第四話 冒険者組合長 森の中
冒険者組合長に連れられてまた、冒険者組合に戻ってきた。ほとんど、Uターンである。
先程と同じような、好奇な目に晒される。今度は、なぜ冒険者組合長と一緒にいるのか勘繰っているのだろう。
奥の部屋へと通される。そこは、高級な調度品が嫌みにならない程度に置かれており見た目だけで萎縮させようとしているように思える。
「来てもらったのは他でもない。先程の戦闘は見させて貰った。覗き見たことはすまなかったのぉ。だが、竜言語魔法を操るという高位の竜を支え魔にしているようなお前さんと話をしたかったのじゃ」
竜言語魔法。それは、竜にしか支えない魔法である。しかもただ、竜であれば良いわけではない。高位の竜でなければならない。
それに高位の竜はプライドが高い。人間の下につく等、有り得ないことなのだ。
「そうか。私はヤヅキと一緒に育てられた、らしい。誰に育てられたのかは忘れてしまった。思い出せないんだ」
これは真実である。事実である。
「そうかの。随分と若いのに苦労しておるんじゃのぉ。なら、欲を掻いたウチの者が完全に悪いな」
「用件はそれだけか?」
「そうじゃ、引き留めて悪かったのぉ。新星のAランク冒険者。ミカ・ソーレイド君とヤヅキ君」
ニヤリと笑っていた。恐らく、最初から気付いていたのだろう。最近、Aランクに昇格した冒険者であるミカ達に。
「気づいていたのか?」
「もちろんじゃ。ちなみにウチの者を圧倒したのは幻影に気を取られている内に背後に回って空間魔法で一瞬だけ剣を取り出して斬り付けたんじゃろ」
「正解!良く分かったね」
ヤヅキが口を開いた。基本的に敬語を使わないのがヤヅキである。
「じゃぁ、引き続き観光と休養を楽しんで欲しい」
冒険者組合長の言葉を背中にまた大通りへと戻っていった。
直ぐに冒険者組合を出てから、観光へと移った。沢山の物を見て回った。そして、夕暮れ近くになるまで観光しつくした。
※※※
某所 同時刻
森の中はその双子にとっては得意とする場所であった。道の無いような険しい道のりでも本能的に何処を歩けば良いかがわかる。しかし、それは万全の状態であったならという時のみである。
双子のいた里は帝国兵によって焼かれた。
隣の国と戦争をする際の基地とするのに都合が良いらしく、その土地を寄越せと一方的に言ってきた。
しかし、里の者達は自分達にとって神聖な、何代も続き守ってきた土地をそう簡単に明け渡すことなどで出来なかった。その里の種族は純血の狐人族の住まう里であった。
その戦闘能力はかなり高い。男であろうと女であろうと訓練された上級兵士程の能力があったのだが、数が少なかった。
その為、幾ら強かろうと質をも上回る量の前には勝ち目は無く帝国兵に捕まっていった。
双子や他の子供達は大人達が全力で逃した。沢山の犠牲を払いながらも必死で。他の町に行けば助かるかも知れないと、一縷の希望を乗せて逃していった。
しかし、それすらも帝国兵にはわかっていたかのように、子供達すらも追いかけ始めた。しかも、里を焼いていった。跡形も無く全て、自分達の暮らしていた家も遊んでいた広場も全て燃えてしまった。たくさんの思い出が燃えていく。
そんな事を思いながらも必死に逃げていた。




