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地下

地下



 残る天使2体と騎士1体も同じように片づけた。


「今のが何度も来ると、さすがに体力がもちませんね」


 そういって左手の1刀を虚空に放る。

 刀は、すぐに見えなくなった。

 代わりに鞘を取り出して、右手の1刀を鞘に納めた。


「そうだな。できるだけ天使や騎士の像がある場所は避けていきたい」


 小都音(ことね)が攻撃の(かなめ)だ。

 先程の天使や騎士甲冑を相手するとなると奥義級の技が必要になる。

 体力だけでなく魔力の消耗も激しい。

 だから可能な限り戦いは避けたい。


 遠回りになるが、人間や像がない部屋を選びながら進んでいく。


「騎士、天使ときて、次はなにが来るでしょうね。神、でしょうか? あとは皇帝とか?」


「天使は神の使いだから、神から皇帝に仕えよ、と(めい)でも受けたのかもな」


「なるほど。でも皇帝ではなく……ここでは騎士団長でしょうか?」


 雑談しながら歩いていると、鉄板の入れた靴で打つ小都音(ことね)の足音が変化した。

 足元には円上のモザイク画がある。

 円の中央に放射状の光りの輝きを描いており、その周りに4匹のヘビが描かれていた。


「ここ、何かありますね」


 コツコツと爪先で確かめるように踏む。


「観てみよう」


 床のモザイク画を手のひらで触れる。

 探索のルーンを床の下に走らせる。


「あたりだ。地下に空間がある」


「重要なものは土の下に、ですね」


「もう少し探ってみる。待ってろ」


「はい、そちらに集中して下さい。私は辺りを警戒していますね」


 小都音(ことね)を信頼しルーンを通して見える視界に集中する。

 地下には狭い通路があって、複雑に入り組んでいた。

 いくつかある中から、直観を頼りに選んだ通路に沿ってルーンを走らせていくと、かなり奥の方に扉があった。

 その扉は重厚でくすんだ青銅色をしていた。

 表面には緻密な装飾が彫られている。

 試してみたがこの扉の中には入れない。


「またか……」


 この島に来てからというもの、探索のルーンを幾度となく使っているが要所要所で強力な障壁が邪魔をする。

 しかし逆に考えれば、ここはチェックすべき重要なポイントといえる。


 扉の場所を頭にいれて引き返す。


 引き返してT字路になっていたところを逆に進む。

 白いローブを着た5人が慌ただしい様子でいた。


「侵入者はどこまで来た!?」


「もう近くまで来ている。入り口を防ぎにいけ!」


「はい!」


 5人のうちの白いローブの2人が走っていく。


小都音(ことね)、運がいいことに案内役ができた。入口はあっちだそうだ。行こう」


「? 親切な方がいるのですね」


「本当だな。さあ、急ごう」


 白いローブのあとを追って入口(、、)に目指した。


 


***



 白いローブが止まったところの真上の部屋に辿り着く。

 部屋には木製の広い机がひとつ。

 机の背後には絵画があり、右の壁には大きな本棚、その逆側には暖炉が置いてある。

 

「ここだ」


「ここ、執務室でしょうか?」


「そうらしいな」


 煉瓦造りの暖炉に目を向ける。

 

「この下ですか?」


 暖炉の中は(すす)で汚れている。

 その下には白いローブを来た男たちが魔術的な細工をしている。


小都音(ことね)、下の通路は狭い。その刀だと厄介だぞ」


「残念ですね。わかりました。お戻り、明月(めいげつ)


 刀を虚空に消す。

 代わりに本来、脇差として使う小刀(しょうとう)を取り出した。

 一度、鞘から抜き刃の輝きを確認するようにして、ぱちんと鞘に戻した。


「行きましょう」


 小都音(ことね)に頷き返し、右手のガントレットで暖炉の中を触れた。


 ばりっと音を立てて障壁をひっぺがえし、地面の煉瓦を叩きつけた。

 人ひとりが入れるくらいの穴が開く。

 おどろいて固まっているローブの男の顔が見えた。


「先にいく」


 小都音(ことね)に告げ、男の顔面を殴り、穴に飛び込んでさらに蹴り飛ばす。

 ドミノ倒しのように男の後ろにいた1人も地面に転がる。


 2人をルーンで凍らせ、「いいぞ」と上にいる小都音(ことね)に左手を差し伸べる。


「まあ、紳士なお方。ありがとうございます」


 わざとらしくいい、俺の手をとって飛び降りてきた小都音(ことね)を胸で抱き止めた。




 

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