるように、軽い冗談をいいながらも気楽な態度で店員に対して微笑む。そんな時に店の壁にかけられた年代物のテレビからくだらないコメディーショー以外の映像が流れだす。
その映像を見てルーカスは衝撃を受ける。




