第2-2章 渇きの正体
遅くなりすいませんでした。
次話、五日以内に投稿させていただきます。
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処刑されるにはまだ時間はある。どうにかしてテジ達を救う手段はないだろうか、、。
しかし、思い付くのはどれも不可能そうだ。まず前提条件として自分がヴァンパイアの力を使えるようになることだ。
おそらく、いや、ほぼ確実にその為には血を飲む必要があるだろう。
手を縛られているこの状況で血を飲めるチャンスがあるとすれば処刑の時、俺をこの小屋から連れ出す時だ。
その時に相手の喉元に噛み付く。
しかし、相手ももちろん警戒して来るだろう。簡単にいくとは思えない。
テジ達を助ける決心したものの思いつくのはこれだけである。
考え疲れたのかいつの間にか眠りについていたようだ。
外は夜のようだ、外から聞こえる悲鳴で目が覚めた。何かが燃えているような匂いもする。
「た、助け、、、」 「キャァーー、、」 様々な悲鳴が聞こえるが聞こえては消え、また他の人の悲鳴が聞こえて来る。
それの繰り返しがしばらく続いた後、静寂が訪れた。
この状況、バカでも外で何が起きているのか何と無く予想がつく。
問題は誰が誰を何の目的で行ったかだ。
最高の展開としては、村人がテジ達を助ける為に、俺を殺す為に来たケッシ達に対し反乱を起こした。というものだ。
最悪な展開は少しでも多くの手柄を得る為に、ケッシがこの村全員をヴァンパイアとみなし虐殺をした。というものだ。
考えているうちに誰かがこの小屋に近づいて来る音が聞こえた。
小屋の扉が開いた瞬間、この村の人でないとわかったらたとえ殺されようとも最後まで抵抗してやろうと決心した。
そして、小屋の扉が開いた。その瞬間、何者かに喉元を掴まれ宙吊りにされてしまった。
「なんだ、成り損ないの半端者か」冷たい声でそういうと俺を掴んでいる奴は俺を小屋の外に投げ飛ばした。
両腕を縛られている俺はおもいっきり地面に叩きつけられた。
「ゔっっっ。」声にならない声をだし痛みに耐えつつ、顔を上げると真紅の瞳をした6人の男達が月明かりに照らされながら俺を囲むようにして立っていた。
ヴァンパイアだ、、。そう確信すると恐怖で動けなかった。
一番見た目が若いヴァンパイアが「こいつどうします?」陽気な感じの声で一人のヴァンパイアが言った。
「半端者じゃ血も不味いし殺すか」もう一人のヴァンパイアが答えた。
「お、俺以外の村人は、、」俺は恐怖に耐えつつ、ボソッと小声でヴァンパイア達に聞いた。
冷たい声で「誰も生きてはいない」俺を投げ飛ばしたやつがそう答えた。
結果は何となく予想できたがやはり辛かった。
確実にテジ達は、、、。
顔に傷のあるヴァンパイアが「新しいヴァンパイアはそう生まれない、とりあえず覚醒させる。使えなそうならあとで処分すればいいだけだ」と言うとみんな納得したようだ。おそらくこいつがリーダーだろう。そして一人のヴァンパイアが村人の切断された腕を持って来た。
俺はそれを見てあまりのグロさに吐いてしまった。
「あれれ、これくらいで吐いちゃうか。仕方ない、、」若いヴァンパイアはそう言うと自分の剣に血を滴らせ、その剣から滴る血を俺に飲むように言った。
絶対に殺す。力をつけて絶対に殺す。殺す。殺す。 俺はそう心に誓いその血を飲んだ。
血が喉を通った瞬間に力が湧いて来るのがわかった。直後、何とも言えない快感に襲われ、自分の感情を抑えるのが難しくなるのがわかる。
少し力を入れただけで縛っていた縄を引きちぎることができた。その瞬間に自分を制御することができず、俺に血を飲ませた若いヴァンパイアに襲いかかってしまった。これも血を飲んだせいなのだろう。今の俺なら勝てるのではないかと思ってしまった。
ガクッと自分がバランスを崩したのがわかった。そして足に激痛がはしった。「あああぁぁぁ」あまりの痛みに自然と声がでた。襲いかかる為に踏みこんだ自分の右足が切り落とされていた。
「甘い甘い。すぐにくっつくからわめくなよ」と言い剣を鞘に納めた。
ヴァンパイアの言うとうり、足はすぐにくっついた。痛みはまだ少しあるが。
若いヴァンパイアは「血も飲ませたしこの人間の腕も用済み」と言い、近くの片腕のない死体に投げた。
暗闇でもはっきりと目が見えるのは自分が完全にヴァンパイアになったからだろうか。その片腕のない死体がテジであるのが見えてしまった。
今度は血のせいではない。はっきりと自分の意思でヴァンパイアに殴りかかろうと体に力を入れた途端に若いヴァンパイアに地面に抑えつけられ他の五人のヴァンパイアに囲まれた。
若いヴァンパイアが「やっぱりこいつ、ここで今殺しません?」と言うと俺は意識を失った。