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日常世界の超科学!  作者: Inu_TT
ロシア聖教侵攻編
11/13

間奏(これでも物語の一部です) 最強の憂鬱

「ウオォラァ!」

バットを振りかざす人影 しかし

ギィィン

「痛ってぇ」

倒れたのは殴ろうとした側だった。


「チッ、ついてねぇ!なんなんだよアイツ」

路地を縫うように逃げていたのはレベル0の無能力者。

大学生くらいだろうか、このくらいの無能力者はNY市の人口の内約20%を占める。

全てのレベル0を合わせれば70%に上るほどだ。

そして中には彼のような「能力者を倒してあわよくば自分が…」なんて考える人もいる。

だが、そんな彼も運の尽き。

「オイオイ待てよ。ここで逃げるなんて卑怯そのものじゃァねェかよォ」

(クッソ振り切れねぇ!)

カツカツカツ…

「あのさァ、面倒臭ェからちょこまか逃げまわんないでくれるかなァ?」

するとジリジリと肌が痛くなってきた。

(なんだ⁉︎肌が焼きつように痛ぇ)

「どうだ?日焼けして死ぬ気分は。ちなみに、今のは『回折』つってな、高校の教科書にも載ってる物理現象だ。なんにせよ、応用次第ってヤツだ」

「物理の勉強が足りてないんじゃねぇか!いくら『回折』を利用したって殺人光線には変えられねぇ!」

「あーあ、哀れだな。本気で言ってンなら抱きしめたくなっちまうくらい哀れだ。言ったろ、『なんにせよ()()()()』ってな。そもそも、人の肌になんで色があるか知ってるか?紫外線から細胞を守るためさ。少しくらい日焼けしたって知らねェがよ、もし皮膚よりも太陽光を優先させたら…?ここでスペシャルラストチャーンス!この場合人はどォなっちまうでしょう」

肌の色素は太陽光に含まれる紫外線から細胞を守る役割を果たす。

しかし太陽光がその肌を簡単に貫通したら急速に細胞破壊が進む。

「まさか…テメェが言っているのは、死⁉︎」

「そういうこと。正解者には安らかな眠りをってことだが、そもそもオマエら無能力者がバット一本で俺らを倒せるワケがねェじゃんかよ三下ァ」

回折により細胞を失った人間は緩やかに生命維持が困難になる。

これは、数分でガンが末期まで進行するのと同じことでもある。

「もう一度言っておく。オマエらのような三下はどんになにあがこうとレベル10に敵うワケがねェンだよ つっても、聞こえねェか」


この男、土垣瑛篤。

世界最強の能力者であり、政府直属暗部組織「スペツィエル」のリーダー。

一見、ひ弱そうな細身の中学生だが、それは常時能力を使用しているため身体に負荷がかからず筋肉を必要としないためである。

レベル10・第一位の有向量(ベクトル)変換系能力者。

全てのものにかかる力の順番を変更できる「優先順位の変更」という能力の世界唯一の使い手だ。

先日のオホーツク海戦後、直ぐに帰港・凱旋し本拠地であるNY市に帰った。


「ったくよォ、この街も名前負けだよなァ。いくら最新技術を謳っても、あの手のバカ共は絶滅しねェし」

この土垣が愚痴っている相手は、ごく普通のコンビニ店員。

「ハハハ、そうですね。あれ、今日はコーヒー6つなんですか?いつも5つなのに」

いつも会計をしている店員が疑問に思っていると、

「あぁ、一人増えたからな。大体、なんで俺がコンビニ食料買いに来なけりゃならねェんだ?下部組織の奴らでもパシリに出せば良いだろォが」

すると間髪入れずにイヤホン型通信機からコメントが来た。

『良いじゃないですか、ちょうど地上に居たのですし。あと、一般人に危害を加えたペナルティも兼ねてますから』

「チッ、見てやがったか。別に構わねェだろ、殺しちゃいないしすぐに警察に引き渡したンだしよォ。それに、この街の医学だったらあの状態からでも復帰可能だろ、後遺症も残らねェだろォしな」

ちなみに、NY市とその他の都市では使用される技術に5年〜30年の開きがある。

研究所の集合する街なので当然と言えば当然だが。

コンビニを出た土垣はすぐにリニアレールで地下へ潜った。

『急いでください、あなた以外の全員は既に集合していますよ』

「一々言わなくても良い。それより、一週間ほど前から懸案になっていた本部停電の実行犯捜査は終わったのか」

これはオホーツク海決戦に備えたスペツィエルが硫黄島基地に居た時に、本部主電源が人為的に切断された事件で帰還したスペツィエルが捜査を行なっていた。(尚、これは日本警察が無能とかいう話ではなく、隠密に事を済ませたいという戦自上層部の意向があってのことだ)

『勿論、どうも内部にスパイがいたようなのでサクッと粛清しておきました』

「……どう考えてもテメェの方が危険人物だろォが」


シュゥゥと空気が抜けるような音がしてスペツィエルが所有する部屋のドアが開いた。

「良い加減この音どォにかなンねェのか」

面倒臭そうにドアを閉めた土垣の目に、一番奥の席に座るイギリス人の姿が映った。

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