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メカナイズド・ハート 181話

「隊長殿、敵です。左前方デパートの瓦礫の山の中に敵狙撃手です。」

「よし、榴弾を撃ち込め。」


ルーカス大隊とその指揮下の歩兵部隊の戦術はシンプルだ。

目標地点の広場までまっすぐ進軍しながら建物は手当たり次第に破壊、瓦礫の山に変えていく。

瓦礫の山と化したところであれば歩兵部隊も容易に敵を発見し、歩兵の通報でポッド部隊が火力を投射する。


当然同様の戦術を他の大隊も取り始める。

結果、巻き込まれた民間人の死者は急増することになる。


ビビビビビ!!


ルーカス機の警報装置が爆音をたてて敵の存在を知らせる。

直後に聞きなれたATGMの発射音。

見れば排水用のマンホールがわずかに開けられて、ATGM発射機の先が突き出されている。


ATGMの直撃を脚部背面に受けたポッドが、チロチロと炎を関節部から噴き出させながら後退していく。

おそらく予備の電源装置用の燃料に火が付いたのだろうか?


即座に応射してマンホールごと哀れな敵兵を始末する。


「おかしいな、敵の組織的な抵抗が少ない。このままでは数日でベルリンのセンター街全域を制圧できてしまうぞ。」

「推測ですが、何か策を隠しているのでは?引き込んでから包囲して集中砲火とか。」

「だとしたら不気味だな・・、推測が外れてくれることを祈ろう。」


結果的に副官の推測は的中する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ババババババッッッ


目標地点まで進出して友軍部隊の到着を待っていると突然あたりから炸裂音がして、黄色い色の空気が溢れ出す。


「ガスです!!マスタードガスです!!」


副官が絶叫する。

ルーカスは即座にフィルターを切り替えて、毒ガスから身を守る。同じように他のポッドパイロットたちも切り替えて、歩兵たちもガスマスクを取り付けていく。


「よりにもよってマスタードガスですか・・・、厄介です。ガスマスクを突破するかもしれません。それに皮膚への炎症やびらん効果(皮膚が水疱化、重度だと壊死)もあります。」

「これで終わりじゃないぞ!計画的な行動だ、いうなればジャブ本気のストレートが絶対にくる。」


ルーカスはボクシングに例えながらも、部下たちに警戒を促す。


「敵機!!」


大隊に誰かが叫ぶ声と共に敵位置をデータリンクで共有される。ちょうど背後の位置だ。


振り向きセンサーを使ってガスの雲の中を探ってみれば、薄くぼんやりとした輪郭が2キロ先の地点に見える。敵ポッドだ。

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