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過去語り
「あぁ、ミリーにクラリエ、また何か悪さをしたのかい?」
神父さまはウンウン唸っていたものの、私たちに気づくといつものニッコリ顔に戻った。
「マックのバカをついに引っぱたいてやったのよ!!悪さじゃないわ!」
「ふふふ、アンネはさぞ怒っているだろうね」
「そーなの!シスターはとーっても怒っているの!」
「マックが悪いのにママがあんなに怒るのは意味がわからないわ!」
私達は神父さまの膝の上に乗り上げてありったけの文句を言った。
神父さまはミリーと私の頭を優しく撫でて話を聞いてくれる。
神父さまの優しい手つきは、いつもミリーと私の気持ちを落ち着けるのに最適だった。
いいこいいこされながら、時に私達に優しく注意をして。
「そうか、アンネは怒りんぼだねぇ」
一通り話し終えた後、ミリーと私の注意は、先程のテーブルに置かれた本に移った。
ミリーはトンっと神父さまの膝から降りると、机の上の本を手に取った。
「神父さまこれなに!?」
「あっ!こら、ミリー!」
私を膝に乗せているから、神父さまは咄嗟に動くことが出来ず、珍しく大きな声を上げた。
ミリーは手に取ったばかりの本をパッと離しもとの場所に落とした。
私もびっくりして神父さまの膝から降りた。
「あ、ごめんね2人とも。怒ってないよ」
神父さまは少し困った顔をして私とミリーの頭をまた撫でた。
「ミリーが触ったのって普通の本じゃないの?」
「神父さまこれ高いやつ???」
「うーん、これはさっき来たお客さんが置いていった物なんだけど、あんまり良くないものみたいなんだ」
「良くないって?おばけ!?」
「ふんっ!安心して!神父さま!ミリーがお化けなんてやっつけてあげるわ!!」
「それがよく分からないんだよねぇ…」
神父さまは邪悪な気配はしないのだが、元の持ち主が言うには、幽霊が憑いているという。
持ち主は古い貴族の家の人で、屋敷の倉庫の奥深くにこの本は眠っていたらしい。
そしてこの本について、調べていたら、大昔は大層な宝だと伝えられていたが、ある時から霊が付いていると言われだし、倉庫に捨て置かれたそうだ。
そしてこれを持ってきた人は、倉庫の整理をしてこれを見つけ、中を見ると何も書いてなく、訳がんからないし、メモ書き程度には使えるだろうと自室に持っていった。
するとその晩から女の霊が見えるようになったらしい。
どうにもこうにも出来なくて神父さまの所へ持ち寄ったそうだ。
帰り際に「二度と見たくもない!捨てるなり使うなりは神父様のお好きにしてください!」
と言って帰ったそうだ。
「み、ミリーこわくないわ!」
「うーん、悪い気もしないけど一応お祓いしたんだけど、変化もなくてねぇ」
神父さまはお祓いやお祈りの力が強いらしく時折、そういった相談が寄せられていた。
私は本当に真っ白なのか、本を開いてみた。
「あ、クラリエ…まぁいいか」
「あれ?神父さまちゃんと字がかいてあるよ??」
「ミリーも見たい!!」
神父さまとミリーに見せようとした途端、本に触れている手先がスーッと冷えるような感覚がして思わず手を離した。
「うわ」
ばふんっと音がして神父さまの部屋が煙まみれになる。
「まぁ!まぁまぁ!!なんて可愛らしいご主人様かしらぁ〜??」
その後煙が一瞬でひとつのところに集まり、人の形をたどった。
そこに現れたのは貴族みたいなドレスを着た薄緑色の人だった。
モフモフのついた扇をヒラヒラさせて、レースの帽子をかぶり、時々くるお貴族様の慰問の時のドレスを豪華にした版のお貴族様。
「まぁまぁ!ほんとに可愛らしいわねぇ!」
レースの手袋をつけた手で私の頬をムニッと挟むと、ぎゅっと抱き寄せていいこいいこする。
顔の前に豊満なおムネ様がぷにっとする。
「し、シスターよりでかい」
「ちょっ!?クラリエ!??」
「まぁまぁ!新しいご主人様はクラリエっていうのね!」
「…って、どちら様ですか!?」
ミリーは驚いて神父さまに抱きついて離れない。
神父さまは私たち3人が疑問に思う最もなことを問うた。
「まぁ!ワタクシの事かしら?私は、この本の精霊レナーテよ」
レナーテ「まぁ!」
口癖は「まぁ!」で舞台女優並のオーバーなリアクション。
豊満な胸とセクシーな口元が特徴の落ちろけお姉さん。
あと神父さまは、お爺さんではなくわりと若めのあんちゃんです。




