第2-1章 渇きの正体
遅くなりすいませんでした。
次話、いよいよ主人公覚醒します。 そのためすぐに投稿いたします。
感想と評価よろしくお願いいたします。
「「なんでこんな事になったんだろう、、、」」一人きりになった今、自然とそんな事を考えてしまう。
「「浪人してなければ、予備校でエレベーターではなく階段を使っていたらこの世界にくることはなかったのだろうか、、」」自然とネガティヴになってしまう。
元の世界では自分の事はどうなっているんだろうか。
死体も見つからずエレベーター事故に巻き込まれた悲劇の浪人生としてニュースで大きく報道され、親も悲しんでいるだろう、、、。
そう考えているうちに眠ってしまった。
朝、小屋を叩く音で目が覚めた。
しかし、話しかけてくるわけでも無いようだ。
おそらくイタズラだろう。力もなく自由を奪われていると分かればヴァンパイアが相手でも平気でイタズラしてくるんだなと少し悲しくなった。つい昨日までは仲良くし、街へ行くことを祝福されていたのに、、と。
ヴァンパイアのしてきた事を知った今、それも仕方ないのかなと思うことができる。もしかするとヴァンパイアの被害に遭い、どうにか逃げ延びこの村で生活する事になった人がいたのかもしれない。
だからと言って自分がこのまま何も行動せずにどうなるか全てを村人に委ねるのも納得できない。
自分には1週間普通に生活してきたという実績がある。これを武器にどうにか解放してもらえないかと考えた。
しかしここで世界史で勉強した魔女狩りの事を思い出した。
おそらく、この世界ではヴァンパイアが魔女なのだろう、、。
そして、ヴァンパイアの疑いを晴らすためには無理難題をクリアしなければならない。無理難題というか絶対に不可能なものだろう。
クリアするためには自分の命を差し出さなければいけないもの、、つまりクリアしたところで結果は死。
死に方を選べと言われているようなものだ。
少しでも抵抗し、課された課題中に死ぬか、抗う事なく死ぬかの差だ。
こうなると二択しか残されてはいない。一つ目はヴァンパイアでは無い事を訴え続け解放されるのを願う。もう一つは脱走。
どちらにするべきか、どう行動するべきか考えていると小屋の外から誰かが話しかけてきた。
「今、ヴァンパイアを確保した事を報告するために街に人を向かわせた。2日後には街からヴァンパイアの専門家が来るだろう。それがお前の猶予だ。明日、村長と村人数人でお前の尋問を行う。」と言い去っていた。
引き止めようとしたが無視され行ってしまった。明日、村長達を説得できるかが勝負だと思った。
明日のチャンスを逃せば待つのは死。
早速、対策を考える事にした。
説得できるかはテジの家族の助けが必須だと思った。1週間以上、自分が人間として生活したと証明するにはテジの家族がそれを提言してもらわなければならない。しかしそうする事でテジの家族がこの村で嫌がらせを受けるのではないか。正直、この作戦は運任せだ。いくら仲良くなったとはいえ出会ってすぐの俺の命と今後の村での生活を天秤にかけた時、俺を選んでくれる可能性は低いだろう。
こうなるともう一つの作戦、脱走だ。しかしこれも難しい。どうにかして縄をほどき、どうにかしてこの小屋を出る。この どうにかして が思い浮かばない。
結果、一日考えたが何も浮かばない。それに村人はかなりヴァンパイアを警戒しているのがわかる。食事すら持ってこない。まぁ、どちみち手が縛られてるから食べれないのだが。
しかし不思議と空腹は感じないが、渇きは前よりも増している気がする。
あぁ、俺はやっぱヴァンパイアなんだなと思い、余計に望みが薄くなった気がした。
ここまで来ると考えても無駄だと思った。それに死ねば元の世界に戻れるかもしれないと考え眠りについた。
朝、また誰かが小屋を叩く音で目が覚めた。またイタズラかと思ったが今回は違った。どうやら尋問が始まるようだ。
どんな拷問が待っているのかと思ったがどうやら小屋の外からの質問に答えるだけのようだ。
そしてすぐに希望は打ち砕かれた。テジ一家はヴァンパイアをかくまった罪で隔離されていると言われたのだ。
こうなると為す術もない。ひたすら質問に答えるだけで何も抵抗できなかった。
どこから来た。なぜこの村を選んだ、仲間はいるのかなど聞かれたが、他の世界から来たこと以外は全て真実を言った。
尋問は終わり死を待つだけになった。そして夜、少し早いが街から専門家が来たようだ。小屋の外から「ケッシ様、こちらにヴァンパイアを捕らえております」と聞こえた。おそらくこのケッシって人が専門家だろう。
ケッシは「ヴァンパイアなど血さえ飲まなければ人間並の力となり何も抵抗できない。この世界のゴミださっさと処刑してしまおう。」と村人に伝えているのが聞こえる。
村長が「ヴァンパイアをかくまっていた家族はどうしますか?」とケッシに聞くと
「ヴァンパイアと同罪だ。」そう言うと小屋から足音が遠ざかっていった。
それを聞き居ても立っても居られなくなった。どんな犠牲を払おうともテジ一家だけは絶対に救うと決めた。
自分がヴァンパイアの力を使ってもだ。