Prologue
──意識が浮上する。
「──■■■■■■■■■■」
目の前に、黒い靄。
何かを形作っているようだが、判然としない。
「■■、■■■■?」
何かを語りかけているみたいだが、理解ができない。耳障りなノイズとなって耳に届く。
「■■■、ん、ああー、これで分かるかな?」
靄が唐突に日本語を話し始めた。
「…………………。」
自分も声を出そうとするけれど、なぜか音にならない。
「いいよいいよ、声ださなくてもわかるから。とりあえず、ようこそ、とでも言っておこうかな。まぁここに思考能力を持った動物がくるのなんて初めてだから、実際のところよくわからないんだけどさ」
ここはどこで、お前は何で、何をしていて、これから何をするつもりで、どうやってここにきて、いやそもそも自分は何で──
「その辺でストップストップ! 順番に説明していくから落ち着いて、といっても大半は君の概念で理解できないから適当に聞こえるかもしれないけど」
「とりあえず自分は■■■■、っとこれでもダメなのか。じゃあ、自分のことは何かこう、神様みたいな超常的なものだと思っておいて。何をしているって言われても、なんだろうね、ただ見ている。そして、君は君だよ。それ以上でもそれ以下でもない。どうやって来たのかは分からないけど、たぶん、偶然だ。
にしてもどうしたもんだろうねぇ。せっかくきたからにはとは思うけど、うーん、君なにかいい案はないかい?」
案……? 何にだ? そもそもお前の言ってることがよくわからない、俺が聞きたいのは──俺? いや、私? 思考がまとまらない。自分の、自分が、わからない。
「おーい、それ以上は今は考えないほうがいいよ。僕はどうでもいいけど、バラバラになるよ君。んー、そうだ、どうせ来たんだし君もみていくかい?」
何を見るの。
「言葉で説明するより見たほうがいいよ。百聞は一見にしかず、だっけ? 君たちの言葉だけど便利なものだね。というわけでさっそく──」
「──■■■■■■」
意識の中に映像が流れ込んできた。