ゼロ戦がんばれ!がんばれ!
「ライブラのゼロ戦が交戦する。402。対ミサイル戦、ジャミング戦準備」
「了解した」
「敵機はF機3とトムキャット2の2部隊。両方とも下手に撃墜するわけにはいかない。空母からの対空、対艦ミサイルと、敵機からのミサイルは全部落とせ」
「ジャミングのタイミングは?」
「ゼロに合わせる」
「わかった」
「こちらライブラ、ジークフリート、出撃をする!」
「ガンダムかよ、まじめにやれ」
「ちなみにゼロ戦をジークと言ったのは米軍でな」
「いいから。敵ミサイルの射程に入るぞ」
「あいよー」
ゼロ戦が急激に上昇し、その後をミサイルが追尾する。
「402、聞こえるか。」
「良好だライブラ」
「ジャミング戦を始める。レイ、トリガー頼む」
「あいよ」
ゼロ戦は超高空で宙返りを始め、ミサイルは追尾機能を失った。
上昇するだけのミサイルを、イ402の対空ミサイルが追いかけ、そして追いついた。
爆発が、12回同時に起こった。
ライブラが幸運だったのは、その爆発に巻き込まれていないことだった。
ゼロ戦が、ダカダカダカと機銃を発射する。
その先には空しかない。
レイには、その理由はわかっていた。"置き弾"である。
その直後、トムキャット2機は糸が切れた人形のように失墜した。
「なかなか高度な演算力だ」
402が感心する。
「射撃に関して、アイツを越えるやつはそういない」
F機がゼロ戦に対し、正面からミサイルを発射した。
それも402が打ち落とし、また、ゼロ戦の機銃が光った。
F機が一機、火を噴いた。
F機のパイロットは、機銃を打つタイミングを完全に失っていた。
ゼロ戦とF機はそのまま交差し、F機は一斉に反転上昇を始めた。
そのとき、ゼロ戦がひらひらと舞い、一瞬にしてF機のすべてを攻撃範囲内に収めた。
ゼロ戦の機銃が火を噴き、そのままF機は火に包まれた。
これまで、わずか43秒である。
「敵パイロットの救出は?」
「向こうの空母に任せる。ゼロ戦収容後、艦隊は水中に」
「!トムキャット増援2!5分内に交戦するスピードだ」
402が叫んだ。
「ライブラ、聞こえたか」
「おう、延長戦だ」
「本当に空母を攻撃しないのか?」
「所属不明だからな」
「・・・人間の判断は不合理だ。未知の敵こそ、きちんとつぶしておくべきのではないのか?」
「人間には、政治ってもんがあるんだよ。402、一応トムキャット迎撃用のミサイルを6基準備。ゼロ戦の弾が切れたらミサイルでしとめる」
「6基?」
「一応な。増えるかもしれん」
「了解した」
「補給する時間はないな?」
「こっちはムリだな。弾を積むだけで一時間かかる」
「燃料はもつか?」
「まだ余裕だ。けど面倒だからビット展開しようかな」
「面倒て」
「こっちにはアレがいるからな。超サイボーグ」
「・・・アレを戦わせる必要はないだろう。許可できん」
「超サイボーグ、ブリュンヒルデ!出撃をする!」
バルバルバルバルバル・・・というエンジン音を背に、ミオの声が無線に割り込んだ。
「いやいや!載るなよ!試験機だぞ!?」
「大丈夫ッスよ。自分、空戦かじったことあるんで」
「だ め だっていってるでしょー!!!マジで出るなよ!怒るぞ!!」
「はいはいワロスワロス」
「我が主、どうする」
「・・・もうやだあいつら人の話聞かない・・・」
「大変だな」
「はー・・・」
「・・・402。空母をやるぞ」
「判断を翻すのか?」
「もう俺の手に負えん。あいつらが戦闘に入るまでに殲滅する」
「そういう判断なわけか」
「いない敵は倒しようがない。そういうことだ」