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赤い糸のクロスザライン

作者: 黒楓

cross the line


<度を超す、常識のレベルを超える、一線を越える>


 昔は見るのもおぞましかった胸毛が愛しくて……思わず伸ばした指先をかわして次長はバスルームに行ってしまう。


私のジュエルネイルはカレの素肌に少しでも跡を残せたのだろうか?


 私の体の到る処に“愛の証”を残すクセに、私がそれをする事は許さない……それが次長(カレ)の立場だと分かってはいるけれど……


 こんなにも“深入り”してしまった今の私はベッドの上に残された残骸そのもので、先程の高揚が嘘の様にクシャン!としぼんでしまう。


『カレを征服したい!!』と願い……


 一縷の望みをかけてカレの上で荒ぶった内腿に、いつ付いてしまったのか……“白い花”がまるで椿の様にポトリと落ちた。

 ためいき付いて拾い上げると赤い線がスーッと引かれて……一瞬、血かと思ったら髪の毛だった。


 この長さとウェーブは私の“物”に違いないけど……光の加減かヘアカラーのいたずらが髪を赤く染め上げ私に暗示を与えた。


 私は()()()の奥に潜む“情愛の零れ”で()()()をつやつやにしてハンガーにかかっているワイシャツの裏側に留め置いた。


 シャワーを浴びた後は、私の手さえ握ってくれない“次長(カレ)”の事だから……赤い糸はきっと気付かれてしまって、私共々打ち捨てられるのだろう……よしんばカレの目を逃れて奥様に見つかったとしても……結論は同じ。


私は捨てられ、その事に塗れてのたうち回るのだろう……


でも仕方ない。


私の中の“衝動”がカレを欲して止まないから。

そんな“麻薬”に私の意志は抗えない。


 だから私は自ら作った檻に自分を追い込み“麻薬”を断つしかない。

断薬したら……いつかは昇華された愛を(たなごころ)に見る事ができるのだろうか?


……

…………

………………


我に返ると、私の両の掌は拾い集めた白い花でいっぱいで……


私はゴミ袋の上で両手を返した。


 なんだか自分自身がおかしくておかしくて湧き上がって来るクツクツ笑いを私は無理やり飲み込んだ。

その代償に滲んでしまった涙を隠すため

私は一糸まとわぬ姿そのままで次長とすれ違い

バスルームに辿り着いた。




                      おしまい


お馴染みの“月曜真っ黒シリーズ”です!


まさしく黒楓の黒さ!!


これ以上書くと“害毒”が過ぎるので“留め置き”ました(笑)(^^;)



ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!




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