第2章 渇きの正体
少し短いですがここから大きく話が展開して行くので是非読んでいただきたいです。
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次話は1週間以内に投稿します。
この村に来て2日目。昨夜はこの世界について色々な情報が得られた。
当面の目標は資金を貯めることだ。目標があるだけで仕事への活力にもなる。
元の世界での生活から考えて筋肉痛になると思ったがそれもなく自分でも驚いた。しかし昨日に比べやはり喉の乾きを感じるようになっている気がした。水分はしっかり摂取しているし体の不調は感じない、だたかそこまで気にする必要はないだろうと考え今日もバリバリ働くぞと自分を鼓舞した。
それから一週間は同じような日々が続いた。テジ以外にも話す相手ができ村に馴染めた気がして毎日が楽しかった。
そして幸運にを首都に行くチャンスがやってきた。まだ一週間しか働いてない自分には自分のお金だけで首都に行くことは不可能、だが村で取れた野菜を首都に出荷する機会があり、それの付き添いでロージとテジとともに首都に行けることになったのだ。
とはいえ仕事で行く為、自由行動はできないだろう。それでもどのような所なのか見れるのはラッキーだ。
出発は2日後の早朝。今から楽しみだ。テジも首都に行くのは久しぶりのようでワクワクしているのが目に見えてわかる。
その日の仕事終わりにテジが「向こうで自由な時間ををもらえないか父さんを説得してみるよ」とニコニコしながら家に戻っていった。
行く目的は仕事と分かってはいるがやはり街を見学したいというのが本心だ。その為、テジがロージを説得してくれるのを切に願っている。
そして夕食の時間、ロージが「ここ最近、二人ともよく働いてくれてるな。まぁ街で自由時間が欲しいからその為のアピールなのだろうがな」とニヤニヤしながら言った。
俺とテジは一瞬ドキッとしたが
「働いてるならそれに見合った報酬を出さないとな」とロージが言った途端、俺とテジはニコニコが止まらなかった。
街での仕事を終えて街を出るまでの2時間、自由にしていい事になり大喜びした。
自由時間をもらえるのが確定したからと言って明日の仕事を手抜きするわけにもいかずワクワクを抑え、早く寝る事にした。
街に出荷に行く前日は特別忙しいようだ。当日は村を早朝に発つ為に前日の夜に村人がみんなで協力し、荷物の積み込みをするのだ。
出発前日。午前中の作業はいつもと同じだが午後は少し違う。昼休みがいつもより長めにあり、その後にみんなして出荷する分の野菜の収穫を行う。
そして、午後の作業をしているみんなの元に村長がやってきた。みんな作業を一時中断し村長のところに集まった。
そしてここで事件は起こるのだった。
「忙しいところにすまんな。明日、ロージ、テジ、有心が街に行くにあたり渡しておきたい物があってな。」そういうと村長は何かを取り出した。
「テジと有心、二人の働きぶりからしてロージから自由時間をもらえただろう。テジは久しぶりの街、有心は初めてというの考え銀貨を一枚与えよう」そういうと銀貨をテジに渡した。
「ただし、向こうでサボるようなことがあれば返してもらうからな?」と微笑みながら言った。
周りの村人も「楽しんでこいよ!!」、「お土産よろしくな」などと冗談交じりに祝福してくれた。
するとテジが「今回の功労者は有心だ!この村の為によく働いてくれた。だからこの銀貨は有心が持つにふさわしい!」と言い銀貨を渡してくれた。
「うっっ」焼けるような痛みが走り、銀貨を落としてしまった。手をみてみると銀貨に触れた部分が赤くなり、火傷のようになっていた。
周りを見渡すと村人たちは静まり返り、絶句していた。
そして、鈍い音とともに意識を失った。
意識を取り戻すと自分が暗い小屋の中にいるのが分かった。腕は縄で縛られ自由がきかず、何もできない。
「意識戻ったか?」顔は見えないが声からしてテジだ。小屋の外から話しかけてきた。
「俺はどうなった?」なんとなく予想がつくが聞いた。
「ヴァンパイアだと疑われてる、、、、。」テジが残念そうに言った。
「やっぱりそうか、、、」やっぱりなと思った。
「けど、みんな困惑してる。お前は俺たちと一週間以上生活しているにもかかわらずヴァンパイアと疑われるようなことを一切していない。身体的特徴からしてもヴァンパイアの瞳は赤いと聞く。お前の瞳は茶色だ。それにヴァンパイアは血を飲まなくても一週間耐えられるのだろうか?自分より弱い人間と生活し、人間と同じ生活に耐えられるのだろうか?銀に反応したのは確かにヴァンパイアだが当てはまらない部分が多すぎてみんな困っているんだ。」
それを聞き「「この世界にきてから感じていたこの渇きは血に対するものなのか」」と自分で納得してしまった。