土垣 vol.2
げ、なんだァ⁉︎
壁を突き破った白い槍のような物体は、俺のベットの上で砕け散った。
そして降ってきたのは
「小麦粉……か?」
いやまさか。いくらボロ寮でも小麦粉を固めた棒で壁に穴が開くハズがない。
ってことは能力か。
俺は急いで部屋を出て隣の部屋の住人をとっちめようと考えた。
なのでどうせならカッコよくいこうと思い、横滑りで止まったのだが…
不幸1 共同廊下はワックス塗りたて
不幸2 その日は雨で床が濡れていた
で、案の定綺麗に転んだ。
それはそれは綺麗すぎてため息をつくほどに
「…不幸だ」
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「で、なんでこの共同寮の壁を小麦粉の槍で勝手にぶち破った挙句、ベッドで横になっていた俺の上に落としてグゥの音も出ないような状況にしたか、説明してもらおうか?」
こんな強気な言葉で一気に捲し立てたものの、俺はそこまで言える立場ではない
もう一度相手の名札を確認する。
『霧ヶ丘能力研究所附属高等学校 2年 土垣 瑛篤』
霧ヶ丘といえば能力開発で世界トップ級だ。
で、土垣といえば皆さん御存知レベル10第1位
(世界最強ってことじゃねーか……)
どーなってんだ、俺の周り…
ここまで考えたところでやっと土垣が口を開いた。
「……先に言っておくが、俺は小麦粉を分解していない」
それは理解できる。おそらく俺の能力で無効化したのだろう。
「しっかしよォ、どういうことだ?アレは」
「能力名そのまんま。優先順位を変更する」
そう言って立ち上がった土垣がペットボトルを掴み
「順位変更。ペットボトルを上位に、壁を下位に」
と呟いて手首のスナップでペットボトルを投げた。
大したスピードは出ていない。いや、出ていてもペットボトルで暑さ3cmの壁を貫けるハズがない。
しかしそのペットボトルはなんの抵抗もなく壁に穴を開けた。
「見せてくれたのはいいんだけど、一々壁に穴を開けんでくれ」
「ん、あぁ 悪かったな」
本当にどーなってんだ、ここ