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メカナイズド・ハート 13話

ぎりぎり1週間たたずに投稿できました。せっかくのGWを最大限生かします。


地表に合わせて機体の体勢を変える。

そうでもしないと頭から地表に衝突することになってしまう。


それだけは勘弁だ。


ビュイーッ ビュイーッ

ピュッ ピュッ ピュッ ピュッ


急に複数の警報が鳴り出す。

〈高度低下。高度低下。高度低下。〉

片方は対地接近警報だろう。

コロニーと軌道を合わせる際にコロニーを遷移の中心にしたのが原因だろう。

むしろコロニーの地表に接近するために高度を落としているので無視する。


《失速。失速。失速。》

もう片方は失速警報だ。着陸しようとしているのだから減速は当たり前。高速で満載重量200t近いポッドを着陸させようとする狂人などいないのだから。


しかし少し速度が遅すぎる。

イオンスラスターを追加で噴射させて速度を少し上げて失速しないようにする。


さらに着地の際に足を取られて頭から突っ伏さないように機体を少し後ろに倒す。

コックピットが少し上を向くため地面が見づらくなり、少し怖く感じる。


しかしもう復帰はできない。


スローモーションのように少しずつ、カチッカチッと高度計に映された数値が小さくなっていく。


速度計にも目を送る。安定しているようだ。


高度が3桁を切った瞬間急激に縦にGがかかりケツに血が大量に流れていき頭から血が抜けていく。


貧血状態で頭の中が空っぽになり、ただただ苦痛が止むまで我慢する状態となる。


原因は一つ。着地直前の衝撃を殺すために巨大な減速用ロケット4つを追加装備しているのだ。


グググッ


機体が軋むような音がする。ロケットが全力で燃焼し、その大推力でなんとか機体をソフトに着陸させようとしているのだろう。


ガクンッ ガシャンッ


強烈なな衝撃がしたから突き上げると同時に頭がケツから頭蓋骨の裏に跳ね上がる。衝撃の勢いで首から勢いよく頭も揺れる。


直後に周辺で小規模な爆発が発生する。

燃焼し終わった大型ロケットエンジンが分離して地面に叩きつけられたのだろう。


首の痛みを和らげるために左手で首と頭の接続部周辺を左手で揉みまくる。


もみもみ もみもみ


無線が入る。

「中隊全員2人1組みでこの区画を焼け!!」

非常にシンプルな内容をライアンが伝える。


「「「「了解。」」」」


ルーカスは左右の操縦レバーを握る両手に再び力を込める。左手を引き、右手を押し出すことでその場で脚部が動き出す。


いわゆる超信地旋回を始める。

この旋回方法であればその場から少しもずれず機体を旋回させれるため非常に有用だ。


「不便だな。」

センサーの多くがレーザー攻撃で焼かれたせいで敵の位置が掴みにくい。


旧式の赤外線カメラは左右30度しか旋回できず、上に30度下に10度しか動かないため非常に視界が悪い。


背後や真下真後ろは赤外線なしの光学カメラしかない。しかもスクリーンに着いているスイッチで切り替えなければこれらのカメラは見れない。


パチッ パチッ


数秒ごとにスクリーンに映すカメラを切り替えてなんとか周辺の地形を把握する。


「前後左右に倉庫。相当でかいな、高さ50mはありそうだ。」


倉庫周辺にはフォークリフトや大型の鉄道で動くクレーン、多数の貨物コンテナにまばらだが大小のトラックがある。


一部荒れているが敵陸戦部隊が先に上陸したとは思えないほど、綺麗だ。


「こちらエミー。聞こえる?オーバー。」

「こちらルーカス。聞こえるよ、エミー。オーバー。」

彼女の声が聞こえて落ち着く。

もはや痛みも感じない。


目の前の戦闘に目を向ける。

「こちらルーカス機、先を行きます。」

「了解、エミー機ついていきます。」


階級と場数を踏んでいることから考えて、本来はエミーが先行するべきだが彼女は文句を言わない。


「さて、どこにいるのか。」

ヘルメットから口元に伸びるマイクに拾われないほど小さな声でつぶやく。

本来の陸戦であればいるはずの歩兵がただの一人もいない。

今まで受けてきた陸戦訓練が全て無意味になったわけだ。


ドンッ


いきなり機体が揺れ、機体のフレームをとおして爆発が足元から起きたことがわかる。

コクピット内の壁にセロハンテープで貼られていたメモのいくつかは宙を舞う。

衝撃のせいで計器の一部が衝撃で見えない。

さらにコックピット内を照らす電球から放たれる青い光が一瞬消えたのが彼を混乱させるのに一役買う。


敵はどこだ?おれは無事なのか?

思わず捜索レーダーと戦闘レーダーを表示するレーダースクリーンを見るがそこには何も映っていない。

当然だ。すでに敵ポッドの放ったレーザー攻撃のせいでレーダー類は全滅しているのだ。

第一コロニー内戦闘ではビルだの鉄塔だの、建築物が多すぎてレーダーはあっても使えない。


しかしある程度敵の推測はできる。

脚部であれば低貫通の兵器でも貫通しやすい。

その脚部を狙うということは、今の攻撃はポッドや戦車の砲で行われたわけではない。


「被弾したッ、敵は歩兵だ!」

「どこッ!!」

彼女は自機の前進を止めて頭部赤外線カメラを左右にふり敵影を探しながら聞く。


その質問に答える。

「右!!右!!右!!!」

「おう!!」


ドン ドン ドン


彼女は敵影をとらえたのか、適当にばらまいたのか知らないが3発の砲弾を発射する。

命中したのかわからないが発射された榴弾が着弾し、爆発する。


1発はルーカス機から見て左50mほど離れた位置にある倉庫の入り口。2発目、3発目は1発目を打ち込まれた倉庫とその右隣にいる倉庫の屋根に着弾して屋根が崩れ落ちる。


ポッドのおよそ2.5倍の高さを持つ倉庫の一部が崩れる。崩壊に伴う大量のホコリと破片は倉庫より高く昇り、落ちる。人々の慰めとはならないだろうが、倉庫そのものは完全に崩壊してはいない。

むしろ完全に崩壊しなかったせいで、ノコギリで開けられた切り傷のように鉄筋や鉄板がめくれ上がり、垂れている。


ようやく旋回させ終わったルーカス機も赤外線センサーで吹き上がる残骸とホコリを見通す。


「見える、見える、敵はどこだ?」

被弾の緊張から回復した彼は首を伸ばし、目を凝らし、スクリーンとセンサー越しに敵影を探す。


まるで見えない。


「歩兵数人だけで待ち伏せしているわけがない。いったん後退してライアンに通信送って仕切りなおす。」エミーがルーカスに命令する。シンプルで納得できる命令だ、納得できなくても従うが。


「了解!!交代します。」

はきはきと答える。そこにあるのは恋人二人ではなく、階級の上下だ。

「煙幕4発発射しろ!!」

「了解!!煙幕4発発射。」

彼女の命令に従い、煙幕ランチャーのトリガーを引き煙幕をいくらか垂れ流す。

けっして煙幕は十分ではなく、敵はこちらを視認できるだろう。


「これじゃ、丸見えだな。何とかならないものか。」

そう呟きながらエミー機に合わせて今まで進んできた大通りを全速力で前を向けたまま後退する。


ビーッ ビーッ ビーッ


耳をつんざく爆音がコックピット内を響きまわりルーカスにレーザー照射を受けていることを警告する。


「くそ!!レーザー照射を受けています!!方向左30度距離7km!!」

「こちらも照射受けてる!方向右45度距離5km!!」

「どうする!?」

ルーカスは二人とも照射されていることを知る。残っていた煙幕4発でさらに煙幕を巻き、より上位者であるエミーに命令をあおぐ。この距離だと120mm砲の命中率はだいぶ落ちる。


「さらに後退する!!2km下がったところで増援2機と合流する!!」

「了解!!」

彼女の命令に従い後退を続ける。しかし、彼女の命令に従わないものがいる。それは彼女より上位のものと敵兵。

レーザーを照射してきた敵陣地からミサイルが放たれる。


左の陣地から2発。右の陣地から3発。どちらも大型で高火力高貫通長射程の重対戦車ミサイル(ATGM)。一基運用するのに3~4名必要で設置に時間がかかる。


「そうか、時間稼ぎか。だからロケットランチャーを持った歩兵をけしかけてきたのか。」

しかしルーカスには時間がない。飛んでくるATGMは秒間300mを超える速度やや山なりの軌道でで近づいてくる。


ルーカスには多めに見積もっても17秒程度しか猶予はない。


彼も彼女も機体の後退を止めない。

家主に悪行がばれたネズミのように全力で後ろに下がる。

ルーカス機もエミー機もどちらも後退速度には限界があり、せいぜい時速50㎞程度しかだせない。

はるかに早く飛翔するミサイル相手に逃げ切ることは期待できないだろう。

おまけにコロニーは円筒形なため、どちらのミサイル陣地も水平線より高い位置にある。そのためまっすぐミサイルを発射した際まっすぐ飛ばしてもエミーやルーカスには斜め上から飛んできているように見え、障害物に干渉しにくい。


しかし、適切な障害物を敵ミサイルの軌道上に配置させることができる。エミーもありったけの煙幕8発全て発射する。さらなる煙幕でエミー機とベル機に照射されていたレーザー光の一部がかく乱される。

喜ばしいことに、右の陣地から飛んできたミサイル3発のうち一発が倉庫の屋根に直撃する。

やはり高さ50mの倉庫は巨大な障害物となってくれた。

さらに残り2発のミサイルの内、1発が煙幕でレーザー光を乱されポッドの上をすり抜けていき背後で爆音を立てる。


しかし残り1発はシールドで防護されたルーカス機の左半身を避け右半身、ポッド胴体部に着弾する。

ミサイルの弾頭は成形炸薬弾でメタルジェットと呼ばれる液体金属の噴流が装甲を撃ち進む。

しかし、ポッドのなかで最も頑丈な胴体部正面は1000mmを超える貫通力を持つミサイルの直撃にも耐え、ミサイルと機体表面に装着された装備品は破片となりまき散らされる。


ポッドの巨体はまだ揺るがず、後退を続けている。


しかし、まだ左の陣地から飛んできた2発のミサイルは発射地点が右にあった陣地よりも2km遠い位置から発射されたため自然と着弾タイミングがずれ、右陣地から来たミサイルへの対策で発射した煙幕の影響を受けずらかった。


「やばっ。」

エミーの焦る声が聞こえる。


左側から飛来したミサイルは障害物や煙幕の影響を受けず、まっすぐエミー機の左側面に一発着弾する。

もう一発はエミー機のシールドに着弾する。

シールドに着弾したミサイルはシールドにほぼ垂直に命中したためメタルジェットがシールドを貫通して貫通したシールドの破片をまき散らす。シールド内部の装甲材を露出させながらメタルジェットはポッド本体の装甲表面に浅い角度で命中して霧散する。


これだけならまだよかったが、ポッド胴体部側面に命中したミサイルは胴体部側面の装甲を完全に貫通し通しエミーの機体は爆炎と爆発につつまれ、わずか30m程度しか離れていないルーカスでさえ彼女の機体の輪郭をとらえることができなかった。


「エミー!!」

「大丈夫、まだ生きてる!!」

彼女の無事な声が聞こえる。少し安心するが今にも再び大爆発を起こしてしまいそうで気が休まらない。


「内部装甲隔壁のおかげで補助動力装置とその燃料タンクが燃えるだけで済んだみたい。」

「そうなのか?良かった。」

感情がもろに言葉に現れ、心の底からホットする。


エミーの機体から噴き出していた黒い炎が混じった火災はすでに収まりつつあり彼女の機体の大部分は見えるようになった。


エミー機もルーカス機も後退を再開する。

コチラも120mm砲で敵陣地へ反撃、療法合わせて8発以上叩き込むが、すでに敵兵士たちは離脱しつつあり与えられた損害は爆発の派手さに反して対して損害は期待できなかっただろう。


「くそっ。」

ルーカスは悪態をつきながら反撃を諦めながら後退に専念する。


「んん?時間か。」

「どうしたんだエミー?」

彼女が時間を気にするようなそぶりを見せるため不思議に思い聞く。


「増援の時間だよ。」

彼女のどや顔が装甲板を透けて見える。


確かに増援が来たようで我々と同じ鋼鉄の巨人2機がこちらに向かってきているのが見える。

パイロットは・・・・、誰だったかな?

名前は忘れてしまったが、増援であることに違いはない。


「グラソフスキー中尉です、援護します。」

「マリコフ少尉です、同じく援護します。」

2機のポッド、グラソフスキー機とマリコフ機が増援のようだ。

非常に助かる。


「ありがとう、重対戦車ミサイル(ATGM)陣地に手ひどくやられちゃってね。」

胴体側面の装甲やシールドの装甲材がめくりあがり、悲惨な姿になっている彼女が言うととても説得力がある。


「そのようですね、ただ敵戦力はあくまで特殊部隊。通常の歩兵よりも軽装備なのでプレッシャーをかけ続ければ、かならず四散するでしょう。」

「それは間違いないね。現に先ほど受けたミサイル攻撃も数が少なかったし。」

そう言いながらエミーは機体をまた前進させ始める。他機もそれに追従して前進を始める。

来た道を再び進み始める。


多分ミスある。修正しときます。in the future~。

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