パンティ・オブ・ライン
お題でいただいた言葉を入れるという遊び
・「パンティ・オブ・ライン」
・「君の瞳にレモン汁☆」
「パンティ・オブ・ライン」この言葉がふいに頭をよぎった。
あの日も今日のようにまとわりつくような暑さで、月が蒼空を地平線の向こうへ追いやってもその熱が去ることは無かった。
珍しく「奢るから」としつこく誘われ、私は彼の待つ郊外にある一軒の酒場へと重い脚を運んだ。
扉を開けた途端身体の表面を冷気が覆う、額を滝のように流れる汗を手の平で拭い、人垣の中から彼を探す、店の一番奥のテーブルから彼が嬉々とした顔で大きく手を振っている
「こんなとこまで呼び出してなんだよ」
と席に腰を下ろしながら言うといきなり ピッ と人差し指を立てて
「ヌフフそうだな、一言で言うなら…ヌフフ、やっぱ後にしよう」
ヌフフヌフフ笑う彼を気持ち悪いと思いながらも喉の渇きの方が大きい存在だったので彼を無視しビールを頼んだ。
無視かよ……と小さくこぼしながら彼も空いたジョッキを掲げおかわり!と笑いかける
「ところでさ、お前本能的に惹かれる女に会ったことあるか?」
と相変わらずのニヤケ顔で聞いてくる
「は?あー、エロいとか母性を感じるとかそ〜ゆーの?」
「ん〜母性は違うな、エロいっつーのも…う〜ん違わないけど違う」
どうやら彼は一目惚れをしたらしい
「あぁ、いわゆる魔性の女って奴か?」
と自然に口からこぼれる
「ん〜そうなのかな?でさカクカクシカジカマルマルモリモリでさ」
と長くなりそうなので軽く流しながら枝豆と手長エビの唐揚げを注文する。
要するに彼はさっきコンビニでジャンプを立ち読みしていたら目の前をパンツの線が通り一目惚れしてその場で告白したらしい
「その前に1ついいか?パンツの線ってなんだよ人じゃないの?パンツに惚れたの?」
と手長エビの唐揚げにレモンを搾りながら冷静にツッコミをいれる
「いや、そうじゃないそれは例えだ、そう、彼女の存在を一言で表すとするなら…そう……」
そこで三杯目になるジョッキを飲み干しエビが浮き上がるほどに強くテーブルに叩きつけ
「パンティ・オブ・ライン」
変わってねーじゃん
「パンツの線だろ?意味がわからない」
「わかるだろ?別に見えてる訳じゃないのにそそられるあの魅惑の線wo!!、男ならわかるはずだパンツは見えたらパンツじゃないんだ!!ペラペラペラペラペラペラ」
パンツについて大声で語り始めたのでここは一撃食らわせるべきだろう。
「君の瞳にレモン汁☆」
と搾りカスのレモンを持ち持てる力全てを指先に集中させた。
「……痛っッッッッてぇぇえええぇ!!」
とのたうちまわる彼を尻目にレモンがしみた手長エビを美味しくいただく、うまい。
涙を流しながら彼はそっと立ち上がり
「もうすぐ近くの公園で待ち合わせなんだ、返事聞いてくるから待っててネ。」
としおらしく言い、俺の制止を無視し店を出ていってしまった。
それっきり彼が戻ることは無かった、閉店まで待ったものの帰っては来ず、電話にも出ない。金欠ではあったが仕方無く俺が払った、文句の一つでも言おうと電話をかけても出ず、家に訪ねても帰っていないとのことだった。
それが三年前の話、警察に行方不明者として捜索を依頼したらしいが、未だに彼は見つかっていない、そして今日偶然立ち寄った本屋で無意識に初対面の女性に声をかけてしまった、彼女の存在を一言で言うならばそう「パンティ・オブ・ライン」
初投稿になります
勝手がまだよく分かっていないので
おかしな点がございましたら
ご指定のほど よろしくお願いします