第七話
ある日。
その日もいつもの朝だった。
お経を上げる時間の後、ソナとクナンで朝食を作っていると、急に屋敷を防御の能力が包んだ。
宝殊だ。
そして次の瞬間、屋敷は激しく揺れた。
なかなかおさまらない揺れに幼い子どもたちが泣き出す。
何十秒も揺れてようやくおさまった。
宝殊の力のおかげで屋敷には被害がない様子だった。
「みな、怪我は有りませんか?」
宝殊は落ち着いていた。
「はい」
みんなが次々に答えた。
「ダイキ、イレイリ、村を確認しに行きましょう」
「僕も行かせてください」
リョウユウだ。
「いいでしょう」
4人で村へ向かった。
村は壊滅的な状態になっていた。
イレイリとリョウユウは別行動をした。
ダイキは家の下敷きになっている男の人を見つけた。
「宝殊様、下がっていてください」
ダイキは大地の能力を使った。
一直線に地面にヒビが入り、男の人の下で丸く空間が出きるように陥没した。
その空間から男の人が村の人たちによって即座に助けられる。
宝殊がすぐに怪我の手当てを行う。
「大丈夫ですよ」
宝殊は男の人の家族に言った。
「ダイキ、次へ」
「はい」
4人は休むことなく次々に人々を助けていった。
広場ではセジも運ばれた人たちの手当てにあたっていた。
広場に男の人が連れてこられた。
セジは即座に自分では治療できないと判断し、イレイリとリョウユウに任せた。
しかし、2人は力を使いながら顔をしかめた。
そこに、宝殊たちがやってきた。
「宝殊様、この方を!」
イレイリとリョウユウは場所を空けた。
「宝殊様、どうかお願いします。
どうか、どうか…」
家族が見守るなか宝殊は力を使った。
ダイキやイレイリ、リョウユウたちも力を使った。
宝殊はしばらく粘ったが、力を使うのを止めた。
宝殊が首をふったのを見て、家族の目から涙が溢れ出した。
この地震で2人が亡くなった。
そして、他の村では多くの人たちが亡くなったのを宝殊は感じていた。
宝殊の声に合わせて、村の人みんなでお経を読む。
宝殊の頬に涙が伝うのみんなが静かに見守った。
この先も宝殊たちの願いは続いていく。