プロローグ
「ーーはね、とっても恐ろしい化け物じゃ」
老婆は呟いた。
「奴らに慈悲はない。奴らにとって私達は畜生…、いや虫けらと同じ。害虫であろうとなかろうと関係ない。私達の存在自体が奴らにとって罪なのさ。」
老婆…、祖母の話を聞いた子供の目には涙が浮かぶ。その子の母は、腕を組みながら追い討ちと言わんばかりに叱責した。
「ごめ…ごめんなさ…い…」
「わかった?どれだけーーが恐ろしい存在なのか…、これに懲りたらもう二度とあの街に近づかないで」
「うん……」
「分かればいいのよ、さぁ、晩御飯にしましょう。」
説教が終わると、テーブルには料理が運ばれる。
「はい、スライムのスクランブル焼きに、アルラウネのサラダよ。今日は食材が少なかったわ…。まったく………、早く自由に動き回れるようになるといいのだけれど…。」
「ーーの目撃情報が出たからにゃぁ仕方ないね…、3日は大人しく息を潜めるべきじゃ」
なにやら憂うることがあるようだが、一家は食事を始めた。
「…!あら!あんたまたツノが大きくなったわねぇ」
「え!ほんと?早くお父さんみたいな立派なツノが欲しいなぁ」
「ヒッヒッ、ツノだけじゃなくて中身も成長するようにな」
「おばあちゃんの言う通りよ」
和やかに談笑を楽しむ一家の頭には大なり小なりツノが生えていた。
「お父さん、帰りが遅いわね…心配だわ…」
玄関の外、そこには大勢の人間と変わり果てた一家の父親、そして…
聖剣を構えた【勇者】が立っていた。
この度お読み頂きありがとうございました。
文才もなく、小説というものを書くこと自体が初めての分際ですが、のんびりまったり書いていこうと思います。
よろしくお願いします。