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メカナイズド・ハート 11話

いつになったらエミーとルーカスの結婚式は始まるのでしょうか?


ぜひ参加したいものです。

船に乗って早々大隊長直々に作戦通達がおこなわれる。

以前隊舎の前でしたようにいっぱいに広がるわけにはいかない。

そのため今回は狭い艦の通路を使って作戦通達を行うことになった。


ふわふわと体が浮く無重力空間の中。

エミー、上官であり恋人でもある彼女は頭がふとした拍子にぶつかるほど近くにいる。

「ポッド部隊隊員は全員傾注。作戦を訓示する。」


こんな締まらない時でも大隊長は威厳ある姿だ。

「黙れバカども。ポッド部隊以外の人間が来たら道を開けるのを忘れるな。」

「ハッ。」

ザワザワとした40人近く隊員を一言で黙らせる。

彼の言葉一つ一つに数日前に隊に入った新人たちも、新人たちに怒鳴り散らすライアンやベルをはじめとしたベテランたちも「ハッ。」と声を揃える。


「残念ながら船旅は短い。フルコース料理を期待していたマヌケは死んでから存分に楽しむと言い。」

大隊長は隊員の肩の力をほぐすために軽い冗談をいう。


誰も笑わない。その様子に不機嫌そうな顔を見せつつ話始める。


「任務は単純明快だ。敵の強襲部隊が取り付いたコロニーを奪還する。護衛にド派手な軍艦がいくつかついてるが戦場がコロニー内に移れば使えない。」


そう言い切って彼は隊員全員の顔を見る。


「戦場がコロニー内に移れば。ここがポイントだ。

当然コロニー内に入るためにはコロニーの軌道速度と艦のの軌道速度を合わせてランデブーしなくてはならない。」


隊員のほぼ全員が理解して、その証拠に相槌を打つ。もちろん大隊長はわざわざ理解ができなかったバカに教えたりはしない。それは中隊長や小隊長の仕事だ。


「いいか諸君。我々ポッド部隊は一足先にスループが展開するミサイル群と共に敵が掌握したコロニーに突っ込む。」

そこから彼は大きく腕を回す。


「まず、高速で楕円軌道になりながら敵コロニーより高高度撃ち下ろしてコロニーに備え付けられた防御施設を崩す。通り過ぎたら全力で逆噴射をかけて高度と相対速度を落とす。」


大隊長とその副官、誰だか忘れた人物がスクリーンを見せてくる。


言葉以上に危険に見える。当たり前の話だがランデブーを成功させるには相対速度をギリギリまで落とすのだ。相対速度は最大でも毎秒0.06m程度まで。


「本当の意味で的だ!!一発で防御施設を排除しきれなかったら死ぬと思え。忘れるな、コロニー群が戦場になる。他のコロニーに流れ弾を当てるな。」

そう言い切って隊員全員に過剰なくらいの睨みを聞かせる大隊長。そこで彼は誰かの手が上がっていることがわかる。

ベルの手だろう。

今日は服を着ている。


「何だ?」

「敵は防衛施設と陸戦部隊のみと考えてよろしいのでしょうか?」

「いや、実は敵の艦隊もいる。だがその排除は我々の仕事ではないし、敵艦隊の正確な情報も教えられてはいない。他に質問は?」

大隊長はそのように隊員とベルに告げる。

隊員の半分は納得した顔。敵艦隊がいたところでたかだかスループ数隻しか戦闘艦のいない艦隊など逆立ちしても勝てない。

それなら情報もいらない。

どちらにせよ、時間内に陸戦部隊とポッドをコロニー内に送らなければ任務失敗。


「敵艦隊の位置は分かった方が良くないか?敵艦隊と不意の遭遇を避けることができるし。」

ルーカスは疑問をにする。隣にいるエミーに言ったつもりだったが艦の構造のせいか思ったよりも声が響き隊員全員の注目を集める。


「良い質問だな。ラウル・ルーカス・マクワイヤー・エンシーナス少尉。」

大隊長の耳にも入り。フルネームで呼びかけられる。久しぶりにフルネームで呼ばれて驚く。


スペイン人の名前は、ファーストネーム・ミドルネーム・父親の姓・母親の姓でできているが長いので軍務宣誓書にサインする時以外はフルネームで呼ばれはしない。


「だが、君は認識が少し不足している。この宙域は広大だが我々には時間制限があり、両艦隊共に推進剤には制限がある。」

彼は知識の不足した少尉にもわかりやすく噛み砕いて説明する。


「そんな中で大きく軌道を変えて敵艦隊との遭遇を避けようとすると時間制限をオーバーしてしまいかねない。だから敵艦隊の情報をもらった所で仕方がないし、いらない。わかったか?」

「ハッ。」

「それは何より。」


要点をまとめると艦隊は足が遅くて脆くて武装のない輸送船と戦闘艦の中でも最も小さくて弱いスループで構成された艦隊は敵コロニーめがけて一直線に突っ込むというわけだ。

そうルーカスは認識する。


「これで終わりだな?解散。推進剤を満タンにしてコックピットに入って待ってろ。」

その言葉を聞いた瞬間隊員たちは大隊長に敬礼をしてハンガーに駆け出す。

正確に言えば無重力のため飛んでいく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「少尉殿の機体の件ですが旧式の赤外線センサーに置き換えたことで光学センサーとの連動にラグが発生しています。」

自分の機体に飛んでいくと機体の側にルーカス機担当の整備兵がいて、話しかけてくる。


以前コロニー内の整備基地で修理

「何秒だ?」

「試験では1.25秒前後です。」

「それは厳しいな。宇宙空間ならレーダー射撃をすれば良いがコロニー内の戦闘では相当なハンデだ。」

「すいません、こちらの不手際で。」

「気にしなくて良い。気にした所でどうにもならないだろう。」

整備兵の若い女の子にウインクしつつコックピットに入る。その姿を見てエミーは頬を膨らましながら自分の機体に飛んでいく。



「チェックリスト確認始めるか。」

彼はシートしたの小さな空間に仕舞い込んであるボードを取り出す。

彼のコックピットはスイッチをはじめとした計器類に埋め尽くされていた。


「計器ガード解除。」

彼は自分のふともも右横下、操縦レバーに手をかけた際にはちょうど右肘の下に位置する黄色のスイッチを下にパチっと下げる。

その音はルーカスは普段の生活から実戦へと脳をシフトさせる。


計器ガードの解除ボタンとセットボタンがついたパネル。二つのボタンの間についたランプが赤色から緑色に転倒するのを確認する。その後、それぞれ右手と左手がちょうどくる位置にある横のレールにくっついた操縦レバーを掴みガチャガチャと前後左右に動かす。


「オッケー!!」

「チェックありがとう!!」


各スラスターが動作するかどうか整備兵がチェックしてくれる。


「計器、ライトオン。」


パッ パッ パッ パパッ


計器類に光が入る。


「メインスクリーン、ライトオン。」


パーッ


コックピット正面にある一番大きなスクリーンも真っ暗でいることを止める。


信号なし


そのような表示を上げているのを無視して次の作業に移る。


「バッテリー電源、オン。」


ピッ


機体機動用のバッテリーの電源を入れる。

これで機体全身の駆動機に電力が供給される。


「メインジェネレーターアイドリング解除。」

主発動機であるCPR -1000がエネルギーを艦に送らなくなる。


ハンガー内に空気があるため僅かな振動と共に


ヴヴヴヴヴヴ


というモーターバイクのような唸るような音を噴き出す。そのエネルギーは全て機体のバッテリーに送り込まれていく。


「主推進機ロック、解除。」

これで彼主推進機、あるいはメインスラスターと呼ばれるものはいつでも彼が入力した通りに動くようになる。


同時に推進剤である。

「サブスラスターロック、解除。」

これでサブスラスターも彼に追従する。


「リコイルコントロールスタビライザー、オン。」

これで彼の機体は射撃時の精度向上が見込める。


続けて彼はコックピット前面にある二つのレーダースクリーンの上にある赤色のボタンを3秒間押した。


「レーダー、オン。」


右足の入る空間の少し上の位置にシートからアームが突き出したレーダースクリーン。

光が入りレーダースクリーンに左右90度のレーダー情報が表示される。

その次に上下左右後方に取り付けられた死角ォなくすための小型レーダーも起動していく。


「赤外線監視装置、オン。光学装置、オン。」


コックピットブロック上部に位置する人の頭部にも似たセンサーブロックから赤外線情報と光学情報が送られてくる。

そしてそれらは今まで「信号なし」と表示されていたスクリーンに映る。


レンズを左右に動かすと若干ラグがある。


「ウェポンコントロール、オン。」

これで彼の機体は武装に必要な情報をセンサーブロックから得るようになる。


左足の入る空間の少し上の位置にアームが伸びていて、小さな火器管制スクリーンにはライフル型120mm機関砲、バズーカ型480mm砲、実体ブレード、レーザーブレードが表示されている。


流石にハンガー内にいるのにも関わらずセーフティを解除したりはしない。


「よし、全部終わったな。」

ルーカスは全てのチェック項目を確認し終えると、足や背中を押したり引いたり、曲げたり伸ばしたり繰り返す。


「はうう。」

身体中に血を回すつもりだったが体の凝り固まった部分がほぐれてかなり気持ちが良い。思わず声が漏れてしまう。


ビーッ ビーッ ビーッ


今まで無音だったスピーカーから爆音が溢れ出し、ランプは激しく赤色の光を発する。


「ポッドパイロットは出撃準備、あと5分で出るぞ!!整備兵は気密区画まで退避急げ!!」

大隊長の声がスピーカーの人口で増幅された音声と生の音声の両方で聞こえる。

その声でルーカスは慌ててパイロットスーツと宇宙服に着替える。元から来ていた作業着の上から着ていくので少しムズムズするが気にしない。


下手に血を回したせいで身体中の痒みが噴き出てきた気がする。


ああ、痒い痒い、ああああ痒い、痒い痒い


プシュッ


丸いヘルメットを被ると完全に気密状態になり少しは痒みが治る。


ガチャッ  パシュッ


コックピットハッチを閉めてこれもまた気密状態になる。狭いコクピットでは専用のパイロットスーツと宇宙服を着ているせいでキツキツで苦しい。


「こちら中隊長のライアン。大隊長に代わってこの中隊を指揮する。よろしく、副官はベルだ。」

「副官のベルです。よろしく。」

ベルとライアンは交互に挨拶すると命令を飛ばす。

「左端の俺が一番機、一番右端にいるルーカス機が12番機だ!!」

彼は手短に各機に番号を割り当てると無線を切る。

そして数秒後再び無線を開き怒鳴る。


「第二中隊は発進する。500mごとに分散して展開。戦列を組み上げるんだ!!時間はないぞ!!」


言うよりも早く彼の機体はスラスターを小刻みに吹かしながら発進する。

彼は艦隊の進行方向に楕円軌道で慣性の力ですっ飛びつつ横方向に推進剤を噴射することで斜めに等速で進んでいく。


その次に2番機、3番機、4番機、5番機と続いて行く。


11番機、エミー機がハンガーを少しずつ進んでいく。



「じゃあ先に行くよ、またね。」

「おう、またな。」

エミーからの無線に返事をする。

戦闘中は会えないだろうし、その後も会えないかもしれない。


そのため昨夜は大変だった。


「んん、いけないいけない。」

思い出すたびに身体に火がつきそうだ。

それを辛うじて理性で抑えると、機体を動かすため脚部スロットルを規定された速度まで上げる。すると機体はゆっくりと足を踏み出し始めた。


「俺も発進しよう。」


ガシン ガシン ガシン


緩やかに機体は前に進みだして、加速し始める。

その加速に合わせつつ緩やかに機体を右に方向転換させてハッチまで進む。


もう一度脚部スロットルを0に戻して今度はスラスタースロットルを前に押し出す。


機体内とコックピットを軽い振動音が満たし、少しずつ機体が進み始める。


艦から放出し終わるとスクリーンは灰色の配管まみれのハンガー壁から何もない真っ黒の空間がスクリーンに映る。


光学と赤外線をパチパチ切り替えて宙域全体を認識する。


赤外線と光学の両方ともまだ敵コロニーをしっかりと補足できてはいないが友軍ポッドや先ほど別れた艦隊も見える。友軍ポッドの数は12機ではない。


すべて合わせて40機近く。一個ポッド大隊の定数どうりの36機だろう。


「B中隊、C中隊戦列を組み終わったか?知らせろ。オーバー。」

無線から大隊長の声が聞こえる。

各中隊が戦闘態勢に移りきれているのか確認するためだ。


「こちらB中隊。戦列組み終わりました。オーバー。」

「こちらC中隊。戦列組み終わりました。オーバー。」

「了解した。こちらのA中隊も戦列組み終わっている。目標コロニーはレガール19、人口30万人と少し。コロニー群の少し外れにあるが、それでも流れ弾には気を付けろ。オーバー。」

大隊長は注意事項をもう一度全体に伝えると、無線を切る。


レーダースクリーンに巨大な影が映る。

影が大きすぎて一瞬ルーカスはレーダーが故障したのかと思ってしまった。

巨大な影は戦闘用のレーダースクリーンの上半分を隠すほど巨大なため赤外線や光学センサーによって影を捕捉しようするが見えない。


もう一度レーダースクリーン見ると垂直方向を表示しているスクリーンには斜め下に巨大な影があることを示している。


「なるほど、コロニー群の反応だったか。」

タネに気づければ問題はない。


レーダーの感度をつまみで上げるとコロニー群はより正確に映る。

あの中に今回のターゲット、レガール19がある。


赤外線、光学機器を機体の姿勢を変えることでコロニー群に向けられるようにするとより見やすく、大きさをわかりやすく理解できる。

最近忙しくて更新が遅れています。申し訳ございません。

週一は絶対に維持します。


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