第三話
宝殊が倒れた。
「ダイキ!
ダイキ!」
ソナは慌てていた。
「どうした?
大声出して…」
「宝殊様が倒れてるの」
ソナの言葉にみんなの表情が変わる。
「イレイリ、お医者様を!」
ダイキに言われ、イレイリが慌てて飛び出した。
ダイキとソナ、クナンは宝殊の部屋に集まった。
ソナとクナンで宝殊を布団に寝かせる。
宝殊はひどい熱で、意識がない様子だった。
今にも泣きそうなソナとクナンにダイキが「しっかりしろ!」と声をかける。
しかし、そのダイキも不安な気持ちでいっぱいだった。
そんな中、3人は宝殊を囲んで力を送った。
それは、セジが到着するまで続けられたが、宝殊の熱が下がることも目を覚ますこともなかった。
セジはすぐに診察し、注射を打った。
「長旅の疲れが出たんじゃろうな」
「それで、容態は?」
ダイキが聞いた。
「危険じゃ。
一応、熱が下がる薬は打ったが…効くかどうかは…」
ダイキとイレイリでセジを見送った。
「何かあったらいつでも呼んでくれ。
宝殊に死なれたらこの村は終わりなんじゃがなぁ…」
セジはそう言って出ていった。
その後、ダイキとクナンは外の警戒をしながら、力を送った。
ソナはすぐ近くで、イレイリは部屋の外で力を送った。
サキたちも本堂でお祈りをしたのだった。
夜遅くになっても宝殊の容態に変化はなく、ソナはサキたち幼い子たちを寝かせた。
その後も力を送り続けた。
夜明けが近づく頃…
「宝殊様!」
ソナの叫び声が部屋の外まで響いた。