第三話 いざこざ?
査定額が出るまで、隣の酒場で待つことにしたミカ達。歩いて行くと、じろじろと無遠慮に見られた。が、気にしないでそのまま料理を注文した。
直ぐに運ばれてくる料理には、謎の小さな飲み物が付いていた。明らかに、メニューには入っていなかったはずだ。
チラリと店員を見ると、お使いのサービスです、みたいな顔をしていた。明らかに勘違いされている。そこまで、子供に見えるものかと、少しショックを受けながら、小さな飲み物をヤヅキに渡した。
嬉しそうに飲み物を飲み始めるヤヅキの隣で朝食兼昼食をとった。やはり、冒険者組合の隣にある酒場のためか量がとても多かった。
それを、ぺろりと食べ終わり腹八分ぐらいになったところで受付嬢がミカに近づいてきた。
「お待たせしました。査定額が出ました。ほぼ全て完璧な状態だったので10,000Loです」
かなりの額だった。武器の手入れ等も考えるとかなりボロ儲けである。
そのまま現金で貰って、また淡く青い光と共に現金が消えた。
「おいっ、ガキ。さっさと、金出せや」
少し歩くこともなく、直ぐに呼び止められた。六人の完全に武装した男達が後ろにいた。
「ねぇねぇ、おじさん達?ミカがお金を出す理由はないよ?それとも、強盗の類い?」
「うるせぇ。痛い目に遭いたくなければさっさと金を渡せばいいんだよ」
ヤヅキの鋭い突っ込みに反論できずに、そのまま怒鳴り散らした。
「断る。やる義理はない」
「ならば、力ずくで奪うまでだっ」
全員が全員ミカに向かって走ってきた。
だが、考えて見てほしい。先程の討伐部位は全てCランク以上のものであった。意味するのはCランク以上に立ち向かえる程の相手ということだろう。
だが、ミカの子供にしか見えない容姿に奪えると勘違いしたのだろう。
剣を抜いた男達が斬りかかってくる。それを、全て最小限の動きでかわしていく。
「──火よ。敵を焼き尽くせ」
小さな火の玉がミカ達に飛んでいく。当たれば重度の火傷を負うことになるだろう。
「ディ・ゼルド・フェゴール」
ヤヅキの竜言語による詠唱により火の玉は着弾する前に掻き消えた。
「エル・ブルシュ・セレヌニ」
ヤヅキの、直ぐにわざわざ詠唱をすることによって、威力を下げた魔法が返される。もし、そのまま無詠唱で放ったら着弾した場所は酷い火傷で爛れる。
「ぎゃぁっ」
足にぶつけて行動を不能にする。そんな中でもずっと、ミカは剣を避け続けた。
ある時は、少しだけ剣の腹を叩き軌道をずらす。まったく当たらないことに苛立ってきたのか一旦後ろに下がった。
「どうした?逃げるのか?」
「うるせぇっ」
「はぁ、」
ミカはそのまま男達に近づいていった。ゆっくりとゆっくりと。男達は警戒して剣を持ち直す。
突如、ミカが上に跳んだ。惜しげもなく高い身体能力が発揮される。
「死にたくないなら、逃げた方が良いよ?」
ヤヅキが男達に向かって言う。なぜ、そのように言われたのか、だがプライド高い彼らは選択を誤った。
「誰が逃げ───ぎゃぁっっ、足がっ。足が」
全員がいきなり倒れた。それも、まったく同じところを切り裂かれて。
「だいぶ、手加減できるようになったな」
ミカが満足げに、男達の後ろから現れた。
「お前はっ、上に跳んだはずだっ」
「あぁ、幻影だ?上手かっただろ?」
まるで、自慢でもするように言い返した。とても晴れやかな笑顔だった。
「ふざけるなっ」
男達の恨みがましい声が聞こえた。それもそうだろう、勝てると思った相手に負けたのだから。見た目だけで判断したからだが。
「剣を下げてくれんか?事情が聞きたいのでな。ワシは冒険者組合長なのでのぉ」
後ろには大柄な老人が立っていた。腕がミカの腰回りぐらいある。デカい。
「ウチの者が世話かけたのぉ、ギルドに戻って貰ってもいいかの?」
「私はかまわないぞ?」
一言だけ言って、ギルドマスターに付いていった。ちなみに倒れた六人は、後程回収され治療を受けた。




